2011年3月 第11回定例議会 予算特別委員会 意見表明
皆様こんにちは。新政会の寺坂美一でございます。
本委員会に付託されました平成23年度当初予算初め、関連諸案件に対して新政会を代表いたしまして意見表明を行ってまいります。
2月に政府が出した月例経済報告によりますと、我が国経済の基調判断として、景気は持ち直しに向けた動きが見られ、足並み状態を脱しつつあるとしながらも、失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい状況にあるとされております。
先行きについては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に景気が持ち直していくことが期待される一方、海外景気や為替レート、原油価格の動向等によりましては、景気が下振れするリスクが存在しております。
リスクに対する備えの大切さを再認識させられた去る3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という国内観測史上最大の規模の強烈な揺れをもたらしました。また、最大10メートル以上の大津波によって、その被害は死者、行方不明者合わせて2万2,000人を超えたとの報道もあり、戦後最大の国難が日本に襲いかかっております。
被害に遭われた皆様へお見舞いを申し上げるとともに、阪神・淡路大震災を経験した私たちだからできること、しなければならないことがあるのではないでしょうか。
また、今後起こり得るさまざまな事態、困難を念頭に、市民全員を守るという決意を持って、行政当局におかれましては市政運営に当たっていただくことをお願いいたします。特に、災害時の要援護者の支援について、早急に仕組みを構築することを冒頭に強く求めておきます。
このような中で編成された平成23年度予算は、歳入の根幹である市税収入は、個人市民税が前年度比約11億円減、法人市民税が企業収益の改善で11億円の増で、市税収入としては昨年同水準となっているものの、市民サービスを支える納税義務者が約4,000人近く減少し、歳出では前年に比べ財源対策を約35億円増加させることで、扶助費の増加などの75億1,300万円の収支不足を埋め、その結果として形式的に収支均衡を保っているに過ぎず、危機的状況にあることには変わりはありません。
我が会派では、市民の負託を受けた議決機関、意思決定機関として、市長から提案された諸案件に対し、これまでと同様、過去を踏まえ、現在、また未来につなぐ住みよいまちづくりを推進するため、是は是、非は非とする立場から、予算審議に臨み慎重に審議してまいりました。
以下、我が会派の政策や市長との間に隔たりや見解の相違があることについて、特に重要と思われる点について意見を申し述べてまいります。
最初に、次期基本計画についてであります。
総合基本計画と行財政構造改革推進プランについて、我が会派は、これまでから首尾一貫基本構想・基本計画のもと、行政運営は行わなければならないと、計画行政の重要性を主張してまいりました。
昨年12月に、24年度から前倒しで2つの計画をリンクさせてスタートする旨を本会議で明言されながら、先般の代表質疑ではやはり平成25年度からスタートと、前言を翻すような姿勢は厳しく指弾されなければならず、議会における答弁として余りにも軽率過ぎると指摘しておきます。
ついては、今後の市政運営に当たり、行財政改革を果たしたその先にある将来ビジョンを念頭に入れ、基本構想・基本計画のもと、本来の計画行政による市政運営に当たられるよう、強く要望いたします。
そもそも、定数の削減で人件費の抑制をするだけではなく、仕事のやり方そのものを改善しなければ、1人当たりの負担が大きくなり、業務自体とまってしまいかねません。
特に、日常業務はマニュアル化、IT化をもっと推進すべきであります。組織を活性化させるためには、IT化し人手をかけず、嘱託や非常勤職員にできるだけ定型業務を渡し、組織全体の仕事の許容量をふやすことが必要です。すなわち、仕組みづくりを行うことで、正規職員はIT化やマニュアル化を進める仕組みをつくり、効率を上げるのが高い人件費を支払う正規職員の役割です。仕組みをつくって自分の仕事を減らし、人の判断や将来を見越した政策立案などの高度な仕事に取り組むことが、正規職員の本来あるべき姿です。
ついては、現在の1社に依存する情報システムを早急に見直しコスト削減を行い、事務そのものの効率化をすることを強く指摘しておきます。
次に、市バス事業については、交通局に対する経営支援補助金として3億5,000万円が計上されておりますが、これは高齢者市バス特別乗車証の見直しによる見込みが予想以上に落ち込んだためと説明されています。
しかし、一般会計からの赤字補てんは来年度限りとし、完全民間移譲も視野に、市バスのあり方について答弁で言及した平成23年度中のできるだけ早い時期に結論を出すよう要望しておきます。
もちろん、その際には説明責任として存続すべきとする路線や、敬老有料パスのあり方を含め、市民や議会に対して丁寧な説明を行うことを申し添えておきます。
次に、原爆被爆者援護事業補助金については、尼崎の平和のための戦争展などで語り部が行われるなど、平和を希求した活動を展開してこられた原爆被害者の会に対しては、市は一定額の補助を行ってきましたが、行財政改革の一環として団体補助金まで手がつけられ、平成23年度予算から当該団体を含む6団体の補助金が廃止されることになりました。
本委員会で、当局から団体の活動が構成員相互の社会的支援や地位向上など、自主的な活動については公費を投入せず、団体の自立促進、主体的運営を行っていただくことを趣旨とし、3年間の経過措置を設けた中で、新年度予算には未計上としたという答弁があったように、我が会派としてはそれが今日的な要請であるとの認識に立ったところであります。
ただし、唯一の被爆国としての戦争の悲惨さ、平和の大切さを子々孫々まで語り継ぐ語り部の活動事業は大変貴重な無形財産であり、極めて貴重なものと言わなければなりません。
ついては、今後市が実施するさまざまな平和に関する事業において、原爆被害者の会への協力を依頼する等、活動に対する支援も含め配慮することを強く要望しておきます。
次に、青少年施策であるティーンズミーティング推進事業費についてであります。
ティーンズミーティングは、子どもの育ち支援条例の具現化として、新規事業として提案されております。
しかし、当局は子供たちの声を拾うものがもともとの前提であり、声を拾う一番効果的な方法として、各年度につき3校程度で実施と答弁されています。
しかし、子供たちの声を拾うならば、全19校で行わなければ声を聞いたとは言えません。今後の子供施策の構築のためにも、広くしっかりと声を聞くように要望しておきます。
次に、認定こども園についてであります。
現在、尼崎市児童環境づくり推進協議会認定こども園部会の意見書では、他市に比べ待機児童が多くないとの答申をもとに、行政は積極的な推進策をとる必要性は低いと答弁されています。
しかし、小学校入学時の小1プロブレムと呼ばれる問題が東京都教育委員会のアンケートによると、約4校に1校で起こっているとするデータもあります。教育を目的とした幼稚園と保育を目的とした保育所、それぞれ目的が違った施設で育った子供たちが、小学校生活にスムーズに移ることは、小1プロブレムが起こるリスクを減らすことにつながるのではないでしょうか。
つまり、就学前の環境を整えることの意義からも、認定こども園の推進が必要であると考えます。
ゆえに、待機児童の解消という側面だけではなく、教育の本質をとらえ、認定こども園の推進に取り組むことを強く要望しておきます。
次に、教育問題については、教育の充実は、自分たちが住む自治体が子供たちに対してどれだけ夢と情熱をつぎ込んでいるかをはかる1つのバロメーターとも言えるものであります。特に、代表質疑でただしたとおり、ワーストワンの悪い記録が並んでいる状況で、学力向上は親の願いでもあり、学力県下最低レベルと言われるまちにだれが暮らしたいと思うでしょうか。
子供に夢と情熱を注ぎ、教育の充実したまちには自然と人が集まるものであります。新教育長からも力強い意気込みをお聞きし、ぜひ学力向上クリエイト事業や、小中連携といった取り組みを通じて、早期に目に見える形で結果があらわれるよう、奮起をお願いいたします。
4月開校の尼崎双星高校については、教育委員会、教員相互の連携のもと、まさにすばらしい施設と設備を備えた普通科と専門学科を有する、全国でも数少ない高校ができ上がりました。卒業生が国公立大学に進学したり、大手企業へ就職を果たすなど、好結果を生み出すために、今から生徒たちの進路について準備を抜かりなく行っていくことを要望しておきます。
次に、県行革との関係についてであります。
まず、新病院については、統合再編基本計画が示され、尼崎産業高校の跡地に西日本一と言われる大変立派な新病院が建設されることになり、大いに期待しております。
しかしながら、この厳しい財政状況の中、県からその建設費に対して本市へ負担を求めてくるのではないかと大変危惧するところであります。
市長におかれましては、県会議員の前歴とそのパイプを生かし、市民の納得のいく解決策を見出していただくよう要望しておきます。
次に、競艇事業については、センタープールの収入は貴重な本市の財源であり、歳出を削ることだけに労力を費やすのではなく、収入をいかに上げていくのかについて、もっと努力すべきであります。SGレースの積極的な誘致はもちろんのこと、ファンバスの発着駅の増設など、競艇場へ来場されるお客様へのおもてなしの心を徹底し、サービスの向上を強く要望いたします。
次に、市内公共施設におけるファシリティマネジメントの導入は、最も重要な課題解決方法の1つであり、本市の将来における浮沈を左右すると言っても過言ではありません。具体的に、琴浦住宅跡地、県立病院跡、東高校跡といった、大規模市有財産の活用方法、また卸売市場の適正規模等、重要な都市政策を策定することを、まさに市長直轄と言われている政策室で早急に検討すべきであります。
特に、公共施設と民間施設が一体となっているような施設についての考え方を、早急に整理する必要があることを重ねて指摘をしておきます。
特に、道路や水道管などの市内インフラの再構築が急務であります。公共施設の耐震については、旧耐震基準であったり、老朽化した施設も多数存在しています。
中でも、学校施設の耐震化については、子供たちが通い、また何かあれば避難所ともなる本市の市立小中学校耐震化率は、平成22年4月において28.6%と、県下最低の進捗状況であります。
先般、学校耐震化における国庫補助率の引き上げ措置を5年間延長する改正地震防災対策特別措置法が国会で成立し、4月から施行されることとなりました。平成27年度を最終年度とする現行スケジュールを、1日でも1カ月でも前倒しで早期達成されるよう、強く要望いたします。
稲村市長は、昨年11月の市長選挙で白井前市長の後継者として30項目にわたる選挙公約、マニフェストを掲げ、選挙戦を戦い当選されました。今年度は、市長としてみずからの考える、目指すべき方向性を指し示す取り組みをスタートさせる重要な年であります。
どんな時代にあっても、改善につながる改革は必要でありますが、市役所は常に行政サービスの向上を心がけておかなければなりません。財政再建にあたっては、当然だれもが痛みを伴うものでありますが、痛みばかりでは我慢にも限界がありますし、前途に明るいビジョンを抱かなければ心身ともに疲弊してしまいます。
こうしたことを踏まえ、今まさに市民とともに市政運営に当たるためには、本市の未来像をあいまいな表現や個々の施策の指標だけではなく、将来のあるべき姿の全体像を示すべきであることも、改めて指摘しておきます。
本市は、平成28年度に市政100周年を迎えようとしています。どうか稲村市長の強力なリーダーシップのもと、それまでに財政再建を果たし、新生尼崎として歩み始めるべく、今後4年間の市政運営に臨んでいただくよう最後に申し上げておきます。
以上、るる申し上げてまいりましたが、少子高齢化、社会保障改革、経済雇用情勢、環境問題など、本市に大きな影響を及ぼす要因がある中、市長は市政のかじ取りを行い、財政構造上の課題を克服し、尼崎のあるべき姿を市民に指し示し、着実に歩みを進めていく必要があります。我々新政会としては、これまでも時には執行機関に対して厳しい判断を行うこともあります。これもひとえに、市民から負託を受けた代表として、すべては未来のために、市長初め当局に対し必要な意見、要望、提案をこれからも行ってまいる所存であります。
公平・公正な観点から、今後の市政運営を引き続き是々非々の立場で判断していくことを申し上げまして、以上新政会の意見表明といたします。
御静聴ありがとうございました。

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