2011年12月 第16回定例会 一般質問
【質問項目】
■平成24年度予算編成に向けた主要取組項目(素案)・組織改正について
■指定管理者制度について
■世代間格差について


■平成24年度予算編成に向けた主要取組項目(素案)・組織改正について
【質問】平成24年度予算編成に向けた主要取組項目(素案)、組織改正などについてお伺いしてまいります。
先日、平成24年度予算編成に向けた主要取組項目(素案)と組織改正について、説明を受けました。そこには、平成24年度予算編成に向けた取り組みの基本的な考え方が記載されており、成熟社会にふさわしいまちづくりを進めるため、調整方針に掲げた政策の重点化方向に基づき、コンパクトで持続可能なまちづくり、信頼と分かち合いのまちづくり、市民自治のまちづくりを目指し、喫緊に取り組むべき行政課題への対応を図るとともに、中長期の展望も視野に入れた政策調整を行い、その結果、環境と共生する地域産業の活性化、市民の健康づくりと生活の安全、安心の確保、まちの魅力の発信、子育て支援や学力向上、分かち合い伝えあう社会の確立、就労の支援、さらには市民自治の推進など、今日的な課題に着目する中で、新たな施策の構築や既存事業の拡充を行い、取り組みを進めていくとされています。
一方、平成24年度はプランの最終年度であり、計画に計上した改革改善項目を着実に実施するとともに、今後も極めて厳しい財政状況が見込まれる中で、平成24年度からの新たな行財政改革の計画の取り組みも見据えながら、追加的な取り組みも進めることとしたとの説明に始まり、多岐にわたる項目について具体的にまとめられています。
ざっと私が目を通したところ、大きく4つの項目が目にとまります。1つ目は、これまで推進してきたヘルスアップ戦略事業の強化、2つ目は、稲村市長肝いりの政策である尼崎版グリーンニューディールの推進、3つ目は、まち情報発信であるシティプロモーションの推進、最後に、昨今の景気低迷によって悪化している雇用環境の改善である雇用・就労支援事業の推進です。
金額ベースでは、新規事業が19事業、8,386万2,000円、拡充事業が21事業で1億1,944万6,000円、合計40事業で2億330万8,000円となっています。そのうち一般財源の持ち出しとして、新規事業へは4,311万1,000円、拡充事業には8,430万9,000円で、合計1億2,742万円となっています。厳しい財政状況の中、行うのですから、本当に必要な事業ばかりのはずです。そのうち幾つか気になった項目についてお伺いしてまいります。
まず、まちの魅力発信についてであります。市内の定住促進や交流人口の増加を図ることを目的として、まちの魅力を情報として発信する取り組みを強化ということで、ふるさと雇用再生特別基金の活用で行ってきたまち情報発信事業、(通称)あまかん事業を一般財源で継続実施するようです。また、本市人口バランスの欠如の要因となっている子育てファミリー層を中心とした他市からの転入や市内定住を促進するため、すまいづくり支援・情報提供事業として、本市の住宅政策や子育てについての情報及び本市の魅力に関する情報を、独自のホームページを作成し、ストーリー性のある質の高いものとして、わかりやすく発信していくことも挙げられています。そして、前回の9月議会で質問をしたシティプロモーションについては、シティプロモーション調査検討事業として、本市の魅力を的確に伝え、イメージの向上を図り、まちの価値を高めていくシティプロモーションの調査検討を行い、シティプロモーション推進部を設置して本格的に動き出すとの説明を受けました。それぞれしっかりと推進していってほしいと考えますが、推進方法についてお伺いいたします。
まず、すまいづくり支援・情報提供事業は、本市の住宅政策や子育てについての情報及び本市の魅力に関する情報を独自ホームページを作成して発信していくとされておりますが、ホームページの設置によって、何人程度、市内の定住につながるとお考えでしょうか。目標について御見解をお聞かせください。

【答弁】衣笠都市整備局長
本市では、依然として子育てファミリー世帯の減少傾向がうかがえるため、他市からの転入促進や市内から市外への転出抑制に向けて、さまざまな対策を進めていく必要があると考えております。
そのため、この新しいホームページにおいては、本市のよさが余り知られていないという課題があることから、新たに快適で暮らしやすいという市民の声や子育てにかかわるイベント紹介など、閲覧者が興味を持ち、ニーズに合った暮らし方を考えていただけるような情報を提供してまいりたいというふうに考えております。
この新たなホームページの開設と具体的な市内定住との関係を分析することはできませんが、本市の魅力や市民の身近な住宅関係の情報をわかりやすく発信することで、住みたいまちとしてのイメージアップを図ることにもつながり、一定の効果が見込める取り組みになるというふうに考えております。

【質問】昨今、ホームページの設置だけでは、情報発信力が非常に弱くなっています。その理由として、ホームページは、相手が必要な情報を探して、ホームページに来ていただくというプル型発信方法です。
そこで提案したいのが、最近、午前中の前迫議員の質問にもありましたが、ソーシャル・ネットワーク・サービスであるツイッターやフェイスブックの活用です。特にフェイスブックは、2004年にアメリカでサービス開始され、原則実名登録制という特徴もあり、公開後、急速にユーザーをふやし、2011年9月現在、世界じゅうに8億人のユーザーを持つ世界最大のSNSサービスとなっています。自治体の活用事例として有名なのは、佐賀県の武雄市については、公式の市のホームページを全面的にフェイスブックに移行して、活用をしているという事例があります。
特徴として、相手に積極的に情報発信できるプッシュ型サービスであることです。先ほど申したように、実名登録が原則となっているため、ターゲットを絞り込んで広告を出すことも可能です。そこでお伺いいたします。
シティプロモーションにはSNSの活用が欠かせないと思われますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】福嶋理事
御提案いただいているSNSは、インターネットを媒介としながらも、利用者の顔が見えやすく、人と人とのつながりを促進するサービスとして、一般には急速に利用が進んでおり、自治体でも活用事例があるなど、新たなコミュニケーションツールの一つとして認識をしております。
シティプロモーションの展開に当たりましては、本市の持つ魅力を効果的に発信することが重要であり、とりわけ、どのような人を対象に、どのような手法や媒体でアプローチするのかについては、戦略的な観点から検討していく必要があるというふうに考えております。必要な人に必要な情報を届けつつ、さらに積極的な展開ができるよう、SNSも含めまして、さまざまな観点から有効な手段について検討していきたいというふうに考えております。

【質問】社会的な居場所づくり支援事業についてお伺いいたします。
この事業には2つの事業が入っており、1つは、就労意欲を喪失している者で、社会とつながりが必要と認められる生活保護受給者に、ボランティアや職業体験機会をつくり、居場所づくりを行うことです。そして、もう一つが、生活保護世帯の小学校4年生から中学校3年生までの子供を対象に、家庭学習の習慣づけを目的とした学習支援、学習の動機づけに関する支援、保護者への養育支援を行うとあります。
3年前の質問で取り上げた堺市の調査からも、生活保護世帯の低学歴傾向と負の連鎖と言われる、世代をまたいだ受給から抜け出させるためには、子供たちにしっかりとした学力をつけてあげることが必要です。そのため、この事業実施は非常に評価しております。しかし、学習会の参加が親や子供の自主性に任されるようなことであれば、施策としての効果が出ないように思われます。そこでお伺いいたします。
参加を促すために何らかの仕組みや強制力が必要と考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】作野健康福祉局長
本市が行う学習支援事業は、学力の問題や家庭環境の問題などから、学校にも家庭にも居場所がない子供に対して、学習への動機づけや家庭学習の習慣づけを中心とした支援を行うとともに、あわせてその保護者にも子供の学習に関心を持っていただくよう支援することを通じて、子供の自立助長を目指そうとする施策でございます。
何らかの理由により学習意欲を失った子供や養育に課題を抱える保護者の心を開き、事業への理解を深めるためには、積極的に参加する気持ちになるよう働きかけることが肝要であると考えておりますので、ケースワーカーの家庭訪問に加えて、新たに学習支援相談員として嘱託員を配置し、こうした世帯を集中的に訪問することで個別に参加を促し、学習支援を行っていく予定でございます。

【質問】組織改正について、1点のみお伺いいたします。
午前中の丸山議員の質問とも重なりますので、私なりの思いで質問しておりますので、御了承ください。現在の組織改正は、前白井市長が、3年前の平成21年度に、組織の簡素化や意思決定の迅速化を目的として、組織階層を原則局と課への2階層化を図った経過があります。それを今回、権限があいまいだった範囲を見直し、1つの業務のまとまりとして部を設置し、職務職責の明確化、権限の課移譲等を行うとともに、業務内容がより容易に判断できる組織体制に見直すため、室に配置している担当課長を廃止し、業務内容等に応じた課を設置するとしています。
その改正理由として、局と課の2階層化した分野や局長直轄の分野について、局長への負担が大きくなっており、局長にはより迅速で適切な意思決定が求められていることから、負担の適正化に向けた見直しが必要となっています。しかし、局長に負担がかかることは、想定の範囲内であったはずです。結局のところ、3年前の組織階層に戻すことになります。そこでお伺いいたします。
3年前の組織階層の見直しは間違っていた方向性だったととれるのですが、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

【答弁】俵総務局長
組織の2階層化は、意思決定の迅速化や団塊の世代職員が退職した後の安定的な組織運営などを目的として、平成21年度から実施しているものです。その結果、組織の簡素化や意思決定の迅速化、管理職の年齢構成の平準化などについて、一定の効果があったものと認識しております。
しかしながら、今回の見直しに当たっては、組織が複雑でわかりにくいといった指摘をいただいている部分もあり、また、室長や参与の権限の整理に起因して、組織運営上の新たな課題が生じていることから、これまで以上に行政需要に対応し、柔軟に対応できる組織体制にしていこうとするものでございます。

【質問】指定管理者制度についてお伺いしてまいります。
指定管理者制度は、平成15年6月、地方自治法第244条が改正され、同年9月より施行され、誕生いたしました。多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的として創設されました。
総務省実施の公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果によると、平成22年4月1日現在、全国の市町村で5万6,022施設が指定管理者制度によって運営され、そのうち民間企業等が運営しているのが1万7,354施設、全体の30.9%となっています。
本市の導入状況としては、尼崎市立女性センター、(通称)トレピエを皮切りに、美方高原自然の家、たじかの園、身体障害者福祉センター、すこやかプラザ、尼崎学園、魚つり公園、労働福祉会館、労働センター、記念公園、橘公園、また市営住宅や、最近では北図書館なども指定管理者制度によって運営されています。
そして、指定管理者の候補者選定方法として、具体的には、まず選定委員会を設置する。そして、評価基準に照らし最も適当と認められる団体を候補者として選定します。そして、指定管理者に支出する委託費の額など、細目的事項について市と指定管理者の間で協議を行い、仮協定を締結した後に、議会に指定管理者の指定の条例提案を行い、議決後に本協定を結び、指定管理に移行するというのが一般的な流れであります。
指定管理者制度の特徴の一つとして、自治体の裁量の幅が非常に大きい、また柔軟に設計することができるようになっています。本市では、その自由なところについての方向性について、指定管理者制度についてという指針を定め、実施に当たってのガイドラインとしています。
指定管理者制度導入から8年が経過し、指定管理者の再指定が行われる時期が来ています。幾つかの施設では、もう再指定がされ、2期目に入っているような施設も出てきています。そこで、制度についても、一定の課題や問題点も浮かび上がってきています。
そこで、平成22年12月28日に、総務省自治行政局長名で、指定管理者制度の運用についてという助言が通知されているはずです。そこに指定機関についての記載があります。「指定管理者による管理が適切に行われているかどうかを定期的に見直す機会を設けるため、指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとすることとされている。この期間については、法令上具体の定めはないものであり、公の施設の適切かつ安定的な運営の要請も勘案し、各地方自治体において、施設の設置目的や実情等を踏まえて指定期間を定めること」となっています。つまり自由であるということなんです。
本市のガイドラインでは、「指定管理者の指定期間は、原則5年を基本とし、施設の設置目的や性格等を考慮して、施設ごとに定めることとする。ただし、施設の性格その他特別の事情がある場合は、その状況に応じた相当期間を指定期間とすることができるものとする。」となっています。そこでお尋ねします。
施設の設置目的や性格等を考慮して施設ごとに定めるとありますが、具体的に、どのような要件で指定期間を区分しているのでしょうか。また、その他特別な事情がある場合との表記がありますが、どのようなことを想定しての記載なのか、お伺いいたします。

【答弁】吹野企画財政局長
平成17年度の指定管理者制度に係る指針の策定時点におけます指定期間につきましては、原則3年としておりましたが、3年という期間では、1つ目には、ノウハウの蓄積や人材育成などにより、サービスや事務の効率性の向上を図ることが困難であること、2つ目には、指定管理者が積極的な事業展開を図りにくいこと、また3つ目に、関係機関、団体等との連携体制を構築するには期間が短いこと、さらに4つ目として、人材の確保が難しいといった観点から、平成21年度に指針を改定いたしまして、指定期間を原則5年としたものでございます。
そうした中で、指定期間を10年としている老人福祉センターの4館につきましては、地域密着型の施設であり、事業者である社会福祉協議会がボランティア活動等の拠点として新たな事業などに取り組んでいくには、一定の期間が必要であるという、そういう認識で10年という指定期間を設定しているものでございます。
また、その他特別な事情がある場合とは、施設が廃止される見込みである場合や、その施設の管理運営上、5年といった期間ではリスクが生じるといったことなどを想定しているものでございます。

【質問】本来、指定管理者制度は、複数年間に業務がわたり、継続性が重要です。途中での事業変更についても、制限されているわけではありませんが、余りに大幅な変更については、指定管理者に対して負担がかかることも考えられます。
指定管理期間中の業務内容の変更について、どの程度変更可能とお考えなのでしょうか。そのメルクマール、判断基準をお示しください。

【答弁】吹野企画財政局長
指定管理者の業務の内容につきましては、当該施設に係る設置管理条例の中で、指定管理者が行う業務の範囲として定めておりまして、これに基づき、具体的な内容や必要経費などを年度ごとに協定を締結し、定めております。
そうしたことから、基本的に業務の範囲を変更するということは考えておりませんが、その範囲の中で、市民サービスの向上に資する取り組みや業務の効率的、効果的な実施手法に向けた取り組みにつきましては、変更することが可能であるというふうに考えております。

【質問】指定管理者を選定することが重要なのではなく、どのようなサービスが提供され、本当に市民の福祉に資することができたかということが重要であります。そのために、評価測定が行われています。
現在の評価測定としては、毎年度終了後30日以内に事業報告書の提出を求めることになっています。報告すべき事項については、あらかじめ基本協定で定めてあり、実施した事業の内容及び実績や管理業務に係る実施状況、施設の管理状況、使用料収入の実績、管理経費等の収支状況、施設の利用者から寄せられた意見及びその対応状況、1年間の管理実績を踏まえての課題及び次年度に向けた対応等が記載をされているということになっています。そこでお伺いいたします。
現在の評価測定についての評価、いわゆる事業報告書の評価については、だれが行っているのでしょうか。また、評価項目として、先ほど述べた項目で十分であるとお考えでしょうか。

【答弁】吹野企画財政局長
指定管理者の業務の履行状況などにつきましては、毎年度終了後に、指定管理者から事業報告書の提出を求め、施設管理者である各所管部署において確認を行っているものでございます。また、各所管部署では、指定管理者の業務状況を年度途中にチェックするモニタリング評価を実施しております。
その内容といたしましては、適切な管理運営の確保やサービスの質の維持向上につなげていくため、業務の履行状況が良好か、利用者のニーズを踏まえた取り組みが行われているかなどについて評価しているものでございます。
その評価項目につきましては、本市の指定管理者制度に係る指針におきまして、各施設の特性を踏まえ、指定管理者と協議をして定めることといたしております。今後とも指定管理者による施設の管理運営が適切に行われ、より市民サービスの質の向上につながるよう、よりよい評価項目の設定につきまして検討してまいりたいと考えております。

【質問】もし指定管理者が、決められた期間、運営できなかった場合の責任の所在はどうなるのでしょうか。指定管理者制度を導入しようとした行政機構の責任になるのでしょうか。選定した選定委員会の責任になるのでしょうか。または、議決を行い、可決をした議会の責任になるのでしょうか。御見解をお聞かせください。

【答弁】吹野企画財政局長
指定管理者による施設運営に当たって、災害等により施設の利用ができなくなった場合を除いて、指定管理者の責めに帰すべき事由によって施設の運営ができなくなった場合につきましては、第一義的には指定管理者に責任があると考えており、基本協定において損害賠償責任を規定いたしております。
一方、指定管理者の指定という観点での責任につきましては、その事案の状況により判断することとなりますので、一概に申し上げることはできませんが、最終的に、協定書を締結している市にも一定の責任はあるものと考えております。

【質問】さきの通知に、指定期間が複数年度にわたり、かつ地方公共団体から指定管理者に対して委託料を支出することが確実に見込まれる場合には、債務負担行為を設定することということが通知に書かれています。本市では債務負担行為として計上されていないと思われるのですが、理由をお答えください。

【答弁】吹野企画財政局長
本市では、指定管理者の指定を行う際に、まず複数年にわたる基本協定書によりまして、指定期間、管理業務の対象施設、管理業務の範囲、責任の所在等を定めております。また一方で、全体事業費につきましては、各年度での変動等もございますことから、経費や支払い方法、その他の詳細の事項と合わせまして、各年度ごとに結ぶ年度協定書で定めまして、単年度ごとの予算措置としているものでございます。
議員御指摘の総務省通知におきましては、支出することが確実に見込まれる場合と記載されておりますが、本市のような契約形態の場合、基本協定書において支出の根拠となる金額の定めがないため、これには当たらないと解釈をしているところでございます。

【質問】具体的に各施設について伺ってまいります。
労働福祉会館、労働センターについてであります。労働福祉会館、労働センターは、昭和41年に建設をされ、財団法人尼崎市勤労者福祉協会によって運営されてきました。その後、外郭団体の統廃合等により、指定管理者制度を導入し、平成21年4月1日より平成24年3月31日までNPO法人シンフォニーによって運営されています。つまり年明けの3月末までが指定期間ということであります。
しかし、先日の新聞報道に大きく、労働福祉会館、平成24年度廃止の大きな見出しで記事がありました。同時期に説明を受けた平成24年度予算編成に向けた主要取組項目の中のナンバー44に、労働福祉会館、労働センターの廃止について、平成24年度末をもって廃止と明記されています。
存続議論に目を奪われがちですが、ここで不思議なことに気づきました。先ほど述べたように、労働福祉会館、労働センターの指定期間は、そもそも平成24年3月31日までであります。平成24年度予算編成に向けた主要取組項目では、平成24年度末、つまり平成25年3月31日を示し、1年間のタイムラグが発生することになります。このタイムラグとも言える1年間は、どのように運営するつもりなのでしょうか。
延長には議決が必要なため、当局の意思で勝手に1年延長することはできないはずです。とするならば、指定期間の満了が3月31日ですから、4月1日より継続して業務を行おうとすると、それまでに指定管理者の選定の手続が必要であります。議会に対しての説明はありません。当局は、安易に1年間延長すればいいと考えているのではないでしょうか。
事務手続のフローから考えて、正規の手続を踏むならば、年末までに募集が行われなければ、編成が間に合わないはずです。つまり現在の指定管理者へただ単に延長させることで、募集の手続をとらないつもりなのでしょうか。もしそう考えているならば、議会軽視と言ってもいい状況です。
本市では、先ほど述べた指定管理者制度についてという指針では、募集方法及び募集期間という項目の中で、指定管理者の募集は、尼崎市公告、市報あまがさき、市ホームページなどを活用して広く周知することとし、募集期間は1カ月以上確保することとするとあります。
つまり1年間指定管理の延長が必要ならば、選定委員会を設置し、募集期間を1カ月以上確保して、選定作業を行わなければなりません。少なくとも年末には、先ほど申したように、公募を行わなければ、手続が間に合わないような状況になります。この手続をもしとらないならば、労働福祉会館の年間経費6,625万7,000円、労働センターの経費1,270万5,000円、合わせて7,896万2,000円という巨額な随意契約を行うのでしょうか。
一方で、来年3月には、平成24年度の予算審査が行われます。つまり平成24年度の予算に労働福祉会館と労働センターの指定管理料が計上されることになるはずです。
しかし、またここで一つ疑問がわきます。当局は、1年間の指定管理延長について、内部決定しているのに議会に説明していない状況で、次年度予算を編成しようとしているのです。このような姿勢からも、議会に対する説明責任が感じられません。
また、説明せずに議会に予算を提案するという姿勢は、議会が当たり前に予算を通過させると見越してのことなのでしょうか。もしそのようなことを想定してのことであれば、議会軽視と受け取らざるを得ません。適切に議会へ状況を説明すべきであります。
以下のことからも、対応が後手後手になっていることがわかります。
労働福祉会館は、貸し館事業を行っています。部屋の予約は、基本的に3カ月前からとることができるようになっています。正常な手続を経るならば、議会で指定管理期間の延長が議決されていない状況で、かつ予算についても認定されていない現在の状況では、一たん12月末で予約をとめなければならないはずです。通常であれば、そのようなことを想定することはなく、毎年4月、年度を越しても予約が入っていくとは思うんですが、現在のような施設の存続自体が不明な状況では、最悪の場合、利用する市民に迷惑をかけることになるはずです。だからこそ、議会に対して前もっての説明が必要なのであります。
現状では、恐らく指定期間の再延長の議案が2月議会に上がってくると想定されます。そのときには、存続ありきで既に4月以降の予定が入っており、議会としては、市民に迷惑をかけてしまうことを考慮し、延長せざるを得ない状況になってしまうのではないでしょうか。市民の利用を人質にされているようなものです。ここでお伺いします。
今後、どのような手続で指定管理の指定期間の延長を行うつもりなのでしょうか、お聞かせください。

【答弁】芝産業経済局長
労働福祉会館と労働センターは、平成24年度末で廃止する方向で行財政構造改革推進プランに計上し、現在、市民意見をお聞きしているところでございます。
廃止する場合、次の指定管理者とは1年間だけの契約となり、管理業務に係る初期投資や人の採用の問題、また老朽化が著しく、施設設備の突発的な故障が想定されることなどから、公募は現実的ではなく、現指定管理者に継続して委託することが適当であると考えております。
この場合の手続といたしましては、平成24年2月議会におきまして、指定管理者の指定期間の延長につきまして、必要な議案を提出することとなってまいります。

【質問】対応が後手後手になっているように感じますが、平成23年度末となっていたものを平成24年度末まで延長しなければならなくなったのか、その理由をお聞かせください。

【答弁】芝産業経済局長
労働福祉会館及び労働センターは、主たる利用者層が労働団体から近隣の住民へと変化してきておりまして、また施設の老朽化や利用率の低下といった課題を抱えていることから、現在の指定管理者の指定期間が満了する平成23年度末に廃止する方向で事務を進めてまいりました。
この間、市民説明会や利用者説明会を開き、その中では、労働福祉会館以外の老朽化している施設をどうしていくのか、また、施設を廃止した場合にホール機能の代替をどのようにしていくのかなどの意見が数多く出されたことから、全市的な公共施設のあり方やホール機能の代替策等について検討を行ってまいりました。
これらの意見に対する方向性を平成24年1月に策定予定の公共施設の最適化に向けた取組について(素案)でお示しさせていただくことから、平成24年度末をもって廃止することを他の施設に先行して明らかにし、そのための事務に取り組んでいるところでございます。

【質問】そもそも平成23年度末をもっての契約満了が延長されることになれば、先ほど述べた年間8,000万円の経費が必要です。その経費があれば、他の事業が、もっと別のものが展開できたはずです。また、将来に対する負担が削減できたはずです。そこでお伺いいたします。
この8,000万円の支出の穴埋めはどのように行うつもりなのでしょうか、お聞かせください。

【答弁】芝産業経済局長
労働福祉会館につきましては、23年度末の廃止を目指して事務を進めてまいりました。現行の指定管理期間は平成23年度末でございますが、24年度、1年間の指定管理経費といたしましては、約8,000万円が必要となるものでございます。
現在、全市的な公共施設の最適化に向けた取り組みを進めているところであり、また先ほど申し上げました市民説明会などでの意見を踏まえました結果、平成24年度末での廃止を行おうとするものでございます。

【質問】すこやかプラザについてお伺いいたします。
すこやかプラザの平成23年度予算よりも、平成24年度応募提案額が増加しているようです。平成23年度予算額4,177万8,000円であったものが、平成24年度応募者提案額4,224万1,000円となり、46万3,000円増額となっているようです。軽微な増額のように見えますが、詳細を見ると、4つの項目について増減が発生しています。
まず、1項目めは、年50日勤務の情報担当職員の配置のために30万円の増額、この理由としては、他者との交流が少なく、在宅で子育てをしている保護者などは、孤立する傾向にあり、必要な情報を必要としている保護者に着実に伝える取り組みが課題となる中で、子育てにかかわる悩みや負担感を持つ保護者が必要としている身近な情報をより積極的に収集、発信できるよう、専任の担当職員を確保するための経費の追加ということになります。これは理解ができます。
また、2つ目は、利用者が減少しているすこやか住まい体験館の廃止に伴うもので、36万8,000円の削減、3つ目は、光熱水費を中心に、施設維持管理に係る経費として、より効率的な管理運営を行うことで、施設維持管理経費40万4,000円の削減です。
最後の4項目めとして、ここが一番ちょっと不思議なんですが、NPO法人子どものみらい尼崎は、すこやかプラザの指定管理者となった平成21年度の前年(20年)に設立した法人であり、NPO法人にも説明、税金はかかるが、消費税に関しては、設立後2事業年度については納入義務が免除されるため、現行の指定管理期間中は特に公課費を計上しなかった。しかしながら、消費税等の公課費は、指定管理業務の実施に伴う必要な経費であることから、次期指定管理者の募集に当たり、消費税等公課費の計上、93万5,000円を追加したと説明をされています。
2項目めと3項目めの経費節減でお金が減ることについては理解できるんですが、最後の4項目めについては、本来、消費税については、指定管理者の指定管理料から支払われるべき性格のものであって、なぜ必要な経費として行政が配慮して追加計上する必要があるのでしょうか。
消費税などのいわゆる税金については、どこの指定管理者でも発生するはずです。今後、他の指定管理者についても、同様に、消費税等公課費について追加計上されることになるのでしょうか。お聞かせください。

【答弁】俵企画財政局長
消費税は、商品、サービスを提供する事業者に負担を求めるものではなく、それらの提供を受ける側が負担する税でございます。したがいまして、指定管理委託料につきましては、市が消費税を負担することとなります。
こうしたことから、平成23年度の指定管理委託料で申し上げますと、NPO法人子どものみらい尼崎以外の他の指定管理者に対する委託料のうち、社会福祉法に基づく社会福祉事業などといった非課税対象となるものを除きましては、市として消費税の相当額を含めて支出しているところでございます。

【質問】まず、すまいづくり支援・情報提供事業で、人数のほうは測定できないということなんですが、恐らく一人一人の人数というのは測定できないかと思います。ただ、今現在やっている状況の取り組みから、お金を投じて何かちょっと刺激を与えるような情報提供をすることによって、応募件数であるとか、どういった媒体で見たのかというようなアンケート調査とか、いろんなもので、どれだけの人たちにその情報が伝わったのかということは、比較検討、情報としてまとめることができると思いますので、それについてはきちっと分析をしておいてほしいと思います。
あと、組織改正のところなんですけれども、2階層化によって簡素化しているけれども、複雑になったという答弁があって、ちょっとよくわからなかったんですけれども、簡素化しているのに何で複雑になるのかというのがよくわからなかったんですけれども、すごくちょっとごまかされたような形になっていると思います。しっかりとした3階層構造に戻すことで、指揮命令系統が整うということを期待しておきたいと思います。私も、ちょっとわかりにくかったので、もとのほうがいいなと個人的には思っています。
あと、ちょっと指定管理者制度についてなんですけれども、まず全体的なところの、金額がないから当たらないというふうに、債務負担行為を設定しないことについてなんですけれども、これについては、金額があるかどうかというよりも、毎年度決まった金額が、まあ言ったら予算が一定部分縛られるということが問題で、これについては削減ができないということをあらかじめ議会や市民に対してもわかるような形にしておくということが必要だから、債務負担行為を設定しなさいという考え方になっていると私は思っています。ですので、契約のところに金額がないから債務負担行為に当たらないという考え方は、ちょっといかがなものかなと思います。
次に、やっぱり労館ですよね。本来でいうと、今回すこやかプラザの再募集の議案が12月議会に出ていますが、3年前、実はこれと同じ時期に労館とすこやかプラザの議案が同時に上がっていたんですね。つまり本来の手続、正常な手続で進めようという、議会に対して真摯に説明をしていこうというならば、この議会でしっかりと労働福祉会館についての方向性については手続を踏まなければならなかったものを、やっぱりそうですよね、結局、2月に、延長という形で、ちょっとイレギュラーな形の議案を上げてしようとしている。それについては、しっかりと手続を踏まなければ、本当に議会をばかにしているような形になりますので、これについては、次以降、しっかりと議会に対して、これを教訓にしてほしいと思います。
それと、すこやかプラザの消費税の問題についてなんですが、この消費税、そもそもすこやかプラザは、3年前、1社応募ですね、1団体の応募でそこに決まったような経過もあって、すごい不透明な状態、かつ、設立からまだ1年たっていなくて、会計情報も何もわからない。いわゆる決算ができていなくて、NPO法人としての会計情報が全くわからない状態で指定されているということが非常に問題なんですね。
そういういわゆる運営が本当にできるのかどうかわからない団体に指定をしているということが問題で、かつ、指定管理の案件を出す場合に、恐らく本当ならば、どこが応募してくるかわからないから、消費税はもともと指定管理料の中に含まれているはずなんですね。それをこういう形で追加計上するというのは、本当にその団体に対しての支援というのがすごく不公平感というか、何か不思議な支援の仕方をしているということがありますので、こういう形というのはいかがなものかと思います。これについては、もう少し追及していきたいと思います。
指定管理の部分について、やっぱり一番大切なのは、どういうふうに指定管理をしてよくなっていったかということの評価の部分についてなんですが、主に経費等の管理に関する項目がメーンとなっていますけれども、本来の設置目的や政策目的が本当に推進されているのかどうかというメルクマールを引いていく必要性があると感じています。
そして、主に行政担当者がチェックをしているような状況ですけれども、これについては、議会への報告や第三者機関によるチェックが必要であると考えています。直営で行われていた場合には、毎年、議会によるチェックが入りますが、指定管理者制度については、客観的なチェックが数年間入らないということが課題であると考えています。
事例を少し調べてみると、横浜市では指定管理者の第三者評価を行っています。横浜市の策定した評価マニュアルについて、民間の希望者に研修を行い、研修修了者には試験を実施し、合格者には評価員としての資格を与えています。そして、評価員を2名以上所属させている法人を評価機関として認証し、指定管理者には評価機関から評価を受けるように指導しています。評価に要する費用、約20万円ほどなんですけれども、これは市が負担しています。
このように民間評価機関の評価を制度化することによって、評価機関は、複数の類似の公共施設の運営管理について評価することで、客観的な評価ノウハウを蓄積することにつながるとされています。この制度によって、人事異動で職場がかわる公務員よりも、人件費、継続性や専門性などを持つことにつながります。しかも評価での収入で一定の専門領域の形成も可能となり、コミュニティービジネスの一助とすることが可能だとされています。そこでお伺いいたします。
指定管理を行っている施設については、各担当常任委員会の報告や横浜市のような第三者評価機関によるチェックをしてはいかがでしょうか、御見解をお聞かせください。
公共施設の目的、ミッションを明確にし、仕様書や要求水準書を十分に吟味し、経費節減のみではなく、民間のノウハウ導入を主目的として、適切な事業者を選定し、第三者評価で専門的、客観的評価システムを構築すれば、本来の指定管理者制度の目的を発揮することにつながるのではないかと考えます。以上でこの項目を終わります。

【答弁】吹野企画財政局長
先ほども御答弁申し上げましたとおり、本市では、指定管理者の業務の履行状況や経理状況等が良好か、利用者のニーズを踏まえた取り組みが速やかに行われているかなどについて、毎年度、モニタリング評価を実施しております。モニタリング評価の結果につきましては、ホームページでも公表しているところであり、こうした情報に基づき、予算決算の審議を通じまして御意見をいただければというふうに考えております。
また、議員御指摘の第三者の視点からの評価を導入することにつきましては、現在の取り組み状況を確認する中で、よりよい市民サービスの提供につなげるといった視点から検討してまいりたいと考えております。

【質問】世代間格差についてお伺いしてまいります。
総務省の発表による日本の人口のピークは、2004年12月の1億2,783万8,000人です。今後、人口は次第に減少し、2050年には2割減少し、1億人を割り、2080年には約半分になり、2100年には5,000万人を割り、4,771万人になると予測されています。この人口は、日露戦争当時の日本の人口4,780万人とほぼ同じに当たります。
終戦後、日本は、高度成長を経てバブル経済が崩壊するまで、右肩上がりの経済に支えられ、順調にまちづくりを行ってきました。また、本市の歴史は、そんな日本経済そのものと言っても過言ではありません。
日本は、世界に類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。1950年代には、20歳から64歳の成人、つまり生産年齢人口10人で1人の高齢者を支えればよかったのが、1990年には5人で1人、2050年にはほぼ1人が1人を支えなければならないと想定されています。
人口は、先ほども述べたように、我が国は2004年にピークを迎え、減少が始まっています。しかし、世帯数は増加を続けています。このまま2015年ごろまで増加していくと予測されています。人口は減っているのに世帯数がふえるということは、世帯の規模が小さくなっているということを示しています。晩婚化や、結婚をしない、できないと言われる若者の増加が、単独世帯をふやしている要因の一つです。また、漫画の「サザエさん」のような3世代同居が少なくなり、高齢者夫婦だけの世帯や高齢単身者の増加も要因です。
しかし、今後は人口減少社会に入るため、今までの考え方をしていては、持続可能な社会を存続できません。なぜならば、日本社会システムは、人口が右肩上がりに増加することを前提に、すべてのシステムが構築されているからであります。年金制度や医療保険制度等の社会保障制度などは、まさにその最たるものであります。今後は、人口が減ることを前提にした、人口が減ることの利点を享受できるようなまちづくり政策が必要であります。
まずここで、世代の定義を確認しておきたいと思います。辞書を引くと、同時代に生まれ、共通した考え方、感じ方を持つ人々、ある年代層、ジェネレーションとあります。つまり世代間格差とは、それぞれ一定の年齢幅のまとまった世代間で起こっている差別的な状態を指しています。
次に、世代格差はどのように分析することができるのでしょうか。これを分析する方法として、世代会計という考え方があります。その世代会計の考え方は、一生のうちに政府に支払う税金や社会保険料などの負担総額と、政府から年金、医療、補助金、教育、公共事業等の便益総額の差額が、生涯純受益として計算されるものであります。
これについて内閣府の試算では、2003年度に60歳以上の世代は約4,900万円の受益超過になるのに対し、20歳代の世代は約1,700万円の負担超過となっています。もっとひどいのは、20歳以下の世代やこれから生まれてくる世代では、4,600万円の負担超過となっています。
また、昨年8月6日付の日本経済新聞の記事では、60歳以上の世代は約4,000万円の受益超過である一方、将来世代の負担超過額は約8,300万円とされ、まさに1億2,000万円を超える差額が生まれるとしています。
この世代間格差の原因として、加藤久和明治大学政治経済学部の教授の著書「世代間格差」の中で、5つの要因が挙げられています。1つ目が人口構造の変化、2つ目が若者に頼った財政システム、3つ目が日本特有の雇用慣行、4つ目が近視眼的な政策対応、5つ目が経済成長の鈍化とされています。
1、2については、先ほど述べたので割愛します。3の日本特有の雇用慣行についての要因は2つあり、まずは、新卒で切れ目なく就職できなければ、賃金格差が非常に大きくなるということ、それと年功序列、終身雇用の日本型雇用システムによる影響です。4、5については、今さら説明の必要もなく、日々の事例に事欠かないような状況であります。
さて、これからの時代、どのように将来を見越してまちづくりを行っていけばいいのでしょうか。その一つの答えとして、現在苦しいからこそ、将来に向け、種を植え、水をやり、立派な花を咲かせなければなりません。つまり将来を支える人材育成に力を入れることが、将来につながるのであります。
元来、日本は資源が乏しい国であります。それが世界一の経済発展を遂げることができたのは、すばらしい人々がいたからこそであります。だからこそ、しっかりと社会を担ってもらえるように、人材育成を行っていく必要があります。
OECD諸国の教育支出のGDP比で見たところ、2007年の平均が5.7%であったのに対し、日本は4.9%と大きく下回っています。
教育は人生全般にわたって基礎的能力を養うもので、高い教育を受けた人ほど、その知識や能力が培われ、その結果、相対的に高い賃金が得られ、失業のリスクが少ないと先ほどの加藤教授は述べています。さらに、教育によって人的資本が高まれば、経済成長や社会の進歩につながり、正のスパイラルが動き出すとも述べています。
本市の一般会計に占める教育費の割合は、平成19年度が10.2%、20年度が10.1%、平成21年度が11.4%、22年度が7.9%、そして23年度が8.3%と教育費の割合が低下してきています。そこでお伺いいたします。
将来を担ってもらう人材育成を行う教育費を一定割合キープするような枠予算を設定することについての御見解をお聞かせください。

【答弁】吹野企画財政局長
本市では、現在、多額の収支不足が生じ、長年にわたって財政健全化に向けた取り組みを進めているところであり、予算編成に当たりましては、各分野での重要度や事業の内容を十分に精査した上で、その必要額を計上しているところでございます。
このように、一定割合の予算額を確保するといった財政状況にはございませんが、教育費の重要性は十分認識しておりまして、必要な取り組みに対しましては予算措置をしてまいりたいと考えております。

【質問】高等教育を受ける割合が増加しています。文部科学省の調査によると、高校進学率が97.8%、大学進学率が52.8%となっています。
しかし、特に大学生は、私立への進学割合が高くなっており、高額な授業料の負担をする家庭側の負担も、景気低迷などによっても、大きくなっているため、アルバイトをする割合が高くなっています。それが学業に影響を与え、本来の目的が失われている若者も珍しくありません。確かに遊興のためのお金という側面もあるかもしれませんが、非常に厳しくなっていることは、インターン生を受け入れていると、それを如実に感じます。
現在の神崎製紙育英資金奨学生や澤水育英資金奨学生は、給付となっていますが、本市独自の貸付制度を設置することを検討すべきではないでしょうか。返済まで本市に居住することを条件に貸し付けるなど、条件を付して設定し、希望者が使えるような制度を構築することで、若者やこれからの世代の定住につながるかと思います。そこでお伺いいたします。
お金の面で教育をあきらめないように、奨学金制度を充実させてはどうでしょうか。御見解を求めます。

【答弁】徳田教育長
奨学金制度といたしましては、日本学生支援機構や兵庫県など、貸付型の制度がございますので、現在はそちらの制度を利用していただいております。
貸付制度の問題点といたしましては、一般的に貸付金の回収が困難となるケースが多くなっております。本市におきましても、私立大学及び私立高等学校等の入学支度金貸付制度がございましたが、国や県等に同様の制度があり、本市の利用件数が減少したこと、また貸付金の回収が困難となり、滞納件数が増加したこともありまして、平成23年3月末をもって廃止といたしました。
これらのことを考えますと、本市独自の貸し付け型奨学金制度を新たに創設することは困難であると考えております。

【質問】現在の日本の社会保障支出は、高齢者向けに偏っています。これは、賦課方式を採用しているため、高齢世代を現役世代が支えるという制度になっていることと、従来の考え方では、若者は仕事をし、働くことができるので、社会保障に関する施策は必要でないとの考えに起因しています。
しかし、雇用・就労環境が変化し、若年層の雇用について非常に厳しい状況になっていることは明白です。つまり、若年層に対しての雇用・就労環境分野をもっと積極的に政策推進していくことが必要であると考えます。そこでお伺いいたします。
現在、本市では若年層に対する就労支援事業等を行っていますが、今後の方向性についてお聞かせください。

【答弁】芝産業経済局長
若年層に対する就労支援は重要であると認識しており、若年の就労希望者を対象に、就職意識の啓発と就職活動への不安を解消するプレジョブスクールや、意識啓発、人材育成、そして個別就労マッチングを一貫して行うしごと塾を実施してまいりました。
今後も若年層の就職環境は極めて厳しい状況が続いていくと予想されることから、プレジョブスクールやしごと塾に加えまして、新たに実施しております無料職業紹介事業を活用するなど、市といたしまして、若年者の就労支援に積極的に取り組んでまいります。

【質問】実際に世代間格差の問題は、市町村で解決できる問題は非常に少ないかもしれません。しかし、できることを国に先駆け率先して行わなければ、本市の先行きは暗いものになってしまいます。
本市で考えられるものの一つとして、社会保障の一つである国民健康保険については、市町村が保険者となっているため、仕組みを工夫することができるのではないかと考えます。
本市の国民健康保険料は、県下で最も高いと言われています。保険料が高くなる理由を考えてみると、そもそも保険という仕組みは、納める金額と人数、使用する金額と人数によって成り立っています。本市の状況を踏まえると、保険を使用する人数や金額が多いが、減免や免除が多いこと、また未納者が多いことで、少ない人数で制度を支えなければならない状況であると言えます。
このような状況が続けば、若い世代は、健康保険料が高くて払えない状況や、医療保険を使用する機会が少ないため支払わないというモラルハザードが起こってしまい、より一層、国保財政の悪化を招くことにつながります。
昨今、本市では、治療から予防へ医療がシフトするのに合わせ、ヘルスアップ尼崎戦略事業を行い、医療費の抑制に取り組んでおります。しかし、健診の受診が伸び悩んでいる状況です。そこで、提案であります。
健診受診の有無を保険料に反映してはいかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
被保険者一人一人がみずからの健康に関心を持ってもらい、健康に過ごしてもらうことが本来の目的であります。だれも病気になって医者にかかりたい人はいないはずなので、自分の体について一定の責任感を持ってもらうことは、非常に大切な取り組みであると考えます。若い世代の代表として、しっかりと同世代の問題、課題を代弁することが、私が今この尼崎市議会に存在している理由の一つであると感じます。また、生まれ育った尼崎というまちをできるだけ持続可能な状態で次の世代に引き継ぐことが、今を預かっている私の責務であると考えています。
今後もこの世代間格差の問題について取り組んでいくことを申し上げ、以上で私のすべての質問を終わらせていただきます。先輩同僚議員の皆様におかれましては、御清聴いただき、まことにありがとうございました。

【答弁】森山環境市民局長
国保の被保険者一人一人が健康で自立した生活を送るため、自己管理能力を身につけることは大切であり、健診受診はそのための重要な手段であります。また、一方で、健診受診率を高めることが、長い目で見て、国保財政の安定化、保険料の軽減にもつながるものであると考えております。
しかしながら、国保料につきましては、所得に応じて、あるいは税金に応じて御負担いただくという考え方になっており、また特定健診は被保険者に受診義務は課されていないことから、健診受診の有無により保険料を増減させることにはかなり高いハードルがあると国の見解でも示されているところでございます。
こうしたことから、保険料の軽減によらない受診率の向上を図るためのインセンティブの導入について、検討を進めてまいりたいと考えております。

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