2012年12月 第21回定例会 一般質問
【質問項目】
■財政について
・次期行財政改革について
・平成25年度新規・拡充事業(素案)について
■まちづくりについて
・ファシリティマネジメントにおける学校統廃合について
・世代バランスの確保について
■戦略的な組織運営とICTの活用について


■財政について
・次期行財政改革について
【質問】まず、財政についてお伺いしてまいります。
次期行財政改革と平成25年度主要事業取組項目(素案)についてお伺いいたします。
11月27日の会派代表者会において、あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト~持続可能な行財政基盤の確立に向けて(素案)、平成25年度主要取組項目(素案)が提示されました。
細かくいろいろと伺っていくこともできますが、詳細については、来年度予算のときに審査することとし、端的に一つだけ気になったことをお伺いいたします。
近年の扶助費の抑制策について新しい取り組みが、ヘルスアップ戦略事業の拡充だけとなっている点です。
本市の一般会計の割合の40%に迫る扶助費の中で、年々増加してきている生活保護費の抑制策についても、もっと積極的に費用投入を行うべきではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】村山副市長
現在、国におきまして、生活保護を含む社会保障制度全体の抜本的な見直しが進められております。
本市におきましても、生活保護費を初め、扶助費が年々増加しておりますことから、次期行財政改革計画あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト(素案)におきまして、健康で自立した生活の確保に向けた取り組みを主要な課題として位置づけております。
そのような考えのもとで生活保護に関しましては、生活保護受給者に対する就労支援や医療費対策に一層の取り組みをしていくことはもちろんのことでございますけれども、社会経済情勢の影響から、雇用や健康面から生活困窮に陥らないように、予防的な取り組みやそういう方策に重点的に取り組むことは大事であろうと、そのように考えておりまして、25年度におきましても、そういった点に力を入れて進めていきたい、そのような方向の中で自立促進に向けた施策を進めていきたいと考えているところでございます。
今後、国の改革の方向性が示されることになりますが、それとの整合性を図りながら、体制整備も含めた、さらには総合的な検討を進めながら対策を講じていきたい、そのように考えているところでございます。

■まちづくりについて
・ファシリティマネジメントにおける学校統廃合について
【質問】まちづくりについてお伺いいたします。
ファシリティマネジメントについてお伺いしてまいります。
12月2日午前8時ごろ、中央高速道路の笹子トンネルで崩落事故が発生しました。トンネル天井がV字型に折り重なるように崩れ落ち、事故発生時に走行中であった自動車3台が下敷きとなって燃え、死者9人という事故が起こりました。
国土交通省によると、日本国内での高速道路における天井の崩落事故による死亡事故は過去に例がなく、建設後43年間経過しているものの、修理や交換などの記録はないということであります。
これはまさに公共施設マネジメントが欠如していることにほかなりません。ハード建設をした後については、責任を持って、維持管理について、長期的視野を持って、しっかりと挑まなければなりません。これまで先人たちが、多大なお金と時間をかけてつくってこられた社会資本のおかげで、今の我々の生活があります。日ごろは当然のことと思い、ともすればその存在について意識すらしないのではないでしょうか。公共施設は、高度経済成長の人口急増期に集中して整備してきたので、大部分が時を同じくして老朽化の問題を抱えています。
これからの本市の社会状況に合わせ、選択と集中をしながらもきちんとした対策を推進することが必要です。多くの自治体にとって、この大規模メンテナンスは、財政的な危機を招くと解釈されているのか、メンテナンスという保全の概念が政策的にも財政的にも後回しになっている傾向があると感じるのは私だけでしょうか。
いみじくも民主党がコンクリートから人へやハードからソフトという流れの中で、本来当たり前とされる安全性が後回しになってきたのではないでしょうか。私は、コンクリートであっても必要なものがある、管理者が行政しかできない、また万人が使うものについては、福祉施策にすら優先される状況が発生するのではないかと考えています。
そのような中で、現在本市は、公共施設の最適化の取り組みを策定し、取り組みを検討しています。しかし、学校や市営住宅については、尼崎市立小・中学校適正規模・適正配置推進計画や、市住宅マスタープランに分れており、一体的な取り組みがとれない状況です。計画どおりに進捗するならばいいですが、尼崎市立小・中学校適正規模・適正配置推進計画は、平成25年度までとなっているにもかかわらず、進捗状況は著しくありません。そこでお伺いいたします。
尼崎市立小・中学校適正規模・適正配置推進計画は、計画どおりに平成25年度までにやり遂げられるのか、やり遂げられないならば、一たん白紙に戻し、公共施設マネジメントの観点から、資産統括局で一括して管理するほうがいいと考えますが、御見解をお伺いいたします。

【答弁】徳田教育長
小・中学校の適正規模等推進計画につきましては、対象校の保護者及び地域の方々への説明や意見交換を重ねてきたところでございますが、第2次計画を策定いたしました平成19年度以降は、いずれの学校も統合には至っていない状況でございます。
本計画は、平成25年までを計画期間をしており、残すところ1年余りしかございませんが、過小規模解消に向け精一杯努力してまいりたいと思っております。
また、小・中学校の適正規模・適正配置の推進につきましては、議員御指摘のように、公共施設マネジメントの観点も必要かとは存じますが、法におきまして、学校の設置や管理、廃止に関する事項は、教育委員会が所管することとされております。
したがいまして、まず第一に、児童・生徒の集団を確保し、よりよい教育環境を整えるといった教育的視点を踏まえた上で、資産統括局とも協議しながら、教育委員会で検討してまいりたいと考えております。

【質問】尼崎市立小・中学校適正規模・適正配置推進計画は、平成13年度に策定され、現在に至ります。10年以上ほとんど計画どおりに進んでいない状況を打開するためには、新しい方策を検討しなければならないと考えます。
そこで提案ですが、この適正規模・適正配置推進計画は、教育委員会主導で計画、策定されていますが、統廃合について二、三年の検討期間を定めて地域に検討してもらうことはできないでしょうか。
例えば、1つの行政区に7カ所の小学校があったとします。それを財政面、人口動態を踏まえると5校にしなければならない場合、これまでならば、A校とB校を統合します。統合後はA校です。ということを教育委員会が提示していました。それを教育委員会が提示するのではなく地域で話し合ってもらい、一定期間後、結論が出れば、その結論を尊重して進め、もし結論が出なければ、そのときに初めて行政提案を示し、丁寧な説明を行うものの、統合については粛々と進めていくというような方法をとらなければ、全く統廃合が進まず、公共施設が減っていかないことになります。すなわち、削減できないときの見えないコスト負担は、結局市民に重くのしかかってくることになります。
地方分権が叫ばれ、真の自治を推進するというならば、このような方法で地域の皆さんに参画していただき、自分たちの地域の将来像を自分たちで描くことについてみんなで知恵を絞ってもらうことが必要ではないでしょうか。そこでお伺いいたします。
学校施設の統廃合については、地域が意思決定できる仕組みを構築し、進めていくことについての御見解をお聞かせください。

【答弁】徳田教育長
議員御提案の地域が学校統合の意思決定を行う仕組みを構築することにつきましては、統合等により適正規模を実現する手法の一つと認識しており、他都市でも取り組む事例がございます。
その評価についてお伺いしましたところ、統合先を決めることなく話し合いの場についていただいたことから、スムーズに統合が進捗した事例もあれば、統合先で折り合いがつかず膠着状況に陥り、地域の会議体を中止している事例もあるとお聞きしております。
いずれにいたしましても、今後の適正規模等推進事業をどのように進めていくかにつきましては、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

【質問】その際に、もう一つ整理しておかなければならないことがあります。それは、学校統廃合を行い、活用した売却益の取り扱いです。
尼崎市立小・中学校適正規模・適正配置推進計画では、基本的に学校施設等の整備に充てることとするとされていますが、これを現在の教育分野の問題点である中学校給食の実施と普通教室における空調設備に使うということに明確化してはどうでしょうか。現在の教育の課題を解決し、未来の子供たちのために、既存の学校の土地について活用させてください。そして、その活用した用途についてはこのようにしますと明確化しないと、なかなか市民理解、地域理解は進まないと考えます。地域説明に赴くときに、この点が不明確であるから、統廃合について理解が得られないということはなかったでしょうか。ここでお伺いいたします。
活用した売却益の用途を明確にすることについての御見解をお聞かせください。

【答弁】徳田教育長
学校統合後の跡地売却益につきましては、公共施設整備基金に積み立てた上で、公共施設の整備費に充当することといたしております。それまで保護者や地域の方々と協議を重ねてまいりました中では、跡地を売却しないでほしいといったものも含め、跡地の活用方法に関するお尋ねが多くある半面、統合に反対しているのに跡地の活用についての話はしたくないとの御意見も多々お聞きしております。
いずれにいたしましても、議員御指摘のように、用途を明確にいたしますことは、毎年度の財政運営やさまざまな課題に対する施策との関係もあり、困難と考えておりますが、現実的には御趣旨の学校施設の耐震化など教育施設の整備のために活用してきたところであり、教育委員会といたしましては、今後もこのような方向で活用してまいりたいと考えております。

・世代バランスの確保について
【質問】次に、世代間バランスの確保についてお伺いしてまいります。
6月に総合計画が策定され、その中に人口の年齢構成のバランスについて記載がされました。人口の総数の増減だけではなく、年齢構成にも着目する必要があるとし、子育てファミリー世帯を中心とした現役世代の定住、転入を促進していくことが重要であるとの記載があります。
そして、それを受け、次期行財政改革計画、あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクト、持続可能な行財政基盤の確立に向けて(素案)の中では、現役世代の定住、転入促進につながる取り組みの中で、良質な住宅の形成や都市魅力を高める取り組みとさまざまなまち情報の発信を通じて、現役世代の定住、転入を促進することにより、安定財源となり得る個人市民税を初め、税収の維持拡大を図るとともに、労働力人口を増やし、人口構成をバランスのとれたものにすることにより、安定した行財政基盤を確立するとあります。
先ほどの平成25年度主要取組項目(素案)において、確かにさまざまなまち情報の発信を通じての部分は、シティプロモーション推進事業の新規項目、「あまらぶ」ウェルカムムービー制作事業や(仮称)全長横断PRツール作成事業などが盛り込まれています。ここでお伺いいたします。
新規事業が、現役世代の定住、転入を促進することにどれほどの世代間バランス改善の効果を見込んでいるんでしょうか。御見解をお聞かせください。

【答弁】吹野企画財政局長
平成25年度の新規・拡充事業につきましては、都市の体質転換など行財政改革計画の理念を踏まえた取り組みにも財源の重点配分を行うことなどを基本として調整を行い、取りまとめたものでございます。
お尋ねの現役世代の定住、転入の促進につきましては、都市の体質転換に向けた取り組みの柱の一つでございまして、転出超過の傾向が見られるファミリー世帯への対策に重点を置いており、平成25年度に向けましては、学力向上クリエイト事業やシティプロモーション推進事業など、8つの新規・拡充事業を含めまして、15の事業をこの取り組みに資する事業として位置づけをしているところでございます。
これらの取り組みは、事業一つ一つから定住、転入促進の直接的な効果が即座に得られるものではございませんが、平成18年度に実施をいたしました転出入者のアンケート調査結果等をもとに対策が必要と考えられる環境面や治安面、学力面などに対するさまざまな取り組みを継続的に積み重ねていくことで、現役世代の定住、転入が促進され、世代間のバランス改善に寄与するものと考えているところでございます。

【意見】御答弁いただきました。まず、財政のほうの扶助費の抑制策のほうなんですけれども、国のほうの見直しということで、生活保護関連経費が3兆円を超えたということで、国のほうも抜本的な対策、本当に働けないのか、働きたくないのかということをもっと緻密に制度構築しなければ、ますます経費のほうが増大して、本当に納税をしている人たちの働く意欲というのも低減し、税金を納めんでもいいやんというような感覚を助長するような、本当にシステムとして制度不安を招かないような形でしていただきたいと思います。
特に本市の場合、政令市をのけると日本で一番生活保護率が高いというような余り好ましい状況ではないですが、それを改善するためにもしっかりとした制度をもう一度、尼崎市でできる取り組みをぜひともしていただきたいと思います。
公共施設のファシリティの関係で、公共施設の部分なんですけれども、やはり今回この質問を私が入れたのは、平成13年から教育委員会が提示するものがとまっている。地域の合意が得られていないというような状態がずっと継続して、それでそのままずっと統合が進まない。進む計画で、一方は行財政改革のほうで統合して、財政効果として土地の活用、総額としたら200億円ぐらい計上が実はここのほうに見込まれているんですけれども、それが一向に進まないおかげで、ほかの部分、人件費の抑制やいろんなもので場当たり的に財政を何とかしないといけないという形につながっています。
本当に教育のいわゆる質の部分でも、市が取り組む施策について足を引っ張っている。さらに公共施設について規模最適化ができていない、その部分についても足を引っ張っているという本当に教育の部分が改革できなければ、尼崎はどうにもならないような状態になっていると思います。ぜひとも進めていただくことをよろしくお願いいたします。
だからこそ、今回このような形で私は地域で合意をしてもらう。先ほど教育長の答弁がありましたように、地域に決定をさせるというよりも話し合わせるシステムを提示しなければならない。本来、教育委員会で考えて、地域でどうすれば話がまとまるのかということを考えて、そこの行政と地域の皆さんとの風通しや人間関係もできていないからこそ問題が起こる。それを恐れていたら一向に進まない。ぜひとも地域と皆さん、それぞれの地域、歴史的な経過や思いがある。そのようなものがあるからこそもっと行政のほうも、それはそう言っても尼崎市全体としては、不必要と言っては失礼ですけれども、統合しなければ財政全体がもたないということをしっかりと説明し、真剣に向き合っていただきますようお願い申し上げます。
世代間バランスの確保の部分についてもそうなんですけれども、効果を促すという形なんですが、やはりなかなかこの均衡バランスを何とかするということについては難しいとは思います。確かに、側面バックアップ的な間接的な事業というのは、今回提案のあるような形でどんどんとすることはできるんですけれども、直接向上させるように、その費用を投下したものに見合う分だけの効果が上がるような形にしなければならないと私は思います。

【質問】世代間バランスの確保について、私から一つ提案させていただきます。
本市は高齢化が進んでいるということが課題となっております。しかし、この高齢者の皆さんには、息子や娘がいらっしゃいます。その世代はまさに本市が転入を促したいファミリー世帯であります。それを逆手にとり、この高齢者の皆さんに情報発信のお手伝いをしてもらうというのはいかがでしょうか。お子さんと一緒に暮らしませんか。尼崎市は3世代近居、同居を応援しますというような、市内在住の高齢者の皆さんに、自分たちの子供たちに対して尼崎市子育てファミリー世帯持家取得資金補助制度などのPRなどを行い、近居、3世代同居を促す口コミマーケティングを行うのであります。これについて御見解をお聞かせください。

【答弁】衣笠都市整備局長
子育てファミリー世帯持家取得資金補助制度は、子育てファミリー世帯の市外からの転入、市内定住の促進を目的としており、中でも親と同居する場合や市外から転入されて市内在住の親と近居する場合につきましては、補助額を30万円から50万円に増額することで促進を図っているところでございます。
本制度につきましては、本年3月に設立した尼崎市すまいづくり支援会議において、不動産事業者などとの連携や市報等の媒体を通じ、広く周知、PRに取り組んでいるところでございます。現在、新たなすまいホームページづくりも進めており、今後、高齢者との同居や近居への呼びかけも含めまして、本制度の効果的な情報発信の方法について一層検討してまいりたいというふうに考えております。

【質問】また、この高齢者に対してのPR、積極的なアプローチについて、このスキームを活用して他のインセンティブを与える、新しい事業を構築することについての御見解をお伺いいたします。ふるさと納税のパンフレットを作成し、どこに住んでいるかわからない元市民に対して納税を促す取り組みよりもダイレクトにアプローチできると考えます。ぜひとも御検討ください。

【答弁】吹野企画財政局長
ファミリー世帯の定住、転入促進を進めるためには、そのインセンティブとなるような魅力的な施策を構築するとともに、その情報を効果的に発信することが重要であると考えております。
過去の転出入者へのアンケート調査結果を見ましても、市外への転出に伴い、親と同居しなくなる層が一定数おられます。こうしたことから、御提案のファミリー世帯の親世代への情報発信を通じて、本市での居住を促していくことも参考としながら、引き続きファミリー世帯への定住、転入促進に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

■戦略的な組織運営とICTの活用について
【質問】次に、戦略的な組織運営とICTの活用についてお伺いしてまいります。
まず、組織変革についてお伺いいたします。
平成15年度の正規職員数は4,018人であったものが、平成24年度には2,967人となり、1,277人、26.2%減少しているのに対し、嘱託職員は平成15年度688人であったものが、平成24年度には945人となり、258人、37.4%増加しました。
また、臨時的任用職員は平成15年度に426人であったものが、平成24年度には667人となり、273人、56.6%増加となっています。正規職員の人件費を抑制し、嘱託職員や臨時的任用職員への振りかえや、指定管理者制度の導入、民間委託の増加などのアウトソーシング等でコスト圧縮を行っていますが、そろそろ限界がきているように感じます。
一方で、平成21年4月の中核市移行や地方分権の進展に伴う権限移譲に伴う業務量の拡大が起こっていることを踏まえると、1人当たりにこなせる仕事量を超えてしまっていないか気がかりです。なぜならば、昨今の事務ミスの報告が多くなされており、多くのミスの原因はヒューマンエラーによるものが多く報告を受けています。また、その対策についても、改めて全庁的に意識の統一を図っていくというような精神論的な改善が報告の最後にあるように、抜本的な再発防止策となっていないように感じます。つまり、個人差に左右されないように仕組みで再発を防止する方法をとらなければならないと言えます。ここでお伺いいたします。
事務ミスについて、個人差に左右されない何らかの仕組みを構築し、再発防止が図られているかお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
事務処理ミスにつきましては、御指摘のように、ミスを防ぐ仕組みがなければその減少が図れないと考えております。そうした状況を改善していくため、従前、多くの職員が処理しておりました出勤簿や超過勤務命令などに係る庶務事務において、効率的かつ事務処理ミスの起こりにくい体制に改善すべく、平成21年7月からシステムを導入しておりますほか、事務の見直しやマニュアルの整備にも適宜努めているところでございます。そのほかには、多くの職員が携わる財務会計や契約、法制といった事務の能力向上も必要であると考えており、毎年実務研修も実施いたしております。
しかしながら、今なお、時として不注意による事務処理ミスが生じていることも事実であり、監査からの御指摘をいただくこともございます。その発生の防止に努めていかなければならないと考えております。
今後とも、システム化と職員の能力向上の両面での取り組みを実施していくことにより、事務処理ミスの防止に努めてまいります。

【質問】私の尊敬する経営者の一人に元トリンプインターナショナルの社長であった吉越浩一郎氏がいらっしゃいます。吉越氏は、経営とは会社が大きな成果を生み出すための仕組みをつくり上げることであると述べています。これはまさに本市が参考にすべきことであります。
ここで、吉越氏によると、この図のように会社の組織は三角形で表現できるとし、仕事のレベル、責任の重さ等によって階層が分かれ、頂点から社長やチームリーダーが頂点のほうにいて、幹部職員などの正職員、パートやアルバイトなどの階層に分かれています。そしてさらにその土台には、人間にかわって仕事を自動的に進めてくれるITの情報システムがあります。そして、停滞している会社は、この三角形の形がずっと変わらないと述べています。どういうことかというと、それぞれのポジションの人が同じ仕事を続けているだけで、仕事の質も量も成長しないため、毎日日々の仕事であるデイリーワークをこなすことで精いっぱいというように、まさに本市のような状態であるといえます。
吉越氏によると、組織において最も問題になるのは、戦略的な仕事をすべき社員がデイリーワークを抱え単純作業に追われ続けていることと指摘しています。継続して組織が伸びていくためには、IT化をして人手をかけないようにしたり、デイリーワークをマニュアル化してパートに任すなりして、会社全体の仕事の許容量をふやすことが必要と述べています。つまり、仕組みづくりをして、効率化をするということが大切ということです。ですので、全体の中でここの部分が正職員の仕事であったものを、一部仕組化をしマニュアルをつくったりして、正規職員がやる仕事ではなくパートやアルバイトであったりとか、もっとできるならばIT化をして仕事を落としていくという形になります。
組織を成長させるためには、IT化できる業務を徹底的にIT化することの一方で、作業は単純でも人の判断が必要になりIT化できないものが多いことがあります。そうした作業はマニュアル化してパートなどに任せていけばいいと述べています。
本市の管理職が行わなければならない業務について、情報システムに任せられるかやマニュアル化し、正職員の仕事を減らすことができているでしょうか。つまり、正職員は仕事を減らす方法を考え、IT化やマニュアル化を進める仕組みをつくるのが、戦略的な仕事をすることというのが本来の役割であります。レベルの低い仕事に引っ張られるのではなく、仕組みをつくって自分の仕事を減らし、より高度な仕事に取り組むことが正職員の本来あるべき姿と指摘しています。お伺いします。
本市の事務改善において、正職員がやるべきこと、嘱託職員や臨時的任用職員がやるべきこと、情報システムで行うべきことという事務分担を明確に区別できているかお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
これまで本市の厳しい財政事情を踏まえ、さまざまな事務改善に努め、必要に応じて嘱託職員や臨時的任用職員の活用を行ってきたところでございます。
これらを配置するに当たっては、その業務には正規職員が必要なのか、専門性から嘱託職員が望ましいのか、さらにはマニュアル化などによる臨時的任用職員での対応が可能であるのかなど個別の事務事業ごとに執行体制や業務の専門性、あるいは事務の繁閑等を踏まえて、適正配置に努めてまりました。さらに情報システムにつきましても、先ほども申し上げました庶務事務システムを導入することにより、これまで各局で担ってきたものを一元化するなどしており、いずれにおいても効率的かつ円滑な事務執行につながっていくことを主眼に事務の役割分担を精査し、配置してきているところでございます。

【質問】今述べているようなことが明確にできず、正職員が非正規の人と同じような仕事をしていたら、同一労働、同一賃金の考え方にならざるを得ず、正職員とパート、アルバイトが同じ給料になっても仕方がなく、現在自治体の中で起こっている、同じ職場で同じ仕事をしているのに賃金が違うという官製ワーキングプア等の問題についての本質はこの部分にあると言えます。
繰り返しますが、正社員というのは、問題点を発見し、仕事のパート化やIT化が自立的に行える人材ということです。そして、創造的な仕事をどんどんとやっていける人が、本当の意味での正社員であると述べています。これは評価制度の軸としても活用できるのではないでしょうか。新しくマニュアル化をしたり、ITで代替できる仕組みを構築できたかを評価とするのであります。そうすることで自然と正職員の仕事がブラッシュアップされてくるのではないでしょうか。確かに時代の潮流でもあるワークライフバランスも大切ですが、その前にちゃんと正社員としてやるべき仕事ができているかどうか、もう一度、個々人が問い直す必要があるのではないでしょうか。
次に、正職員の仕事がパートやIT化によって減ってきたとしても、正職員がやらなければならない仕事はどんどん上から落ちてきて、より高いレベルの仕事を任されることになると吉越氏は述べています。
こちらなんですけれども、先ほどの部分はここの部分です。この図のように、正職員の位置が上がり、これまで行っていたことはパートとITに任せる部分が増えていくことになります。このときに社員が仕組みをつくって、仕事のカバー範囲を引き上げていくことに重要な意味が2つあると指摘しています。
第1に、それまでは正社員でなければできなかったレベルの高い仕事をパートができるようになったり、ITで自動化できるようになることを意味するとと指摘しています。つまり、仕事の質が全体的にレベルアップするということであります。
第2に、パートやITの活用によって、社員数を増やすことなく仕事の許容量を拡大していけるということであります。これは、現在、本市が取り組んでいる正職員を減らしても、業務遂行ができる状態が、名実ともに実現することになるのではないでしょうか。
健全に成長し、変化に強い会社は、仕組みができて筋肉質の組織になり、組織としてのキャパシティがふえ、激しい勢いで成長できると述べています。
るる述べてきましたが、このように本来やっている部分をマニュアル化やIT化をする。そのしてもらっている部分の空いた部分、同じ面積の部分、新しい仕事ができる。そしてこのできたものについてやっていく。こういう形で成長していかなければ、組織としてこれだけ人数を、職員を減らしていく、またいろいろな業務委託やいろんなものをやっていく上ではできないと思います。
るる述べてきましたが、以上のように吉越氏が指摘するビジネスプロセス・リエンジニアリングを行うための方法は、本市にとって非常に参考になると思いますので、生かしていければと思います。
次に、ICTの活用側面からお伺いしてまいります。
情報企業や自治体経営におけるITの重要性は、今や常識となっています。情報システムが企業活動のベースに直結しており、もはや情報システムなしには業務実施が困難になると言っても言い過ぎではありません。
しかし、本市においては、経営と結びついた効率的なIT投資が実践できていないのが現状であると考えます。その一つの理由は、CIOの不在ではないかと言えます。CIOというのは、チーフインフォメーションオフィサーということで、情報分野の統括責任者のことであります。2000年ごろから、企業や自治体における効率的なIT投資のために、情報化戦略と経営をつなぐ存在として、最高情報責任者であるCIOの重要性が高まってきました。CIOに求められる役割は、経営戦略に基づいた情報化戦略の立案、実行を行い、成功に導くことです。IT投資に関する事項の意思決定だけではなく、情報化に対する高度の技能を持つ社員の育成や組織変革という無形資産の活用や蓄積も含まれます。
2012年9月に独立行政法人情報処理推進機構が調査報告を行った第5回地方自治体における情報システム基盤の現状と方向性の調査報告書によると、CIOまたはCIO補佐官の有無について、人口30万人以上の自治体では任命されており、情報化施策の推進や業務システムの変革などに深く関与している割合が31.9%であります。役割、権限、責任などが明確に定められている割合が53.2%となり、CIOやCIO補佐官が任命されていないのは14.5%と少数派になっています。
本市は、CIOやCIO補佐官が任命されていないことからすると、情報システムに対する経営者層の意識が低いと言わざるを得ません。
しかし、CIOやCIO補佐官をただ置けばいいというものではありません。多くのCIO設置の先進事例を見てみると、設置されているものの、そのうちの4割が、首長、副知事、事務次官等が兼務し、3割が情報システム部門長の兼務となっております。行政事務のトップがCIOを兼務すれば、それだけで電子行政システムの構築や活用を推進できるわけではなく、首長や事務方のトップがITに精通し、その重要性を認識してCIOを兼ねていればいいが、CIOの肩書を持っていてもITに対するプライオリティが低いという調査結果が出ています。
そこで、次に考えるのは、民間人材の活用でCIO補佐官を設けていることです。しかし、せっかく招聘したものの、補佐官に予算や人事に対する権限を与えない事例が多く、生かされていないという問題点についても報告されています。そこでお伺いいたします。
予算や人事面で権限を一定持った人材をCIOに任命し、情報システム戦略室を設置して、各部署の情報システムを横ぐしで調整してはどうでしょうか。それぞれ御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
情報システムの必要性につきましては、行政情報の適正管理のほか、業務の効率性などから大変重要なことだと認識いたしております。
また、現在、本市では、行政事務支援システムのように全職員にかかわるものがある一方で、住民基本台帳、税務など個々の業務に応じた情報システムが多数存在している状況でございます。そのため、本市では、これらの情報システムの総合管理及び調整を担う部署として情報政策課を設置しているほか、情報化に関する重要な事項を調査、審議するために各局職員らを委員として情報化推進委員会を設置し、全庁的に取り組んでいるところでございます。総務局所管でございます情報政策課並びに情報化推進委員会が、情報化に関する企画、調整機能を有しており、議員御指摘のいわゆる横ぐしの役割を果たしているものでございます。

【質問】次に、本市の基幹システムは、メーンフレームを使用しており、さらに国内で本市でしか対応されていない特殊な情報システムとなっています。特殊なものはコストも非常に高くなること、また扱える人材も限られることから、新しいことを行うときのコストが高くつくという負のスパイラルに陥っているように感じます。
本市では、情報システムの関係で約10億円ぐらい使っています。これを恐らくこれから述べるようなシステムに置きかえることで約2億円以上縮減効果ができるのではないかというような提案の話です。
他都市では、情報システムのコストを抑えるためにオープンシステムを使用し、コストを下げる努力や極力独自の仕様変更を少なくし、イレギュラーなことは柔軟に対応できる人間で対応するということでコストを抑えています。そこでお伺いいたします。
事務の効率化も見込め、大幅にコスト低減効果が期待できるオープンシステムの導入をすべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
本市の基幹系システムは、ホストコンピューターを使用し、所管課業務の効率化のため、市独自にいわゆるオーダーメイドで、これまでシステム開発や改修をしてまいりました。
一方、他都市では、ホストコンピューターにかえてオープンシステムを導入し、標準的なパッケージに一部カスタマイズを加えたものを適用している自治体もございます。こうしたオープンシステムを採用する場合、これまでのシステムを利用している所管課の業務について見直す必要がございますが、他都市の導入状況や市民サービスへの影響、経費削減効果等を調査するなど、オープン系システムの導入に向けて検討を行ってまいりたいと考えております。

【質問】次に、市民向けICTについてもお伺いしてまいります。
2012年5月に総務省が発表した2011年度末の電気通信サービスの加入状況によって、携帯電話の普及率が初めて100%を超えました。といっても、すべての人が携帯電話を所持しているということではなく、スマートフォンの普及で1人で複数台の携帯を持つ人がふえていることなどが増加の要因とされています。
そして、インプレスアールアンドディが調査した、スマートフォン携帯利用動向調査2013によると、スマートフォンの所有率は39.8%となり、2011年10月の22.9%から大きく上昇したようです。数年後には、携帯電話店の店頭に並んでいるのはスマートフォンのみとなるかもしれないとも言われています。
スマートフォンの普及によってインターネットへのアクセスが容易になり、これまでパソコンで閲覧していた人もスマートフォンを使う割合が増加しています。
そこで、ことしの6月から新潟市は、政令市指定都市初となるスマートフォン対応のウェブサイトを公開しました。また、お隣の西宮市も、11月、先月よりスマートフォン対応のウェブサイトを公開しています。
その理由として、スマートフォンからのアクセスが15%以上あり、スマートフォンからも利用しやすいホームページの需要が高まっているとともに、今後もアクセス数の増加が見込まれることから、開設に至ったそうです。ここでお伺いいたします。
急速に普及するスマートフォン対応のウェブサイトを本市も構築するべきと考えますけれども、御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
現在は、スマートフォンを利用される方が、本市の公式ホームページを御覧になる場合は、パソコン用のホームページを利用していると考えられます。当面は現在のパソコン用ホームページの情報を整理する中で、スマートフォンでも見やすいホームページとして対応してまいりたいと考えておりますが、今後スマートフォンからのアクセス数が増加してくるものと考えられ、スマートフォン対応のホームページ構築に向けて、導入経費や他都市の事例等を検証し、検討を進めてまいります。

【意見】先ほど言った世代間バランスの部分なんですけれども、やはり構築する施策施策というもののターゲット、事務事業評価を見ていただいても、皆さんおわかりかと思うんですが、対象者のところに市民と書かれているんですね。じゃ、市民とはだれという話なので、どういうような市民、本当に市民の顔が浮かぶような形までその制度を構築する人が考えなければ、恐らく効果が出ないと思っています。ターゲットを明確にして、しっかりと明確化できないからこそ事業がうまく進まない。ですから、もっとターゲットを明確にして施策を構築してほしいと思いまして、今回この高齢者が住んでいる、本当に私の家の周りにも住んでいる高齢者の皆さんがいらっしゃって、娘さん息子さんがどこどこに嫁いでいったりとか、仕事の関係で行っているというような話を聞きます。ですので、そういう方々に直接アプローチをする。市内にいる人にはアプローチはできますが、市外に行ってしまった人をどうやってつかまえるんでしょうか。そこを考えて、市内にいる、尼崎市だからこそできることというのをもっと考えていただきたいなと思います。
あと、情報システムのほうの部分についてなんですけれども、やはりオープンシステムということで、すごく専門的な分野でわかりにくい部分かと思います。なかなか皆さんの中でもわからない方というのがあると思いますが、しかしわからない分野だからこそやる人がいない、一般的にならないからこそ今回切り込ませていただいて、本当にここについてだれも触れない部分だからこそ、切り込んで節約できるというか、圧縮することができる分野だと思います。ぜひともオープンシステムを検討していくということでお話がありますので、とまらないように、そのまま検討を進めていって実現をぜひともしてほしいと思います。
あと、スマートフォン対応の部分についても、情報の整理ということでお話があったんですけれども、皆さん西宮市のホームページを見られたことありますか。尼崎のホームページと比べていただくと、情報の整理の仕方がすごくうまいんですね。本当に活字が少なかったり、文字がごちゃごちゃしていなかったりとかして、すごく見やすいページになっています。ぜひ一度見ていただいて、こんだけ違うんだとか。
情報を探すときに、私もそうなんですが、私は結構パソコンを使いなれているほうだと思うんですけれども、尼崎市のホームページから情報を探そうとすると、なかなかリンクをたどっていこうとすると見つからないので、いつも検索窓でその用語を入れて検索して見つけるという形になっているんですけれども、恐らく皆さんも同じではないかと思います。情報を探す人、これだけ市政のことがわかっていて尼崎市の組織やいろんなものがわかっている者でさえ情報が見つけにくいというのは、やはり市民にとってはもっと多分見つけることが不可能に近いようなホームページの構成になっているんではないかと思います。
ぜひとももう少し整理をしていただいて、できたらスマートフォン対応と同時にホームページの整理もしていただくようにお願いを申し上げまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。

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