おはようございます新政会の寺坂美一です。

それでは、平成25年度当初予算及び関連議案、並びに平成25年度施政方針につきまして、新政会を代表して質疑をさせていただきます。
 最大会派である新政会の一員として、会派を代表しての質疑の機会を与えて頂いたことにお礼申し上げます。しっかりと質して参ります。先輩並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、御清聴賜りますようよろしくお願いいたします。
質疑に臨むに当たって、我が会派の理念として、過去を踏まえ、未来を見据えながら、市民のために今をすべきなのか。それを所属議員一同が政策について是々非々で議論し、一致団結して市政推進していくことを、まず冒頭申し上げておきたいと存じます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
----- 1問目 ----
まず、市長の政治姿勢についてお伺いしてまいります。
 我が国は2008年に人口のピークを迎え、今後は少子化と高齢化が進展していきます。人口増加を前提に作られていた社会保障制度等の我が国の制度の根本からの見直しが迫られています。
 人口減少の中でも、持続可能なまちを維持するためには、質を高めながら地域のあらゆる仕組みを見直しながら都市経営を行うことが必要です。本市の市民の一人一人が、地域の状況に応じ自分たちの頭で考え、知恵を出し、自らの責任で地域の設計をしていかなければなりません。そのためには今後、より一層、地方分権と地方自治を進めることが必要になってきます。
 そして地域の設計は、一部の議員や行政だけが行うのではなく、一人一人の住民が「こんなまちにしたい」、「こんな風に生きていきたい」という「想い」を紡ぎあわせて組み上がってくるものであると考えます。
 もちろん、「想い」は一人一人違うからこそ、あらゆる人たちの「想い」をぶつけ合い、その「対話」によって「合意形成」を行い、具体的な政策を推進していくことが必要です。そして、そこから生まれる答えは、正解ではないこともあります。しかし、ぶつかりを避けていては問題が解決されないことを理解しておくことが必要です。
 今後議会は、地方分権と自治の推進の中でその合意形成を中心となってリードしていくことが、求められ、より議論の質を高めていくことが必要になると考えます。
 これは、きちんと法律にも明記されています。
憲法第92条に地方自治は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」と規定されます。そして「地方自治の本旨」とは、「住民自治」と「団体自治」の二つの要素で説明され、「住民自治」とは、地域の住民が地域的な行政需要を自己の意思に基づき自己の責任において決定することをいい、「団体自治」とは、国から独立した地域団体を設け、この団体が自己の事務を自己の機関によりその団体の責任において処理することをいうと理解されます。
さらに、憲法第93条第2項では、「地方公共団体の長」と「議会の議員」については、住民が直接これを選挙することが定められています。このように地方自治体は、執行機関の長と議事機関である議会の議員をそれぞれ住民が直接選挙で選出する二元代表制をとっており、執行機関と議会は独立・対等の関係に立ち、相互に緊張関係を保ちながら協力して自治体運営にあたる責任を有しています。
しかし、昨今、執行機関は、各種施策の策定や実施に際して、パブリックコメントの募集や、各種アンケート・調査等を通じて広く直接住民意見を聴取する機会が増えています。さらに、近年は事務事業の点検のため、その効果等について民間人による事業仕分け等の評価を行うことも珍しいことではなくなってきています。
このように、執行機関において意見集約から企画立案、事業実施、評価までの行政運営の一連のサイクルを完結させる状況が促進されると、憲法で規定されている二元代表制の中で、記されている「執行機関と議会は独立・対等の関係」で「相互に緊張関係を保ちながら協力して自治体運営にあたる責任」が果たせない状況になりかねません。これからは、議会の政策提案や監視機能をどのように発揮するかが大きな問題となってきます。議会は議会でより質を高める努力をしなければなりませんが、一方で執行機関における議会に対する姿勢にも変化が出てきているのではないかと危惧をしています。具体的には、議員の発言よりも民意を経ていない者の意見が優先されるような状況になっているではないかという危惧感です。
稲村市長は県議会議員の経験もおありです。その二元代表制の両方の立場を経験している市長の政治姿勢としてお伺いいたします。
【質問】近年のパブリックコメント等の執行機関における直接意見集約が増加していることについての認識についてお聞かせ下さい。また、事務事業の点検等で、議員の意見ではなく民意を経ていない民間人の意見がより強く取り入れられ政策立案されることに対しての認識についてお聞かせ下さい。

【答弁】私はかねてより市民自治に立脚したまちづくりを目指してまいりましたが、そのためには市民が自らの判断と責任において自発的にまちづくりを担うことができる、いわば、市民が主権を発揮できる環境を整えていくことが重要だと考えております。
 そうした取組の一環として、パブリックコメント制度の見直しや予算編成過程の公開などを進めてきました。また、厳しい財政状況の折、たゆまぬ改革改善を進めている中、市民の理解の促進や合意形成に向けた丁寧な取り組みが不可欠であると考えていることから、市民の意見聴取の必要性が増しております。
 同様の趣旨から、事務事業点検委員についても、学識経験者の他、様々な立場の市民の方にご参加いただき、市民目線による点検・評価を進めているところです。
 このようなプロセスで聴取した市民意見については、議会で議決等いただく前に、議会のみなさまにも広く情報共有していただいております。
 議員の皆様には、そうした多様な市民の意見に加え、それぞれの議員活動の中で聴取された様々なご意見等を踏まえ、本会議や委員会など様々な機会を通じてご意見やご指摘をいただいており、それらの意見を市政運営に反映してきているところです。




次に、新しい総合計画と新しい行財政計画についてお伺いします。
総合計画とは一言でいうと、市町村における「まちづくりの最も基本となる計画」とも言えるもので、その地域における行財政運営の長期的な指針となる、市政運営の基本となる計画のことです。
 言い換えれば、本市の特性や課題、そして時代の流れなどを的確に見極めながら、未来の尼崎市をどのようなまちにしていくのか、また、そのためには、だれが、どのような手法で取り組んでいこうとするのか、ということを総合的・体系的に取りまとめた計画書です。
 そして4月より、10年間の本市の方向性を定めた、新しい総合計画が動き出します。また、長年我が会派が指摘をしておりました総合計画と行財政計画の連動も行われ、ようやく本来の計画行政が行われることについては喜ばしいことであります。
 次期総合計画は、「まちづくり構想」と「まちづくり基本計画」の2つの部分で構成され、「まちづくり構想」では、実施期間、「ありたいまち」という、市民、事業者、行政がまちづくりを進めていく上で共有する将来のありたいまちの姿や「まちづくりの進め方」という「ありたいまち」を目指して、ともにまちづくりを進めて行く上で、大切にしていく基本的な考え方、取組の姿勢がまとめられています。
 また、もう一つの部分である「まちづくり基本計画」では、10年間という「まちづくり構想」を前期・後期に分けて「施策体系」、「施策ごとの取組方針」、「行政運営の視点」等が記載されています。
 総合計画の策定時は、私自身も議会の特別委員会の委員として意見を重ねて参りました。10年にわたる本市の最高計画としての位置づけの中で、未来を見据え、本市の未来のために盛り込まなければならないことについて指摘をしてきました。
 一定の意見を取り入れて頂き、持続可能性や未来を見据えた形でとりまとめがなされたものの、もう少し踏み込めなかったことについては、後期計画策定時に再度提言していかなればならないと感じています。
 特に、「まちづくりの進め方」の中では、「『ありたいまち』は行政の力だけでも、市民や事業者の力だけでも実現できるものではありません。
『ありたいまち』に近づくためには、市民は日々の生活や地域でのさまざまな活動のなかで、また、事業者は社会経済活動のなかで、このまちを住みよい、活力ある魅力的なまちにしていくことに、ともに取り組んでいくことが必要です。
そして、行政は、公共サービスを提供することにあわせて、まちづくりに関するさまざまな情報を収集、活用し、知恵を働かせて、市民や事業者が活躍できる場やしくみを整えながら、多様な活動を結び付け、支援していくことが必要です。」と記載されています。
 これは、「ありたいまち」の実現は、行政だけが行うのではなく、市民も協力しなければ実現できない。だから市民も主体的に協力して欲しいということが書かれています。私はこの部分に、「まず自ら自立し」ということを入れなければならなかったと考えています
 尼崎市の状況を鑑みると、自立できておらず、行政サポートを受けている市民が、他都市と比べ多い状況の中で、自ら立っていない状況で支え合えば、共倒れになってしまいます。もちろん行政はそれを支えることを否定するものではなく、市民が自ら立とうとする「意志」を厳密に持ち続けることを求めなければ、自治体として非常に多くの市民を支えつづけなければなりません。いわゆる「自助・共助・公助」の考え方を踏まえていかねば、いつまでたっても本市の財政はよくなるはずもありません。このことを踏まえ、行政は「自ら変わろう」とする市民をつくって行かねば、本市は、良くなるはずもありません。
【質問】だからこそ『ありたいまち』に近づくために、市民は『自ら自立し』」という文言を入れることが大切であると指摘をしたのです。今申し上げたことに対しての市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】私は、孤立から自立は生まれない、市民の自立については、社会における支え合いと相互不可分であり、自立しているから支え合える、また、支え合えているから自立できる、という関係にあると考えております。
 ご指摘のように、本市においては支援を要する方が多いことも踏まえ、今回の総合計画においては、地域におけるつながりや支えあい、そのための環境づくりなどを重視ずるとともに、自立を妨げる要因を早い段階から取り除くという予防的観点も含めて、健康の維持向上や就労などの面で、自立につながる支援に力を入れていくこととしております。
 このような方向性に基づいて取り組む中で、市民の自立の促進と地域社会で支え合うまちづくりを進めていきたいと考えております。


「自らのまちは私たち自ら描き、つくりあげる」

それを進めるためには、我々市民も一人一人が賢くならなければなりません。学力が高いという賢さではなく、人間として当たり前のことである「優しさ」や「強さ」等の「知恵」を市民一人一人が身につけることが大切であることをここでは言っています。
そして行政は政策策定時に、市民の「自立を促進できているか」、「自主性を伸ばすことが出来ているか」という視点を持たねばなりません。市民がその「知恵」を高める支援をしなければ、いつまでたっても自発的に行動する市民が増えなければ、本市財政も、まちそのものもよくなるはずはありません。
だからこそ、教育が大切なのです。「ひとづくり」は「まちづくり」です。教育に力を入れないといけない。まちを構成する人が不十分な教育をされ、社会の一員として存在すれば、まちの中で問題が引き起こります。自分の考えと相手の考えの違いを認識し、一致点を見いだし、合意形成を行って行く。その根底にあるのは、相手を思いやりながらのコミュニケーションです。それを一人一人の市民が出来る様にサポートし、市民を育てていくという意識が行政の中のカルチャーとして必要だということを指摘しておきます。

次に組織についてお伺いします。
現在、本市は厳しい財政状況の中、改革改善に取り組んでいるものの、毎年進む人員削減と一人あたり業務の拡大によりモチベーションが下がってきていることが懸念されます。より一層、適正な仕事に対する評価と処遇を行っていかなければならないと考えます。また、一方で給与の官民格差が拡大していることから今回の議会へも改善についての条例案が提出されました。
 民間と行政の違い。具体的に言えば、民間企業と行政機構の組織文化の違いから生まれてくる問題があります。組織文化は、企業風土やカルチャーとも表現されます。
この組織文化を変える方法の一つとして、佐賀県の武雄市が給与決定の透明性を高め、市民の理解を得やすくすることを目的として、市職員給与に税収を反映させる検討を始めたというニュースがありました。具体的には職員基本給の50%を人事院勧告などに連動させ残りの50%に税収動向などの市独自の指標を反映させるという制度です。市民の懐が豊かになれば、それだけ、公務員の給料も上がり、逆に懐が寒くなれば給料が下がる。そのために、公務員は、いかに市民、企業の所得を上げるか、考え、行動しなければならない。民間企業では業績に応じた給与の制度として当たり前の制度だが、市税収入に応じて職員の給与が上下変化するというのは、年功序列型賃金で、毎年定期昇給していくカルチャーの公務員の皆さんにはなじみが無いかもしれません。自らの糧は自らつくりだす。「世の中に付加価値を提供することで、その対価を得る」という経済原則とも言うべきものです。
 公務員は誰の為に仕事をするのか。自分たちの給与は誰が支払っているのかについて考えれば、この制度の意味合いは非常に大きいのではないでしょうか。
 そこでお伺いいたします。
【質問】給与決定の透明性を高め、市民の理解を得やすくすし、組織のカルチャーの変革を目的として、市職員給与に税収を反映させる仕組みについて市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】人事委員会を持たない本市職員の給与につきましては、官民比較を反映させた人事院勧告に準拠することにより、国及び他の地方公共団体並びに民間における給与水準との均衡を図ることを基本としております。
 本市の場合、社会経済情勢の影響を受けて税収が大きく増減いたしますことや、まちづくりに向けて、短期的な取組だけでなく中長期的な取組も実施していく必要がありますことから、現在のところ、単年度の税収を直接給与に反映させることは考えておりません。
 しかしながら、私も議員と同様にヽ職員が税収や市民が置かれている環境を意識して職務にあたることは大事であると感じているところであり、また適正に評価され処遇される組織風土への改革も必要なことであると考えているところです。
 そのため、平成25年度に導入を予定している、人事評価システムを適正に運用していくことで、職員が意欲を持って職務に取り組むことのできる組織風土づくりに繋げて参りたいと考えております。




次に、施策方針についてお伺いして参ります。
 平成25年度施策方針は、「ひと咲き まち咲き あまがさき~未来を見据え未来へつなぐ~」とのタイトルで、総合計画とのリンクを強く意識されたものとなっているとお見受けします。
 ページをめくると、平成25年度施策の推進に当たって、市政運営の基本的な考え方及び主要な施策、まちづくりの進め方、平成25年度予算という構成となっています。さらに、市政運営の基本的な考え方及び主要な施策は「人の育ちと活動を支援する」、「市民の健康と就労を支援する」、「産業活力とまちの魅力を高める」、「まちの持続可能性を高める」という4つの視点でとりまとめされています。
 さらに、内容に目を移すと、市内出身者の活躍を本市のまちづくりと重ね合わせ、同じ夢や目標を持つことの大切さや役割が大切であることが述べられています。
 その中で、特に目を引くのが、東京大学前総長の小宮山氏による「課題先進国」という表現にかけた「課題先進都市」とし、さらに「課題解決先進都市」を目指すという部分です。
 私も、本市は「日本の縮図」、「日本社会の最先端の物事がおこるまち」という認識を持っています。色々な出来事が他都市に先駆けて起こっていくさまは、まさに「課題先進都市」であります。考えの方向性は同じ方向を目指しているように感じますが、この施策方針を読み込んでいて気になる部分があります。それは、市政運営の基本的な考え方の4項目目の「まちの持続可能性を高める」についてです。
 ここには、現役世代の定住や転入、公共施設の最適化を進めながら財政を持続可能な状態にしていくことが記載されています。しかし、財政を持続可能な状態にしていくためには、「課題解決」を行って行かなければならないはずです。本市の最大の課題の一つである「扶助費の抑制」についての取組については全く記載がありません。
ここでお伺いいたします。
【質問】大きなコストを抱えている部分に対して切り込まなければ、先ほど市長が目指している「課題解決先進と都市」になることはできないのではないでしょうか。併せてご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】増え続ける扶助費への対応は、本市が今後も解決に向けて取り組まなければならない課題であると認識しております。
 このため、先ほども答弁申し上げましたとおり、自立を促すための就労支援や健康増進に向けた取組を強化することとしております。
 こうした取組を続けることが、総合計画に示す「ありたいまち」へ着実に近づくことになり、さらに、この積み重ねが、「課題解決先進都市」として評価されるものと考えております。





 213日に厚生労働省は、全国の生活保護受給者が昨年11月時点で2147393人となり、7ヶ月連続で過去最多を更新したこと発表しました。景気や経済の後退によってセーフティネットである生活保護を受給するに至る今の状況を変えていかなければなりません。
一方、年金と生活保護制度による支給金額の逆転現象の問題は、歯を食いしばって頑張っている方々の勤労意識すら低下させてしまい、モラルハザードを引き起こし、さらには生活保護制度そのものの制度不安を招いてしまっています。これでは、増大するコスト抑制策に取り組んでいるとは言えないのではないかと考えます。
 自治体は、そこに住んでいる市民の皆さんから税金を預かり、行政サービスとして還元することで運営を行っています。至極当たり前のことです。しかし、私は昨今の本市の財政運営は、その制度そのものを支えて頂いている納税者に対する還元割合が低下しているのではないかと危惧しています。納税者に対して制度が信頼出来る体制で運営されていることを伝える事は必要なことではないでしょうか。
 みなさんも「尼崎は生活保護が受けやすいから受給したいなら尼崎に」という都市伝説のような話を耳にしたことはあるはずです。議会を通じて、他都市と比較して生活保護制度の運営について質したこともありますが、いつも当局からの答弁は「適正に行われている」というものです。しかし、私は「火のないところに煙は立たず」という認識を持っています。確かに制度適用については「適正に」行われているかもしれません。
 ここで私が気になっているのは、「生活保護制度が適正に運営されている」のかというよりも「生活保護を希望する人が流入してきている」のではないかという危惧感です。
「流入が有るのかを判断するためには」新規の生活保護受給の方の本市の居住歴とのクロス集計で分析できると思います。その経年変化をみれば、他都市から流入してきているかどうかがわかるはずです。主観や願望的要素で答弁することなく、客観的データに基づいて政策策定・推進しなければならないと考えます。
以上を踏まえてお伺いします。
【質問】都市伝説のようにまことしやかに言われている「尼崎は生活保護が受けやすいから受給したいなら尼崎に」ということは実際起こっていることなのでしょうかお聞かせ下さい。

【答弁】生活保護制度は、法に基づき、すべての国民が法の要件を満たしていれば無差別平等に受けることのできる制度であり、運用にあたっては全国―律の取扱いが国の指導・監査のもとに行われており、尼崎市だけが他都市に比べて生活保護を受けやすいといったことはありません。
 一方で、生活保護については、東京都23区や政令指定都市、中核市だけで、全国の生活保護世帯の半数以上を占めており、都市部のほうが、保護率が高い傾向にあります。
 ご承知のとおり、尼崎市は、大阪経済圏の中で発展してきた歴史的経過を有しており、今日においても、県内他市よりも色濃くその影響を受けており、高齢化や長引く経済不況などにより保護率の増加に歯止めがかかりませんが、今後とも、一層の適正運営と自立支援の取組を推進し、信頼される制度運営を行ってまいります。
 なお、生活保護は居住地、又は現在地において実施されることから、必ずしも住民基本台帳と一致するものではなく、既存データーから転入元を正確に把握することは困難な画がありますが、他都市からの流入の影響は一定程度あろうかと思われますので、今後、その把握手法も含め研究して参ります。


 また、本年21日現在の本市の人口は、45万人を割り込み、449,971人となりました。本市の人口減少が下げ止まりません。一方、先の予算勉強会の資料として提供を受けた、身体・知的・精神を併せた3障害の手帳所持者数は右肩上がりに増加しています。通常、人口減少すれば、この障害者の割合も減少するのが、統計学的に自然なことではないでしょうか。
 先ほどの生活保護と同じく、市外から本市へ「障害手帳が取得しやすい」との都市伝説も耳にします。この現象についても「流入が有るのかを判断」するために、新規の手帳取得者の本市の居住歴のクロス集計で分析できると思います。その経年変化をみれば、他都市から流入してきているかどうかがわかるはずです。こちらも客観的データで判断を行い、対策をしていかなければならないと考えます。
 そこで、お伺いいたします。
【質問】人口減少の中で、本市の障害者数が増加しているのは、他都市から流入していることに起因しているのかお聞かせ下さい。

【答弁】身体障害者手帳等の交付につきましては、国や県の統一した認定基準及び医師等の意見に基づき行っておりますので、他都市と比較して本市が特に取得しやすいといつたことはないものと考えております。
 平成23年度の兵庫県身体障害者(児)動態調査によりましても、人口における転入者の占める割合は、阪神間の他都市と比べて特に高い状況とはなっておりません。
 本市の身体障害者手帳所持者数が増えている要因は、少子高齢化が進む中で、65歳以上の人口が増加傾向にあり、身体障害者手帳所持者の平成23年度における新規交付者のうち65歳以上の者が7割を超えていることが全体数の増加につながうているものでございます。
 しかしながら、他都市からの転入理由は十分把握できている状況にはございませんので、平成25年度から新設いたします障害者自立支援制度担当において、障害者に対する各種支援事業について、本市の特徴、他都市比較などの調査分析を行い、今後の施策に反映していきたいと考えております。


 日経グローカルによる全国787市の2011年度決算分析によると、本市は、全国でワースト3の義務的経費比率の都市と出ています。義務的経費比率は人件費と扶助費と公債費を歳出総額で割って比率処理を行って算出されます。本市の義務的経費比率は65.8%という高い割合となっています。これまで福祉分野は聖域のように、踏み込むことがタブー視されてきたように感じます。
しかし、本当に本市が自立したまちとして再生するためには、この部分に切り込む必要があるのではないでしょうか。
 私は扶助制度が仕組みとして不要であると言うことは言っているのではありません。扶助制度を受けている市民だけが苦しいのではなく、すべての市民が苦しい状況なのです。 この厳しい財政状況の中で、文句を言わず税金を納めて頂いている市民が大半です。その市民のみなさんに対していつまで負担をかけ続ければいいのか。説明責任を果たすことができません。
 本市は本当に真剣に扶助費増加に対して問題解決しようとお考えですか。
 生活保護が増加している他の自治体はもっと知恵を絞っています。大阪市では、不正受給防止のために、本人確認カードの導入を検討したり、京都市では、府警と連携し不正受給防止策の実施を検討したり、小野市では不正受給告発条例を策定したりと、それぞれのまちで出来ることをしようと知恵を出し合っています。
 現場を持っている健康福祉局は日々対応に頑張って頂いていることも理解しています。一番難しいところへ切り込まなければ本市の持続可能なまちへという方向性は実現されないことを指摘しておきます。

次に公共施設マネジメントについて順次お伺いして参ります。
 「尼崎市の公共施設の現状と課題」によると本市は、約396万㎡の土地と延べ床面積で約189万㎡の建物を保有しているとされています。そして、建て替え費用は総額5100億円を超え、本市一般会計の約2.6年分という巨額のコストが見込まれています。
 しかし、現在の財政状況の中ではすべてを維持することは難しいことは理解できます。また、人口減少社会が進展している中で、これまで通りの施設が必要かと言えば、不要になってくることが想定されます。
 このことから、我が会派では、トータル的に公共施設を管理する手法であるファシリティマネジメントを提唱し、公共施設の一体管理を行うことを求めてきました。
 本年度予算では、公共施設マネジメント推進事業費として、公共施設マネジメント計画を策定するための予算が計上されています。
 この事業を推進するにあたり、いくつかの項目について確認しておきたいと思います。
まずは、先の「尼崎市の公共施設の現状と課題」の今後対処すべき課題の最後では「行政サービスの提供や災害時の拠点と言うことで支所以上に重要な施設である本庁舎についても今後の方向性を検討していくことが必要」と認識されています。
 市役所本庁舎をどこでどの様に配置し、どの様な規模で、どの様な活用の仕方を行うかで、それ以外のすべての施設のあり方等が変わってきます。
ここで、お伺いいたします。
【質問】今回策定する公共施設マネジメント計画の中で、一番最初に新しく立替を検討する必要がある本庁舎の位置を確定させることが必要だと考えますが、市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】本庁舎につきましては、市民の皆さまが様々な手続きや相談のために訪れる施設であるとともに、災害時には防災の拠点として、また、行政機能の維持という面で重要な役割を担っております。
 現在、中館及び南館は築後50年が経過し、老朽化が進んでいることから、補修または建替え等の整備が必要であり、そのためには多大な財源が必要となってまいります。
 そうしたことから、まずは、来年度に他の公共施設と併せて劣化診断を行うとともに、本庁舎に求められる時代のニーズに応じた機能や課題等も整理した上で、整備手法等について研究し、市民の皆さまや市議会のご意見もお聞きしながら慎重に検討を重ねてまいります。
 その上で、本庁舎の整備に係る方向性につきましては、素案において、市制100周年を目途としてお示ししていくことといたしております。
 また、仮に移転や建替えということになりましても、市常100周年から数力年の期間を要することから、本庁舎の位置に左右されず、公共施設マネジメント計画を策定し、進めていかなければならないと考えております。





次に、本市の公共用財産に区分される延べ床面1611,210.56㎡中、市営住宅は、44.5%、そして学校・幼稚園は40.1%を占めており、この二つで約85%を占めています。
現在、市営住宅については、住宅マスタープラン、市営住宅長寿命化計画において、学校施設については、学校適正規模・適正配置推進事業や尼崎市幼稚園教育振興プラグラムによってそれぞれ取組が行われている状況です。これでは、一元的な公共施設マネジメント計画が推進できない状況となることが懸念されます。
そこでお伺いします。
【質問】都市空間の一体的管理の側面から考えれば、公共施設マネジメント計画の中で公共施設については一体的にあり方を考え、取組を進めることが必要と考えるが、市長のご見解をお聞かせ下さい

【答弁】近年の人口減少や経済の低成長期、成熟社会への移行といった社会背景を踏まえる中で、自治体行政においても、よリー層効率的な行財政運営や資産運営が求められております。
 そうしたことから、市の資産である土地・建物につきましても、総合的、戦略的に保有・処分・活用・維持していくことを検討していく必要がございます。
 来年度の新規事業として、ご提案させていただいております「公共施設マネジメント推進事業」につきましては、そうした観点から、公共施設全般にわたって、量と質、コストの最適化と、計画的な保全による財政負担の平準化、さらには施設の長寿命化を一体的に検討するものであり、既存の計画と十分調整・連携を図りながら、効率的・効果的な資産運営を推進してまいりたいと考えております。



 平成247月に総務省自治行政局から「地方行革の現状と課題」という資料が取りまとめられています。その中では、新たな行政ニーズや事件・事故等に対応する立法によって、地方自治体の役割は拡大し、事務量が拡大していると分析している。総務省としては、引き続き地方行革を積極的に推進していくとまとめられています。その推進方法として、3つの視点が記載されており、その一つに地方行革を推進する制度の整備、新たな方策の研究という部分でワークプレイス改革の宣言という部分にフリーアドレスの推進の記載があります。
 ウィキペディアによると、フリーアドレスとは、19873月に清水建設・技術研究所において世界で初めて実現され、フリーアドレスの言葉とともに、オープンオフィスで座席を共用するスタイルは日本生まれの仕組みです。
机と椅子が用意されたカフェスタイルの部屋に、社員が携帯電話や無線IP電話、無線LAN、ノートパソコンを持って、空いている机で仕事をし、書類などは全て、個人用のキャビネット、あるいは部署の共用キャビネットに保管し、個人専用の空間は設けないのが特徴です。筆記具などの個人用の道具はキャスター付きのワゴンやトートバッグなどに保管し、適宜移動して使用する。個人が机を持たないために個人の持ち物が大幅に削減できるメリットがあるとされています。
さらに、フリーアドレスはコスト削減効果もあり、もし、在席率が50%であれば、オフィス面積は2分の1で済むことになり、理論的にはスペースの場所代も2分の1となります。他方、単に面積とコスト部分に着目するだけでなく、オフィスのモデルチェンジを通じて社員の働き方の改革を目指す動きもあり、近年はこちらに注目が集まっています。
本市でも、これから公共施設の再配置等で事務所の移転等が数多く行われることになります。そこで、このフリーアドレスの仕組みを導入することで、引っ越しの際の荷物の削減やスペースの削減、また新しい本庁舎建設時のコスト低減がはかれるのではないかと考えます。
そこでお伺いします。
【質問】今後起こることが想定される事務所移動、コスト面、職員の働き方の改革の観点からもフリーアドレスを導入することについて市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】ご提案のフリーアドレスにつきましては、一般的には出張、外出が多い部署や、フレックスタイムを導入している職場などで有効な取組であると認識しております。
 本市であれば、訪間活動や庁舎外での作業、打合せなどで外出する職員が多い職場への適用が考えられ、情報通信システムの整備や、事務用什器の入れ替えといった投資が必要となりますが、事務スペースの縮減などで一定の効果があるものと思われます。
 今後、事務の効率化やスペースの有効活用といった観点から、民間企業の導入事例等を研究してまいりたいと考えております。




以上で1問目を終わります。

------------------------------------ 【2問目登壇】 ------------------------------------


それでは、2問目に入らせて頂きます。
2問目は1問目と違い、より具体的な課題について質して参ります。
まずは、教育諸問題についてお伺いして参ります。
最初に中学校給食についてお伺いします。
 平成22年度に文部科学省が学校給食の実施率について調査をしたデータによると、公立中学校、全国9930校中、82.4%で完全給食が実施されています。
 このように全国では主流となっている中学校給食ですが、阪神間では、なぜか導入率が低く、西宮市と宝塚市で実施されているものの、実施されていない芦屋市では昨年の5月に給食実施決定され、伊丹市ではまもなく行われる市長選挙の公約としてどの候補者も中学校給食の実施を掲げている状況です。
学校給食の実施方式としては、大きく4つの方式があり、各校の中に調理場を建設して給食を作る自校方式、給食センターを建設し、まとめて作った給食を各校へ配送するセンター方式、近隣の小学校の調理場で作った給食を中学校に配送する親子方式、民間業者が作った給食を各校へ配送するデリバリー方式等があります。
 本市でも、以前から中学校給食の実施を望む市民の声は多く、私自身も給食がないから実施しているまちへ引っ越しをしていった家族を知っています。
 稲村市長も中学校給食に対する答弁の中で、「中学校においても、小学校と同じような給食を実施することが望ましいと考えている」と答弁していますが、「現在の厳しい財政状況下では課題が大きい」とし、中学校弁当事業をすべての中学校で早期に実施することを目指している」と一貫して答弁されています。
 中学校弁当事業は市長の公約で実施されていますが、成果としては芳しい状況ではありません。次年度予算では実施校を拡大する予算が提案されておりますが、我が会派としては、即刻やめるべしとは考えていませんが、成果が出ないことが予想されるならば、時間とコストの関係からも早期に中学校給食について導入検討をはじめることが必要ではないかと考えます。
そこでお伺いします。
【質問】中学校給食を実施するためにどのように進めて行けばいいのかと言うことを前提とした検討を始めることについて市長の見解をお聞かせ下さい。

【答弁】平成25年度以降の収支見通しで、本市の厳しい財政状況を考慮いたしますと、これまでもご答弁申し上げてきましたとおり、中学校給食を実施することは困難な状況にございます。
 このような状況下でございますが、県内の近隣市や隣接します大阪府下の中学校給食に関しまして、とくに平成24年度以降、動きがありますことから、情報収集を'行うとともに、まずは中学校弁当事業の定着を図っていくことに努めてまいります。
 また、本市における中学校の昼食のあり方についても研究を進めていく必要があると考えております。



その検討を進める前に、現在の保護者やこれからその対象となる市民を対象にアンケート調査を実施することが早急に必要ではないかと考えます。
 現在、本市では小学校で実施している給食調理業務の委託化と併せて給食室の整備が行われています。しかし、もし中学校給食の導入で先ほど挙げたセンター方式が採用されたならば、整備するコストが無駄になってしまいます。また、親子方式が望ましいという結論が出れば、現在の小学校の給食室の施設増強が必要となります。
戦略の方向性を定めなければ、それぞれの戦術にかかるコストをムダにしてしまうことの典型であります。
 このアンケートには、さらに突っ込んだ質問も盛り込むことも可能です。例えば、「現在、小学校で給食が実施されていますが、自校方式で温かい食事が提供されています。それに対し、センター方式を採用し、小学校の給食の質は劣るが、これまで実施出来ていなかった中学校給食を望む保護者がどれだけいるか」ということに対しても客観的データを持って判断することができます。
現在、その客観的データを持たずに、政策を立案し、施策を推進していますが、教育委員会のその政策の正しさの自信はどこからやってきているのでしょうか。 
 論拠もなく、政策を立案し、施策を進めることは厳しい財政状況の中で無駄なコストをかけることはできないからこそ、遠回りを避け、判断することが必要であると考えます。
 ここでお伺いします。
【質問】中学校給食の方向性を定めるために、市民に対してアンケート調査を実施することについてのご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】これまでもご答弁申し上げてきましたとおり、成長期の中学生にとって、健康の保持増進には、栄養バランスの取れた食事を摂ることが重要であるため、食育の観点から、中学校弁当事業を実施しているところでございます。
 そのため、先ほど市長がご答弁申し上げましたとおり、まずは、中学校弁当事業の定着を図っていくことに努めてまいりますが、県内の近隣市等の情報を収集するとともに、本市における中学校の昼食のあり方について、アンケー卜調査の実施も含め、研究してまいりたいと考えております。




次に、学校暑さ対策についてお伺いします。
平成247月に本市の経済環境局環境部環境保全課が取りまとめた平成23年度における環境の現況によると、尼崎市の熱帯夜及び真夏日の日数は年度ごとに変動はあるものの、ともに1970年以降、増加傾向にあり、真夏日は5070日となっており、近年の局所的なヒートアイランドの影響に加え、地球規模での温暖化による影響と考えられています。
その様な中で、学校暑さ対策は、本市の教育の喫緊の課題の一つであります。しかしながら、ただ単に普通教室にエアコン設置を求めるには財源等の裏付けもあることから、非常に難しい問題です。
現在の学校の問題点である劣悪な学習環境の改善をするためには、エアコン設置だけ行った場合、エネルギー消費の増大とCo2排出の拡大、エアコン屋外機からの発熱によりヒートアイランド現象の悪化、さらにはランニングコストが上昇することによって財政負担が増大してしまいます。
少し古い資料ですが、光熱水費を金額ベースで比較すると校舎の建て替え前に、年間約464万円であったものが、約615万円に増加するという試算もあります。既存の校舎の大規模な改修の際には、現在、文部科学省のエコ改修という国庫補助制度が活用できます。このエコ改修を活用すれば、新築の場合の約1/2から約1/5の予算で新築並みの校舎になるとも言われており、本市の厳しい財政状況の中でも活用可能ではないでしょうか。本市で昨年から検討している尼崎版グリーンニューディール政策の方向性とも合致しているとも考えられます。
そこでお伺いいたします。
【質問】この文部科学省の環境を考慮した学校施設の整備促進のためのエコ改修を本市で積極的に活用していくことについてのご見解をお聞かせください。

【答弁】エコ改修につきましては、築20年以上の校舎を考朽改修する際に、屋上緑化や直射日光を抑制する庇(ひさし)の設置などの様々な環境に配慮した工事を実施することにより環境負荷の低減、教育環境の改善などを図ろうとするものでございます。
 現在、最優先で取り組々でおります耐震化事業の完了後、校舎の老朽化対策が課題となってまいりますことから、こうしたなかで、エコ改修も含め様々な手法について検討する必要があると考えております。



次に体罰問題についてお伺いします。
 昨今、体罰問題について全国的な影響が広がっています。本市も、先日の文教委員会で市内の小中学校、高校、特別支援学校をあわせた67校に対して体罰の禁止の徹底と実態調査を指示したとの報告がありました。
体罰は、「したいからといってする」たぐいのものではありません。相手の事を思うからこそ熱が入り、感情移入して相手を質せないことから起こることであるはずです。相手のことを思わないならば、それは単なる暴力であります。
 確かに体罰は許されないが、それを逆手にとり、敬うべき相手を敬わないという問題も一方で出てきかねません。体罰を禁止するならば、一方で、言葉で理解し、自らを自制する能力を身につけさせるための教育がより重要になる。つまり、道徳の取組が大切になっていきます。
体罰をなくすためには、大人と子ども双方が「被害者にも加害者にもならないための惜しみない互いの努力」が必要です。そうでなければ体罰以外の制裁が生まれ、いたちごっこになってしまいかねません。
 学校教育法上「体罰はいかなる場合も行ってはならない」とされていますが、文部科学省が平成192月に都道府県教委などへ出した通知では、教員への暴力に対する防衛や、ほかの生徒に被害を及ぼす暴力を制止するなど「目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使」は、体罰に当たらないとされています。
 以上を踏まえお伺いいたします。
【質問】今後、本市の体罰に対する取組を推進していく上で、ただ単に体罰がダメというステレオタイプな議論ではなく、教師の尊厳を守りながら、冷静に体罰問題の本質に向き合いながら対策を取っていく必要があると考えるが、市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】大阪市内の高等学校で、生徒が運動部活動中に体罰を受けた後、自殺した事件を受けて、本市が他市に先んじた形で行った独自調査におきまして、体罰もしくは体罰と疑われる事案として、9件の報告がありました。
 しかし、管理職を含めた生徒や保護者への説明で一定の理解を得ていたことや、体罰であるとの認識の希薄さ等から管理職に報告がされなかった事案を含め、今の調査が行われるまで教育委員会に報告がされなかったことは、誡に残念であり、学校を管理監督する教育委員会といたしましては、指導が不十分であったことにおいて、まずはお詫び申し上げます。
 体罰は明らかに人権侵害であり、法律にも明確に禁止されておりますが、それを踏まえた上で、問題行動が実際に起こったときは、十分な教育的配慮のもと、現行法制下において、採り得る措置である出席停止や懲戒等の措置も含め毅然とした対応を取り、教育現場を安心できるものとしていく必要があると考えます。
 いずれにいたしましても、まずは問題行動の未然防止と早期発見・早期対応の取り組みが重要であります。
 また、学校は、ことの車大性を十分認識して、教職員一体となって対応できるよう、教育委員会として指導してまいります。



次に小中学校の運動場や体育館利用の有料化についてお伺いします。
小中学校の運動場や体育館利用の有料化については行財政構造改革推進プランの改革改善項目として上がっていたものが、今回、予算として提案されています。
 我々も項目として上がっていたことは知っていたものの、今回の様に突然市民に負担を求めるとは想像していませんでした。市民に負担を求めることになることについては、より丁寧に進めなければ理解が得られるはずもありません。
 学校開放事業の事業費は、平成23年度決算ベースで143222千円となっており、利用回数は26644件となっています。
 少し粗い計算にはなりますが、単純計算1回あたり約5300円のコストがかかっていることから、この費用の10%程度の負担を求めると説明を受けました。
 確かに、グラウンドや体育館の使用について一定のコストがかかることや、あまりにも単価が高いのでコストを削減することについて必要性は一定理解をしますが、ただ、この事業の対象者でもある、利用者の多くは子どもの団体が占める状況を鑑みれば、利用者に負担を求める前に、現在の仕組みを見直す努力がもっと必要であることはなかったということを指摘しておきます。
 ただ何も解決策を示さないのも問題です。そこで、一つ提案をさせて頂きます。
 現在のコスト総額は約14000万円です。財政状況を鑑み、このコストを半分にすることを想定すると必要経費として約7000万円になります。これを実施している小学校43校、中学校19校を併せて62校で割り戻すと一校あたり年間約113万円となります。ちなみに月単位で計算すると、約94000円となります。
 一方で、地域での雇用が減少していることは他方で問題となっています。そこで、この年間113万円を各地域の連協やスポーツ21、学校開放運営委員会等の地域団体に運営事業費として渡して運営してもらうことは出来ないでしょうか。月94000円程度であれば、少し働きたい人のプチ仕事として運営できるのではないでしょうか。また、副次的な効果として、このようにプチ仕事が増えれば、社協に加入のメリットにもつながります。
もちろん忘れてはならないのは、現在の申込み受付や利用調整等についての繁雑な事務をそのままにしていては、事務コストが下がりませんので、申込みや利用調整等についてはITの活用等による予約システムの導入によって一定整理することは必要であります。その様な改善を行えば、地域でお願いするのは鍵の開け閉め等だけになります。手間=コストですので、財政圧縮効果は生まれるはずです。
確かにシステム開発経費は単年度では負担となりますが、3年程度の複数年で考えればコスト圧縮効果が出るのではないでしょうか。
 このような整理を行うことで「やらなければならないこと」を「できる仕組み」で行う努力をして、それでもダメならば費用負担を求めるという工夫を行わなければ、市民理解が得られるはずはありません。
 そこでお伺いいたします。
【質問】今申し上げた提案の様に、今回の小中学校の運動場や体育館利用に対する費用負担について、一定スキームを再検討することについてご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】学校開放は、地域に身近な存在である学校のスポーツ施設を学校教育活以外に開放し、地域スポーツの振興等に資する目的を持った事業であり、今後とも継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 今回の有料化は、現在の利用者に対しましで、行政サ―ビスの受益と負担の観点から、その経費の一部についてご負担いただくことにより、将来的に安定した事業運営を図っていこうというものでございます。
 しかしながら、事業費の圧縮は必要であり、ご指摘のような地域の力を活用した運営体制の可能性や、事業の枠組みでのものの再検討に取り組んでまいります。
 

次にまちづくりについて順次お伺いして参ります。
 まずコミュニティの再生・協働の推進についてお伺いします。
地域コミュニティの再生のためには、既存のハード施策・ソフト施策の両面から挑まなければならなりません。
 まず、ハード施策として老朽化した住宅の建て替え需要の刺激策が必要ではないでしょうか。古い町並みを丁寧に保存する取組も必要です。しかし、ただ古いというのは、防災面や景観面からもよくありません。
 小野市では「空き家等の適正管理に関する条例」が制定されました。倒壊の危険がある空き家を所有者に変わって取り壊すことが出来るように行政代執行盛り込んだ空きや対策の条例です。また、神戸市では、空き地を避難路や消火拠点として活用することを始めています。木造密集市街地の防災対策性を高め、住環境を改善するための新たな試みで、空き地を無償提供してもらい、その代わりに、固定資産税などを非課税とする。そうすることで、火災が発生した際の延焼を防ぐとともに、災害時の一時避難や消火スペースの確保にもつながっていきます。平時は地域住民の交流の場として使い、災害に強い街づくりにつなげることもできます。
 密集市街地は一般的に、道路や公園などの施設が十分ではなく、敷地規模は狭く、接道義務などに不適合の建築物が多い。借地や借家も多く、土地・建物に関する権利関係が複雑なうえ、居住者の高齢化が進展している地区も多い。それゆえに老朽建築物の更新が進みにくい現状があります。
【質問】本市も住宅密集地がまだまだ残っています。どうしてもこのような問題は、地域コミュニティだけでは解決することが難しい。こういう所にこそ、行政が指導力を発揮し、問題解決することが必要ではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせ下さい。

【答弁】早くから市街化が進んできた本市にとって、密集市街地の問題は、重要な本市の都市課題であると認識しております。その対策といたしましては、これまでに、市街地再開発事業、住宅地区改良事業などに取り組んでまいりました。
 近年では、密集市街地の中でも、特に延焼の危険性があり、整備改善の必要性が高い地区につきましては、地域の皆様と共に考え、防災性の向上を目的とした防災街区整備地区計画を策定してきております。この地区計画では、狭あい道路に画した敷地におきましても、一定、建物の高さや、容積率の制限を緩和することによって、建て替えを促進するとともに、建て替え時には建物の防火性を向上させることなどを義務付けております。
 現在、潮江、浜、今福、杭瀬寺島、戸ノ内町北の4地区におきまして、当該計画を定めたところでございます。
 さらに今年度からは、建て替えに際して敷地後退した部分を道路空間として整備する密集住宅市街地道路空間整備事業も行い、この地区計画と併せることで、建て替えを促進し、密集市街地の改善を図つているところでございます。
 今後も、同様の課題を持つ密集市街地におきましては、こうした防災街区整備地区計画の策定等に向けた取り組みを地域に働きかけ、地域の皆様とともに、密集市街地の改善に努めてまいりたいと考えております。





地域コミュニティの再生のために最も必要なことは社協の加入率の増加です。一定のまとまった地域で自らの地域のことを自ら決定していくという仕組みは、自治体の地方分権以前に最小単位のコミュニティに必要不可欠な要素です。
社協の加入が減少すれば、本来地域で解決されるべき地域の問題が話し合われず、市民から直接市役所に寄せられることになります。その様なことになれば、相談件数が多くなり、現在よりも仕事が回らなくなることが予想されます。行政がこの地域コミュニティの再生に対して力をいれなければ、風吹けば桶屋が儲かる方式で、自らの負担が増えていくことに気づくべきです。だからこそ、1問目で指摘した、「市民を育てていくという意識」が行政の中のカルチャーとして必要なのです。
ここでお伺いいたします。
【質問】減少する社協加入率の向上のために、社協との連携をしていくというかけ声だけでなく、内容の伴った対策を実施していくことについて市長のご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】本市の社協は、地域福祉活動にとどまらず、地域自治機能を併せ持ち、市民生活やまちづくり全般にわたって支えていただいており、地域コミュニティ活動を担っていただく、協働のパートナーとして重要であると認識しております。
 新たな総合計画におきましても地域コミュニティの主な指標の一つとして社協の加入率をあげ、行政といたしましても加入促進の取組につきまして積極的に支援を行っていくこととしております。
 具体的には、社協の加入促進推進委員会に市も参画するなかで、平成24年度につきましては、市報あまがさき10月号におきまして、社協の役割や市としての社協への認識などについて特集記事として掲載しPRに努めてまいりました。
 また、この3月、4月の転入時期に合わせ、社協加入促進の転入者向けのPR封筒を市民課や各サービスセンターの窓口において配布予定でございます。
 さらに、加入促進の取組といたしまして、分譲マンション建設時や大規模な住宅開発時における事業者ヘの社協加入の要請について、引き続き取り組みを進めますと共に、既設マンションの未加入世帯への加入促進の取組につきましても、社協との連携を強め、積極的に取り組んでまいります。



次に水辺・運河を活用した政策推進についてお伺いします。
阪神間の都市の中で、本市の特徴の一つに、運河が挙げられます。
平成194月に尼崎運河は、運河を核とした魅力ある地域づくりへの取組を国土交通省が支援する「運河の魅力再発見プロジェクト」の第1次認定を受け、取組を進めてきました。尼崎臨海地域の貴重な財産である運河や河川を核に、自然と人と産業との良好な共生関係による持続的発展が可能な"21世紀の環境先進都市"の創造をめざすことを目標とするのが、「21世紀の尼崎運河再生プロジェクト」です。
先日の会派代表者会で平成25年度の組織改正について報告を受けました。その中で、臨海地域の一体的な活性化の観点から21世紀の森担当と河港課を統合し、河港・21世紀の森推進課が設置されるようです。運河と河港関係の水際がワンストップで取組を進めることができることから、良い組織変更となると評価しております。しかし、組織の変更だけでは取組はすすみません。
現在、運河の周囲でうんぱく等のイベントが開催されているものの、そのときは盛り上がるものの、賑わいの継続的な創出までには至っていません。
確かに、きれいにハード整備されているものの、どうしても滞在型のスペースではなく、通過型の場所になっています。
きれいに整備されているのでカフェなどの飲食店等が進出すれば、賑わいの創出に繋がるのではないかと思いますが、都市計画の用途地域を見てみると工業専用地域となっており、工業の業務の利便の増進を図ることを主眼とした地域であり、住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられません。
そこで、お伺いします。
【質問】多くのお金を投じて整備をしてきた場所であり、賑わいを創出するために運河沿いの用途地域の変更を検討するべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせ下さい。

【答弁】本市では県や企業、市民団体等と連携し、尼崎臨海地域の貴重な資源である運河や河川を核に「21世紀の尼崎運河再生プロジェクト」を進めております。
 これまで、ハード整備は主に県が行い、市はソフト事業を中心に、運河の,認知度を高め、魅力を向上させる取組みを行ってまいりました。
 昨年の春には水質浄化施設が北堀運河に完成し、この春には、その横にビジターセンターも完成予定で、県による環境整備が進んでおります。
 本市もこれら施設を活用しながら、市民ガイドの養成やこれまでも取り組んできた小学生を対象とした環境学習の場としての活用をさらに進めるなど、運河域が市民にとって多様な活動の場となり、継続した賑わいを創出するよう引き続き取り組んでまいります。

 また、用途地域につきましては、臨海地域のほとんどが工業専用地域となっており、現在も多くの工場が立地し、工場の操業環境を維持する必要がありますことから、現在のところ変更する考えはございません。
 なお、カフェなどの飲食店の進出については、建築基準法の許可制度などにより、一定の条件の下、現在でも設置・出店は可能でございます。
 しかしながら、これまで数件の問い合わせがありましたが、経営上の間題もあり、出店までには至っていない状況でございます。




次に、防災・安全対策の推進についてお伺いして参ります。
 平成25年度の組織改正で目を引く項目の一つとして、総務局に防災担当局長を設置することが記載されています。
 東日本大震災以降、想定外を極限までなくし、本市が将来に渡り取り組んで行く防災・減災の取組の中で組織を見直すことは良い方向性であると感じます。周辺他都市では防災監等が置かれている都市もあり、防災対策は行政の役割として普遍的に残り続ける項目であると考えています。
 しかし、一つ解せないのが、防災担当局長が新設されるものの、総務局の中に担当局長として設置されることは不可解です。
【質問】局調整をするならば、しっかりと、組織図的に総務局の中でなく、防災局として整理すべきではなかったのかと感じますが、この意図について市長のご見解をお聞かせ下さい。



今後の本市の災害想定をしっかりと行い、非常時に対応できるようにしていかなければなりません。
災害弱者である障害者、高齢者やこどもたちの避難手法や最終避難場所確保,そこへの道のりの決定など細やかな対応、ケース想定が必要になります。
【質問】担当局長を設置し、これから取組をより一層進めて行くことになりますが、具体的にどのような役割を市長はこのセクションに対して意図して作られるのかご見解をお聞かせ下さい。


【答弁】本市の最近における防災・防犯におきましては、1.より安全で安心できるまちづくりを進めていくために、国等の最新の被害想定に応じた尼崎市地域防災計画の見直しを図らなければならないこと、2.気仙沼市派遣などによる広域的な防災体制並びに協力関係の強化化等を図っていく必要があること、3.ひったくりや空き家が発生していることなど市民の安心出安全確保の観点から、多数の緊近の課題がある状況にございます。
 そのため、これらの事項を所掌している総務局防災安全部を所管とする防災担当局長を新たに配置することにより、市内外にわたる横断的かつ総合的な事務処理の円滑化などが期待できることから、強力なリーダーシツプの導入により、まずはこれら緊近の課題解消の促進、ひいては本市の防災・防犯機能の一層の強化を図ろうとするものでございます。

阪神大震災、東日本大震災で得た知識と経験を是非,そうした防災・減災の策定に,生かして行くことが我々に課せられた責務です。しっかりと市民の安全を守って頂き、安心したまちづくりの推進をお願いいたします。



------------------------------------ 【3回目登壇】 ------------------------------------


3回目の登壇は、意見とさせて頂きます。
今回私は、「生まれ育ったまちをさらに、よいまちにすることが出来るか」ということに主眼に置き、マクロ的、ミクロ的それぞれの視点で様々な角度から質疑を行って参りました。
私は、尼崎を愛する市民の一人として、市政を預かる一政治家として今後、より一層自らを成長させ続けて参ります。それが、実現力と実行力をもった会派として市政を常にリードする会派である新政会の力となるからです。
新政会がこれまで市政をリードしてこれた最大の理由は、地域に根ざしているからこそ、そこからにじみ出る尼崎に対する愛情と本気度です。新政会で最も若い私でも、36年間、尼崎で生まれ育ってきました。本当に尼崎のことを心から考える、メンバー一人一人の知恵の結集が、一層の市政発展・市政推進の力となることを信じてやみません。
あと、3ヶ月ほどで我々の任期も終わります。ちまたでは政治への関心が一時的に高まっています。選挙目的で尼崎にやってくる輩もいます。本当にまちの事を知り、本気でそのまちのことを愛していない人間が政治家となれば、そのまちは良くなるはずもありません。
私は、尼崎の市民の良識を信じています。新政会はこれからも尼崎のために、最大限に尽力していくことを申し上げ、以上で代表質疑を終わらせていただきます。
質疑できなかった項目やさらに詳細について質す必要がある項目につきましては、我が会派のメンバーが分科会並びに総括質疑を通じて質して参ります。先輩、同僚議員の皆さんにおかれましては、長時間御清聴ありがとうございました。

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