2006年12月 第8回定例会 一般質問
【質問項目】
■市長の政治姿勢について
・マニフェストについて
■広報戦略について


■市長の政治姿勢について
・マニフェストについて
【質問】高校生の職業研修の制度化についてお伺いいたします。
現在、兵庫県下では、企業などで2日間の体験学習を行うトライやる・ウィークが行われています。これは、中学生が職場体験、福祉体験、勤労生産活動など、地域でのさまざまな活動を通じて、働くことの意義、楽しさを実感したり、社会の一員としての自覚を高めるなど、生徒一人一人が自分の生き方を見つけられるよう支援していくことを目的としています。また、取り組みを通じて、学校、家庭、地域社会の連携を深め、社会全体で子供たちの人間形成や社会的自立の支援を行うことで、子供たちを中心とした地域コミュニティーの構築と発展をあわせて目的としています。
一方、大学生のインターンシップ制度を取り入れる企業がふえています。インターンシップとは、学生が一定期間企業の中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度のことで、文部科学省、経済産業省や各経済団体などは、インターンシップを積極的に推進しており、取り入れている企業は年々増加しています。特に、採用活動におけるミスマッチング、離職率の増加が大きな社会問題となっており、その解決策としてインターンシップ制度が大きな注目を集めています。
市長が提案されている高校生の職業研修の制度は、中学生のトライやる・ウィークと大学生のインターンシップの間の時期に行われる制度となります。また、時系列で整理すると、この施策は、中学校のときにトライやる・ウィークで体験学習を経験し、高校卒業後、就業したり大学生活を通じアルバイトなどに従事するようになる前の生徒が研修を受ける制度です。
 まず、それぞれの制度の目的、関連性をどのように整理され、実施を目指されるのかをお聞かせください。

【答弁】保田教育長
中学生のトライやる・ウィークにつきましては、地域に学ぶ福祉体験や職業体験を含んだ体験活動でございます。大学のインターンシップにつきましては、地域社会や産業界との連携、交流の必要性が高まる中で、採用活動におけるミスマッチや早期退職を防ぐなどを目的とした体験活動でございます。高等学校の職業研修は、その中間的な意味を持ち、職業の現場での実際的な知識や技術、技能に触れることによって、学校における学習との関係を理解し、自己の職業適性や将来設計について考える機会となるというふうに考えております。
また、生徒が教師や保護者以外の大人と接する貴重な場の設定ができ、世代間のコミュニケーションが広がるなどの効果も期待しております。
こうした効果を最大限に発揮できるように、今後実施に向け、尼崎商工会議所や尼崎経営者協会、尼崎工業会等の関係団体の協力や御意見を得ながら検討してまいりたいと考えております。

【質問】トライやる・ウィークは体験を目的としています。インターンシップも職場体験、仕事体験を目的にしています。しかし、基本政策には、高校生の就業研修とあります。研修を辞書で引いてみると、職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること、また、そのために行われる講習とあります。職務で必要であるから、一定期間特別に勉強や実習を行うのです。職務に従事するということを前提にした研修制度ならば、卒業して就職先としてその企業への受け入れをしてもらうことを担保した制度となるのでしょうか。また、生徒の希望を尊重するのであれば、受け入れ先との需給バランスは考慮されているのでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
高校の就業研修は、生徒の視野を広げる意味を目的に実施するものでありますので、研修を行った企業に拘束されるといった趣旨のものではございません。また、受け入れ先企業との間の需給バランスにつきましては、企業側の負担も考えられることから、尼崎商工会議所、尼崎経営者協会、尼崎工業会なども含めた尼崎雇用対策協議会、さらには公共職業安定所とも連携をとりながら検討してまいりたいと考えております。

【質問】高校の就業研修を施策として行う上で、トライやる・ウィークでの企業側の直接的負担などの具体的な実態調査を行った上での御提案なのか、お答えください。

【答弁】保田教育長
中学生のトライやる・ウィークでは、安全面のこともありまして、いわゆる製造業種に行く機会は少なくて、個人商店とか幼稚園、保育所、福祉施設などが主な受け入れ先となっておりまして、受け入れ側にそれなりの負担はあるものの、おおむね好意的な評価をいただいております。
高校生の職業研修制度につきましても、トライやる・ウィーク以上に企業に負担をおかけすることも考えられますけれども、現に受け入れを積極的に申し出ていただいている企業もございまして、今後、関係団体と十分な調整を図り、取り組んでまいりたいと考えております。

【質問】市内全日制高等学校普通科の生徒の進路を過去5年間調べてみました。平成18年3月に卒業した生徒で大学へ進学した生徒は32.4%、短大へは11.9%、専修学校は24.6%、その他各種学校などへは3.5%となり、進学を希望した生徒は全体の72.4%になっています。この数字には、在宅で進学を目指す生徒などは含まれていないため、さらに数字は高くなると思われます。このようにして各年度を見比べると、ほぼ70%前後で推移しています。さらに、商業科、工業科を含めても、進学希望者は60%前後で推移しています。逆に、就職を希望した生徒は全体の26%前後となっています。
以上を踏まえてお答えください。全国の高等学校で学習指導要領に定められた必修科目の履修不足の事件が頻発しております。これは、受験に必要のない科目を必要な他の科目に変更して、授業時間を確保しようとしたことに端を発しています。学力向上は多くの市民の願いです。このような事件が頻発している中で、授業時間を割いて行うような制度の導入は、大学や専修学校など進学を希望する生徒が多い中、生徒たちのことを考慮した施策なのでしょうか。また、授業時間が足りないという教育現場の事情を考慮した制度となっているとお考えでしょうか。あわせてお答えください。

【答弁】保田教育長
高校生の職業体験は、学習と職業との関係について生徒の理解を促進し、学習意欲を喚起する効果が期待できるため、すべての高校生を対象に検討してまいりますが、普通科と専門教育を主とする高校、さらに全日制と定時制の高校では、生徒の意識や意欲が大きく異なっているところでございます。また、研修時期につきましては、受け入れ側の問題もございますけれども、長期休業中等、夏休み等ですね、授業に支障のない時期での実施も含めて検討してまいります。

【質問】ボランティア貯金の制度化についてお伺いします。
ボランティア貯金制度とはどんなものかよくわかりませんでしたので、尼崎市のホームページでボランティア貯金という語句で検索してみました。平成16年7月23日に行われた第3回車座集会で、市長と市民の方とのやりとりで、できるときにボランティアのお手伝いをすると、今度は自分が動けないときに助けてもらえるようなものと、ボランティア貯金のことがありました。市長が提案されているのは、この話をもとにされているのでしょうか。違うならば、概要をお答えください。

【答弁】白井市長
だれもがその人らしく安心して暮らせる地域福祉社会の実現を目指すために、地域福祉の主役である市民が、みんなで助け上手、助けられ上手の支え合うまちづくりを推進することが何よりも大切であると認識しております。そのため、老人給食や介護、子育てなど、さまざまな地域ボランティア活動をより活性化させていくことが必要で、ボランティア貯金についても、その取り組みの一つであると考えております。
ボランティア貯金の考え方につきましては、以前、車座集会で話題となったものと同様のもので、ボランティア活動ができるときに行った活動時間をポイントとしてためておき、自分がボランティアサービスを受けたいときには、貯金してあるポイント分を受けることができる仕組みを考えているところでございます。

【質問】この制度を行うのであれば、どれぐらいの期間実施をお考えなのでしょうか。また、事業費はどの程度かかると想定されているのでしょうか。お答えください。
最後に、事業終了の時点で預けられている貯金といいますか、ポイントは、どのように清算しようとお考えでしょうか。お答えください。

【答弁】白井市長
ボランティア貯金制度につきましては、安定的な制度維持が可能になるようにしていくことが重要であり、将来にわたってポイントの保障がなされ、市民が安心して参加できるのか、担い手と受け手との範囲は、例えば尼崎市民に限るのか、清算をどうするのかなどなど、整理しなければならない課題が少なくありません。したがいまして、今後さまざまな角度から研究してまいる考えでございます。

【質問】まちづくり参加相談窓口の設置についてお伺いします。
来年、2007年度から、団塊世代の人たちが大量に退職して、地域に一斉に戻ってくると言われています。相談窓口は、その方々が地域活動へスムーズに参画していただけるように提案された政策であると思われます。まず、市内在住者で団塊世代と呼ばれる方々をどのような形で把握されているのか、お答えください。また、その中でまちづくりに参加したいという団塊世代のニーズをどのように把握していらっしゃるのか、お答えください。

【答弁】村山企画財政局長
団塊の世代と言われる市内在住者につきましては、昨年の国勢調査結果によりますと、2万5,000人を超え、人口の約5.6%を占めております。団塊の世代を対象とした直接的なニーズ調査は行っておりませんが、まちづくりに参加したいというニーズにつきましては、昨年の11月に実施しました協働のまちづくりに関する市民意識調査の結果によりますと、50歳代、60歳代の方425人のうち39%の方が、自治会やボランティア、市民活動などのまちづくり活動に参加していると答えております。一方、まちづくりに参加したことがないと答えた方のうち57%の方が、今後まちづくり活動に参加したいと答えており、参加したくないと答えた17%を大きく上回っておりますことから、まちづくり活動への参加ニーズはあるのではないかと考えております。

【質問】基本政策みらいのあなたへには、地域に戻ってくる団塊世代の方々への相談窓口の設置となっています。では、地域に戻り、新たに活動に参画したいと希望する方々のために、どのような手法で取り組まれようとお考えでしょうか。お答えください。

【答弁】村山企画財政局長
団塊の世代が退職を迎え、地域社会に戻ってまいりますが、そうした方々が地域で主体的に活動することは、地域の力を高め、希薄化しているコミュニティーを活性化する上で重要なことだと思っております。
そうした中、まちづくり活動への参画を希望される方々に対し、まずは社会福祉協議会であるとかボランティアグループなど、さまざまな活動に関する情報を提供することが何よりも必要であると考えております。具体的な取り組みといたしましては、まず協働参画課及び各地域振興センターに相談窓口を開設し、情報提供、相談対応を行うとともに、可能な範囲内で市内企業の退職者に対しさまざまなまちづくり活動を紹介し、自分に合った活動を見つけてもらうなど、活動に参加するきっかけづくりや参画しやすい支援を行うことから始めてまいりたいと考えております。

【質問】この政策は2007年度に実施とありますので、事務事業評価の評価指標としての相談件数は何件を目標とされているのか、お答えください。
また、新たに地域活動に参画した方々の件数を成果指標に取り入れようとお考えでしょうか。お答えください。

【答弁】村山企画財政局長
事務事業評価の指標としましては、現在、成果指標と活動指標がございます。現段階におきましては、相談件数を一つの活動指標としていけるのではないかと考えておりますが、新たに地域活動に参画した方々の件数を成果指標とすることにつきましては、その件数をどのような形で把握するのかとか、確認の方法が難しい面があるかなと考えております。今後、効率的、効果的な事業実施の観点から、事業の実施方法について検討する中で、その適切な成果指標や目標の設定に努めてまいりたいと考えております。

【質問】コールセンターの設置についてお伺いします。
コールセンターとは、顧客への電話対応業務を専門に行う施設や部門のことです。民間企業では、苦情、各種問い合わせ、注文を受け付けるために置かれています。コールセンター設置の背景として、事務の迅速化、情報の集中管理の必要性、コスト削減などがあることは理解できます。他都市のコールセンター導入事例を調べてみると、コールセンター施設は役所の外に置き、市の職員ではなく委託された事業者のオペレーターが質問、意見に答える体制となっています。事務処理として一般的な問い合わせに対応するだけではなく、個別案件として担当課に回した方が適切とオペレーターが判断した場合でも、ただ電話を回すのではなく、概略を説明した上で転送するので、質問者が一から説明し直す煩わしさがなくなっているとされています。電話やファクス、メールなど、市民から貴重な意見、検討課題などの情報が市役所に集まってきています。その集まったものは、市民からの貴重な生きた情報です。市長は、他都市と同じようにコールセンターを外部委託して設置しようとされています。行政と市民が遠いと言われる中、市民の直接の声を聞く場を外部委託することについてどのようにお考えなのか、お答えください。

【答弁】村山企画財政局長
コールセンターにつきましては、民間において先進的に取り組まれており、経験、技術、ノウハウ及び迅速、柔軟な対応が可能であることなど、民間の能力を活用することがより一層市民サービスの向上につながることから、外部委託を行おうとするものでございます。このコールセンターで得た市民の声をデータベース化した上で、全庁的な情報の共有が可能となるようなシステムも取り入れていこうと考えております。

【質問】私自身も、役所に寄せられる情報を一元集約することが必要と考えています。市長は、コールセンターを設置すれば、年間5,000万円から6,000万円の委託料をコストとして示されています。私は、コールセンターの運用委託費用に5,000万円を超える金額をかけるならば、情報を集約して活用するデータベースを構築、運用することで、市長のおっしゃる市民からの問い合わせにタイムリーに対応することができると考えますが、いかがでしょうか。

【答弁】村山企画財政局長
コールセンターを設置するメリットといたしましては、窓口の一元化、迅速な対応、問い合わせ内容等を集積、また分析し、そして、分析結果を活用した業務改善がございます。この中でも、特に市民の方々から寄せられた多岐にわたります問い合わせ内容等に対しましては、オペレーターがデータベース化したよくある質問集を検索して、迅速、的確に対応を行うものでございます。さらに、寄せられた内容等を同時進行でデータ化し、以降の問い合わせ等に役立てる、そのようなシステムでございます。これらの一連の対応につきましては、即座に行うことで初めて効果を発揮するもので、専門的かつ高度な技術が必要でございまして、これを有した民間事業に委託することにより、よりタイムリーな対応が可能となり、市民の方々が利用しやすく、親しみやすい市役所の一環とできるものと考えております。

■広報戦略について
【質問】尼崎市の広報戦略についてお伺いいたします。
広報とは、業務及び活動内容の情報発信業務、またはその担当者のことを言います。昨年9月に行われた総選挙では、自民党が広報戦略を重視して圧勝したことは記憶に新しく、現在の安倍内閣では、広報担当の内閣総理大臣補佐官が置かれるなど、広報の重要性が高くなっています。このように、広報という仕事、業務の重要性は拡大してきています。本市の行政運営においても、広報部門の仕事は、市民に対しての情報発信を一手に引き受ける部署でなければならないと考えます。現在、尼崎市には、企画財政局広報課が設置されています。ここ数年で利用、活用が急増しているホームページも広報です。しかし、ホームページは企画財政局情報政策課が担当されています。現代社会は情報がだれでも手軽に発信できる社会になってきています。だれもが情報発信できるということは、情報があり過ぎる、情報過多の状態になってくるということを意味します。必要な情報を必要な人にきちんと発信しなければ、受信をしてもらえません。ということは、広報戦略を重視して、受信してもらいやすい形に調整する必要があります。広報誌は広報課、ホームページは情報政策課ということではなく、市民の視点に立って、じっくりと見ることができる紙媒体と、即時性、情報加工性が高いホームページというふうに、それぞれの特性を考慮して広報戦略を行っていく必要性があると考えます。
そこで、広報課と情報政策課のホームページを担当する部門を統合して、市民への情報発信を全庁的に統括、コントロールする広報戦略室のような体制をつくることを検討できないでしょうか。お考えをお聞かせください。

【答弁】森総務局長
広報課と情報政策課のホームページを担当する組織を統合し、市民への情報発信を統括する広報戦略室のような体制を設置することを検討できないかといった御質問にお答えいたします。
昨今、企業を取り巻く経営環境は大きく変化しており、広報活動は経営の重要戦略との認識が広がっております。本市におきましても、市民に対して関心と理解を深めてもらい、身近な情報をわかりやすく提供するため、市報あまがさきの内容の充実を図るとともに、発行方法の見直しも行い、また、尼崎市のホームページにつきましても、利用者における利便性向上の視点から、段階的なリニューアルを実施するなど、時代に応じた市民への情報発信の方法に見直しを図ってきているところでございます。
今後、本市の広報戦略につきましては、組織のあり方も含め、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

【質問】広報戦略の一つとして、ネーミングライツを活用した新たな財源を確保することについてお伺いいたします。
ネーミングライツとは命名権のことで、人間や事物、施設、キャラクターなどに対して名称をつけることのできる権利のことです。アメリカのメジャーリーグで新球場が建設されたとき、その名称に企業名が命名され、高い費用対効果が認められたことから、他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていきました。日本においては、赤字の公共施設の管理運営費を埋め合わせる手段の一つとして注目を集めています。東京都にある東京スタジアムの名称を味の素スタジアムとしたのが公共施設として初めての事例です。その他には、大阪ドームが京セラドーム大阪となったり、宮城県のフルキャストスタジアム宮城などがあります。スポーツ施設にとどまらず、大分県では、県立総合文化センターがいいちこ総合文化センターとなり、渋谷公会堂が渋谷C.C.Lemonホールになるなど、多くの公共施設で活用されています。施設の管理者のメリットとして、新たな設備投資を伴わないで、安定的かつ高額な収入を一定期間確保することができること、命名権を購入する側のメリットは、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、宣伝効果が見込まれることです。味の素スタジアムは5年契約で12億円、フルキャストスタジアム宮城は3年契約で約6億円となっています。
尼崎市の施設ではここまでの金額は期待できないかもしれませんが、新たな財源としては魅力的なのではないでしょうか。課題としては、施設を設置した理念や現在の名称を決定したいきさつ、施設に企業名や商品名が使われる場合の影響など、施設の状況に応じて個別に導入の可能性について検討することは必要です。しかし、財政難の折ですので、新しい財源確保のため、市内公共施設においてネーミングライツ制度を導入していくことについて、本市のお考えをお聞かせください。
また、導入が難しい場合、課題はどのようなところにあるのかをお聞かせください。

【答弁】村山企画財政局長
現在、新たな財源の確保策といたしましては、市の資産を広告媒体として活用し、広告収入を得ることを検討しているところでございます。ネーミングライツにつきましては、現在のところ対象としておりませんけれども、今後可能性のある施設を選択いたしまして、検討してまいりたいと考えております。

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