2012年6月 第18回定例会 一般質問
【質問項目】
■財政について
・次期行財政改革について
・予算編成策定プロセスについて
■信頼される社会保障制度の再構築について
・生活保護制度について
・市営住宅制度について


■信頼される社会保障制度の再構築について
【質問】信頼される社会保障制度の再構築についてお伺いしてまいります。
我が国では、少子高齢化の進展により速急な社会保障制度の見直しがなされつつあります。特に年金、医療分野の見直しを迅速に行わなければ、世代間格差がさらに拡大するおそれがあります。地方自治体の本市においても雇用の不安定の問題、貧困や格差問題と大きな影響が出てきています。
そのような際に生きるのが、生活保護制度や公営住宅制度などのセーフティーネットです。しかしながら、そのようなセーフティーネットである社会保障制度に対する信頼性が低下していると感じるのは私だけでしょうか。長い人生の中で、危機的な状況がいつ起こるか、起こるかどうかさえわかりません。だからこそセーフティーネットである社会保障制度は大切なのではないでしょうか。これまでたびたび質問してきた社会保障制度について、再度取り上げて質問していきたいと思います。
まず、生活保護制度についてお伺いいたします。
昨今、新聞やテレビなどで数千万円の年収がある芸能人の親が生活保護を受給していることに始まり、他の芸能人も親が住む住宅ローン40万円を支払いながら生活保護を受給させていたという事象等、生活保護制度に対する不信感が高くなっています。このような状況が続くと、生活保護制度の縮小や制度そのものの存続にもかかわりかねません。納税している方々の負担によって成り立っていることを受給している方だけでなく、本来扶助すべき方々も含め再認識することが必要ではないでしょうか。
今回芸能人の事件で一番問題となったのは、所得があるにもかかわらず扶助しないことが問題の焦点ではなかったかと思います。民法第877条の1項では、直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があるとされ、2項では、家庭裁判所は特別の事情があるときは前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができるとなっています。しかし、行政側は扶養義務者が扶養義務を果たしていなくても、現に生活に困窮している以上、生活保護認定せざるを得ない状態にあります。そこでお尋ねします。
受給者及び扶養義務者に対して扶養義務の履行指導を厳密に行い、それでも履行しない場合は扶養義務者から費用徴収を行うというのが本来のあり方だと考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】作野健康福祉局長
扶養義務者からの費用徴収については、生活保護法第77条に規定されておりまして、福祉事務所と扶養義務者の協議が整わないとき、または協議することができないときは家庭裁判所に対して申し立てを行い、家庭裁判所で決定された扶養義務者の負担すべき金額について徴収することができるとされております。そのため、扶養義務者に十分な扶養能力があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、ほかに円満な解決の道がない場合には、生活保護法第77条の適用はやむを得ないと考えております。しかしながら、現行法制度上、扶養義務者の所得や資産を調査して、関係機関等から強制的に回答を得ることはできず、またその事務量も膨大なものとなります。そうしたことから、現段階では現実的には法第77条を適用することは容易ではないと考えております。

【質問】生活保護制度は憲法第25条によって定められている生存権の具現化として制定され、第1条には、この法律は日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするとあるように、自立を助長させることについて本市も多くの取り組みを行っています。
本市の生活保護等の推移は平成19年度に1万2,923人だったのが年々増加し1万3,385人、1万4,806人、1万6,385人、平成23年の直近では1万7,482人となり4,600人程度増加しています。保護率も、平成19年度が28.02パーミルであったものが平成23年度には38.69パーミルと、10ポイント以上も増加する深刻な状態となっています。また、本市の生活保護受給者の各世代の比率割合で見ると、平成23年の数値で未成年者が16.06%で20代が3.25%、30代が6.82%、40代が10.40%、50代が12.38%、60代以上が51.09%となっており、高齢になるにつれ増加しています。また、平成19年からの推移を見ると20代と40代の比率が増加しています。これを踏まえお尋ねしてまいります。
まず、保護受給者の中でも働ける可能性のある方は、生活保護法第1条、先ほども申し上げたように、自立を促し保護から脱却していただくことが必要です。平成23年度1万7,482人の生活保護受給者の中で年少者と60歳以上の高齢者を除くと総数の33%程度となり、人数換算に直すと約5,800人程度となります。この人数がいわゆる稼働年齢層と言われる世代に当たります。しかしながら、年齢が若くとも障害などで働くことができない方もいらっしゃるはずです。そこでお尋ねいたします。
稼働年齢層と考えられる5,800人のうち、就労可能な方はどれくらいいるかお答えください。

【答弁】作野健康福祉局長
稼働年齢層とは、15歳以上65歳未満の年齢層の方を指しますので、平成24年2月時点では全体で8,505人となります。そのうち御質問の福祉事務所が就労可能と判断している方の人数といたしましては2,154人となります。

【質問】市営住宅制度について伺ってまいります。
平成22年9月の第8回尼崎市議会定例会におきまして、公営住宅について私は質問を行いました。その後、2年近く経過し状況の変化もあると思いますので、公営住宅についての取り組みについて伺ってまいります。
まずは住宅戸数のあり方についてです。
平成22年9月の質問で、市営住宅管理戸数はほかの自治体と比較、市内の空き家率の状況、今後の建設管理経費などを踏まえた上で適正と考えるのか。また、市営住宅は現在の財政状況、将来需要推計をもとに、適正コストの算出や整備計画の策定が必要と考えるがどうかとの問いに対し、都市整備局の答弁は、住宅更新、修繕経費を考慮すると見直すべき課題であると認識されており、策定中であった住宅マスタープラン改定検討会議の中で市営住宅の適正な管理戸数のあり方についても議論し、適正戸数については維持管理経費なども考慮しつつ、将来的な需要と供給のバランス、民間住宅の空き家状況なども見きわめながら検討していくとの答弁でありました。
その後、策定されました住宅マスタープラン2011によると、震災復興住宅を多数建設してきたことにより、本市の市営住宅全体のストック数は1万戸を超えたものであり、全国の中核市や類似都市と比較しても多くの管理戸数を有する状態となっている。結果、市営住宅の維持、管理に係る費用が増大してきている中で、昭和40年代に建設された市営住宅が一斉に更新の次期を迎えるため、今後建てかえに取り組んでいかなければならない。将来にわたる財政負担の点から、震災前には9,000戸程度の管理戸数であったことを踏まえ、今後建てかえを進めることによって一定の確保された住宅を供給するとともに、管理戸数の漸減を図っていくとの記載があります。しかし、全国の中核市や類似都市と比較して多くの管理戸数を有していると述べながら、目標が震災以前の9,000戸という数に近づけていく旨の表記がなされています。
マスタープラン2011の資料に、他都市における市営住宅管理戸数の比較という資料があります。そこには、本市と中核市、類似中核市、阪神間での管理戸数の比較が掲載されています。人口単位で比較している1万人当たりの管理戸数平均が中核市全体では115戸、類似中核市では98戸、阪神間比較で133戸となっている中で、本市は234戸となっています。また、世帯単位の比較で見ると1万世帯当たりの管理戸数は中核市全体で273戸、類似中核市では238戸、阪神間比較で323戸であるのに対し本市は518戸と、どちらも他都市に比較して2倍以上の開きがあります。
住宅は建設する際の高額な建設費とともに、一度建設すれば毎年維持管理経費が必要です。さらに、それが50年近く続くことになります。つまり、一度建設することになれば多額の固定的な経費がかかるということになります。本市は10年に及ぶ行財政改革に取り組んでも、いまだに収支不足が解消できないような状態です。そのような財政が非常に逼迫しているような状況の中で、なぜ震災以前の9,000戸という数が出てくるのでしょうか。どの分野も必要な経費を削減し、他都市並みとなっていっている中で、どうして市営住宅だけが特別なのでしょうか。ここでお伺いいたします。
本市の財政状況を考慮するとすぐには難しくとも、他都市並みに管理住宅戸数をもっていくべきだと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
本市の市営住宅につきましては、昭和40年代に建設された全体の約4割を占める住宅が一斉に更新の時期を迎えるため、今後建てかえに取り組んでいかなければなりません。昨年3月に策定した住宅マスタープランにおいては、集約的な建てかえを進めることにより、管理戸数の漸減を図るということにしておりますが、あわせてやはり入居者の意向や建てかえ後の住まいの確保にも十分配慮する必要があると考えております。現在武庫地区にある建設が最も古く老朽化が著しい時友、西昆陽、宮ノ北の3住宅を対象に、建てかえに向けた検討を鋭意進めているところでございます。
市営住宅の管理戸数のあり方につきましては、長期にわたる建てかえ事業を進める中で、将来的な社会経済情勢やその時点における需要と供給のバランス、住宅ストックの推移に加え、本市の財政状況等についても十分考慮しながら検討していくべき課題と考えております。

【質問】市営住宅の家賃についてお伺いしていきます。
平成22年の質問のときに、家賃については2点の問題があると提起しました。1つが民間借家の家賃よりも低額となっている家賃すら滞納するという問題、そしてもう1つが、所得が収入要件を超えているにもかかわらず入居し続けるという問題です。
まず、民間借家家賃よりも低額になっている家賃滞納については、公営住宅法第28条に収入超過の認定、第29条に高額所得者の退去義務について記載されています。収入超過者とは、市営住宅に引き続き3年以上入居し、かつ政令で定める基準を超える収入を有する世帯が該当します。該当すると市営住宅を明け渡すよう努力する義務が発生し、基本家賃に割り増し賃料が加わることになります。また、高額所得者とは、市営住宅に引き続き5年以上入居し、かつ最近2年間引き続き政令で定める基準を超える収入を有する世帯が該当します。家賃は近傍同種家賃となり、住宅明け渡し義務が義務づけられます。平成22年の質問時には収入超過者が1,015世帯、高額所得者は32世帯あるという御答弁でありました。そこでお伺いいたします。
平成22年の質問時より、収入超過者の入居件数、高額所得者の入居件数についてどのように変化してきておりますでしょうか、お聞かせください。また、どのように取り組みを進めてきたのでしょうか。また、今後の対策についてもあわせてお答えください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
公営住宅法第28条に規定する当該公営住宅に引き続き3年以上入居し、政令で定める基準を超える収入のあるときに該当する、いわゆる明け渡し努力義務が生じる対象者である収入超過者は、平成22年の1,015世帯から214世帯減少し、平成24年5月末現在で801世帯となっております。また、同法第29条に規定する当該公営住宅に引き続き5年以上入居し、最近2年間引き続き政令で定める基準を超える高額の収入のあるときに該当する、いわゆる明け渡し請求のできる対象者である高額所得者は、平成22年の32世帯から9世帯減少し、平成24年5月末現在で23世帯となっており、これらの収入超過者、高額所得者には、法に基づく対象である旨の通知を行い、高額所得者には個別に面接を実施し住宅明け渡し義務について説明を行うとともに、特定公共賃貸住宅である中間所得者向けの住宅へのあっせん入居についても説明を行っております。今後につきましても、対象者に法の趣旨を継続して伝え、住宅返還を求めてまいります。

【質問】次に、もう1つの課題である家賃の滞納についてであります。
先日、新聞やテレビなどで奈良市の市営住宅の実態について報告がありました。全体の滞納額は6億7,000万円となっており、1年以上滞納している世帯が337件で滞納件数で見ると15.8%と、非常に高い割合となっていたようです。大阪市の平成22年度の年間家賃総額、およそ294億円のうち滞納額の割合は0.67%、神戸市が0.7%、京都市が2.9%、大津市が2.9%、和歌山市が5.1%で、他都市の滞納率平均は2010年度の数値ですが3.5%となっておりました。これに対し、奈良市の滞納率は先ほども申したように8.3%となっており、非常に高い割合となっていたようです。そこでお伺いいたします。
本市の市営住宅等の使用料の滞納額、滞納率について過去5年分をお聞かせください。また、収納率についてもあわせてお聞かせください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
市営住宅等の使用料の滞納額は平成18年度約4億円、19年度約4億3,500万円、20年度約4億6,400万円、21年度約5億7,600万円、22年度約5億8,500万円でございます。滞納率は平成18年度12.3%、19年度13.0%、20年度13.7%、21年度16.5%、22年度16.6%でございます。また、収納率は平成18年度87.2%、19年度86.5%、20年度85.8%、21年度83.4%、22年度82.5%でございます。

【質問】まず、市営住宅なんですけれども、ちょっと奈良市よりもひどい滞納率で、これはちょっと取り組みをもう少しやっていただかないといけないかなと思います。
収入超過者の入居件数と高額所得者の入居件数についてがちょっと減ってきているので、ここについては引き続き対策をというか、毅然とした態度でしていただきたいと思います。ただ、市営住宅の部分、この滞納率がふえているというのは、ここは指定管理、皆さんも声が上がっていたんですが、指定管理を導入してこれを抑えていくというはずだったものが、どんどんと滞納率がふえている、特に直近では16.6%ということで御答弁いただいたんですけれども、かなりの、ほとんどこれが2割に届くような形になってくると、市営住宅の意義、本当に一般の皆さんの税金で困窮している人を助けようという、いわゆる扶助というところを見直さざるを得ないような社会不安を招いてしまうような制度になりかねないので、ここについては引き続き厳しく対策のほうとっていただきたいと思います。
あと生活保護のほうなんですけれども、生活保護法第77条のほうなんですけれども、事務量が膨大になるのでできないとうことであれば抑止力が働かなくて、いうたら1回受給するとだだ漏れという形になってしまいます。だから、事務量を理由にするんであれば、もう少し予算をつける、また職員をふやす、そのような形で対策をとっていっていただかなければ、ここについても抑止がきかないと思います。
では、2問目に入っていきたいと思います。生活保護部分について引き続きお伺いしてまいります。
本市では、自立支援対策として就労相談等について力を入れて取り組んでいます。平成22年度の事務事業評価を確認すると、特に就労支援相談員14名体制で取り組み約800人程度相談した結果、333件の実績に結びついているようです。
1問目で質問した稼働年齢層の人数中、福祉事務所として就労可能として判断している方が、先ほど2,154人いらっしゃるという答弁でありました。しかし、この2,154人の相談を14人で行おうとすると、1人当たり約150件程度の就労相談を行わなければなりません。一人一人の話を聞いて就労相談するには担当件数が多過ぎるように感じます。一方、本市はしごと支援課が若年就業支援事業やものづくり雇用創造支援事業、地域雇用就労支援事業、しごと塾事業等の就労関係の事業を行っておられます。同じ就労という目的のため連携すれば効率的ですが、ここで懸念されるのが健康福祉局と経済環境局との縦割りの弊害です。そこでお伺いいたします。
部局横断的に連携をしながら取り組みができているかどうかお聞かせください。また、できていないようなら今後どのように連携していけるかの御見解もあわせてお聞かせください。

【答弁】【答弁】作野健康福祉局長
生活保護受給者に対する就労支援につきましては、履歴書指導、職安への同行、面接指導など求職活動のほうを中心に支援するとともに、本人の就労に向けた意欲を喚起する寄り添い型の支援を行ってきたところでございます。これにより、一定の求職活動に関するスキルが身についたり、意欲が増進された方につきましては、その方の状況に応じて自主的な求職活動を支援するほか、ハローワークの専門支援員やしごと支援課の地域雇用・就労相談窓口につなぐといった連携を行っております。またあわせまして、しごと支援課が中心となって組織している若年者就業支援委員会などの場で、関係課並びに団体間相互の事業に係る情報交換を実施をし連携に努めているところでございますが、生活保護受給者で就労支援を必要とする方はなお非常に多く、厳しい雇用情勢が続く中で、今後より一層組織的な連携を深め支援していくことが必要と考えております。

【質問】そして、現在の生活保護制度では自立支援プログラムを作成し、さまざまな世帯に応じた自立支援のあり方を模索していますが、生活保護制度からの脱却のためにまず行わなければならないのは生活体験だと考えます。
例えば、生活保護直接ではないんですが、ホームレス状態からアパート生活になった方は、アパート生活そのものになれてもらうことが必要です。なぜならば、アパート生活となると、生活環境の変化に伴って、今までの仲間であるホームレス同士のつながりなども途切れてしまい、孤独に陥り寂しさから再びホームレス生活に戻るという事象も耳にします。生活保護受給を開始したからすぐに仕事を探して就職することができなくとも、何か社会との接点を持つことから始め、その活動を通じ世の中とのつながりを実感し自信を取り戻していくという丁寧なプロセスが必要だということを伺いました。
そのような考え方で取り組みとして参考になるのが、ロザンヌ・ハガティ氏が率いるアメリカのコモングラウンド・コミュニティーというNPOがあります。このコモングラウンド・コミュニティーは1990年に設立され、全米最大規模のホームレス、低所得者向け住宅開発、行政、企業とのパートナーシップ等により、その分野ではリーディングNPOの一つとしてホームレス政策の一翼を担っています。団体の支援、補助住宅は、元ホームレスの人々だけではなくて低所得者で住宅問題を抱えている人々の支援対象に含まれており、ニューヨークの住宅不足のために困っている人々すべてが清潔で安心して住める住宅施設と環境をつくることを活動目標としています。このコモングラウンド・コミュニティーの特徴は、ホームレスの人々が自立していくため、また将来のホームレスの増加を食いとめるためには、住宅サービスのほかに就労トレーニング、就職紹介サービス、精神、身体の医療サービスといったその他の周辺サービスがなくてはならないということを運動の基本理念としていることです。
紹介が少し長くなりましたが、コモングラウンド・コミュニティーの事例から学ぶことができることは、自立のために必要なのが就労そのものをさせることだけではなく、安心できるコミュニティーや社会復帰のための就労トレーニング等の教育プログラムの充実であるということです。そこでお尋ねします。
生活保護からの脱却は全市的取り組みとして集中して行う必要があります。所管である健康福祉局だけではなく経済環境局のしごと支援課、さらに教育的側面を重視するならば教育委員会の社会教育課等、ボランティア要素が必要であるならば市民協働局等も参画し、プログラム開発を行うべきであると考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】【答弁】作野健康福祉局長
生活保護受給者の置かれた状況はさまざまであり、ケースワーカーや就労促進相談員の支援により直ちに求職活動ができる人もいれば、日常の生活習慣を整えることから始めなければならない人もおられます。そうしたさまざまな状況の方を支援するために、福祉事務所では就労支援だけでなく社会的な居場所づくり支援事業など多様な自立支援プログラムに基づく事業を実施しておりますが、これらの事業をより効果的に進めるためには、庁内各部局や他の関係団体等とも十分連携をして取り組んでいく必要があります。今後、都市の体質転換に向けまして、生活保護の種々の課題につきまして全市的な取り組みを進めていく中で考えてまいります。

【質問】続きまして、市営住宅の質問について引き続きお伺いいたします。
2012年3月15日付の毎日新聞によると、奈良市の市営住宅家賃の滞納者の中に市職員が12人存在し、市営住宅の家賃や市税など計約537万円を滞納し、最多だった職員はなんと滞納税の徴税担当者で、52カ月分の家賃約248万円を滞納していたとの報道がありました。市民のために働く公務員としてのモラルを問われるような事件で、市民の信頼を裏切るような事象と言えます。
本市ではないことだとは思われますが、念のために確認しておきます。市職員でありながら市営住宅に居住する者は何名いらっしゃいますか。また、その中で家賃を滞納している者は存在していますか。存在しているならば、その人数と滞納金額をお答えください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
現在、公営住宅、改良住宅を含めます市営住宅に入居している職員の人数は、嘱託員を含めまして36名でございます。そのうち滞納者は2名で、滞納金額は54万1,900円でございます。

【質問】関連してもう1点お伺いいたします。
市職員の給与水準であれば家賃基準を超過していると思われますが、退去勧告は行っていらっしゃるのでしょうか、お答えください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
市職員の公営住宅の入居につきましても他の入居者と同様に、公営住宅法及び同施行令等に基づき管理しているところでございます。先ほども御説明をいたしましたが、引き続き3年以上入居し政令で定める基準を超える収入のあるときに該当すれば収入超過者としての対応を行い、また、5年以上入居し2年間引き続き政令で定める基準を超える高額の収入にあるときに該当すれば高額所得者として対応し、住宅の返還を求めているところでございます。

【質問】1問目で滞納率についてお伺いいたしました。30年前に神戸市は政令市ワースト1の収納率が87.95%に低下し、危機的状況から対策に乗り出して、現在では政令市トップの99.3%と非常に高い収納率となっているそうです。改善のために職員が小まめに訪問したり、悪質なものは訴えの提起を行うなど地道な取り組みで改善していったそうです。
本市においても定例議会のたびに市営住宅に関して訴えの提起が数件ずつ提案されており、しっかりと対策に取り組んでいただいていると感じていますが、しかし、昨今の収納率を見てみると、18年度87.2%、19年度86.5%、20年度に85.8%、21年度に83.4%、22年度に82.5%と推移してきています。市営住宅は民間の住宅と違い、同じ住宅であっても所得に応じて家賃が設定されています。その状況の中で、これだけ収納率が低下してしる状況は、制度を支えている納税者の理解を本当に得ることができるのでしょうか。そこでお伺いいたします。
取り組みにもかかわらず収納率の低下がこれ以上進むようであれば、公平性の観点から市民理解が得られないと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。また、対策についてどのようにしていこうとお考えでしょうか、お答えください。

【答弁】【答弁】衣笠都市整備局長
市営住宅に住宅家賃を滞納したものが居住し続けるということにつきましては、当然のことながら市民に不公平感を与えるものと認識しております。
滞納の対策といたしましては、現在滞納がある者に電話で事情を聞くなどして納付を促し、またそれでも納付しない者に対しては文書や面談により納付指導を行っております。これらの指導を行っても滞納家賃を納付する意思のない悪質な滞納者に対しては、滞納家賃の支払い及び住宅明け渡しの訴訟を行っております。
今後も粘り強く納付指導を行ってまいりますとともに、悪質な滞納者に対する訴訟をより多く行っていきたいと考えております。

【質問】財政についてお伺いしてまいります。次期行財政改革についてお伺いいたします。
本市は平成15年度から5年間の経営再建プログラム、その後平成20年度から5年間の行財政構造改革推進プランと、10年にわたり行財政改革を行ってきました。
プログラムの目的は2点あり、1つ目の目標である財政再建団体の転落を回避することはできました。しかし、もう1つの目標であった財政の収支均衡が達成できていないことから、引き続きプランの取り組みを進めてきました。市民に大きな負担がかかる改革改善もありましたが、議会としても危機的状況を脱却するためにやむを得ず同意してきた背景もあります。
その結果、当初の構造改善目標である50億円を超える成果を上げたものの、不況の影響で税収の落ち込みや就労環境の悪化、高齢化の進行なども相まって、生活保護費を初めとする扶助費が増加する一方で、これまでの構造改善の取り組み効果以上の収支不足が生じている状況というふうに言われています。
次期財政計画の策定に当たり、現在策定中の総合計画と行財政改革の連動をするため10年計画とする変更をお聞きしています。恐らく、前期後期の5年ごとの計画となると思われますが、目標はやはり実質的収支均衡の確保を目指すとされています。そこでお伺いいたします。
10年間の行財政改革を経てもいまだに収支乖離が埋まらない状況ですが、市民からも計画どおりに進まないことへの行政不信を通り越してあきらめになりつつあります。本当に10年間の次期計画終了時には収支乖離は埋まるのでしょうか、お聞かせください。

【答弁】【答弁】吹野企画財政局長
次期行財政改革に係る計画の期間といたしましては、平成25年度から平成34年度までの10年間としておりますので、現在34年度までの収支見通しについて作業を進めているところでございます。次期計画の総論案では中期目標において実質的な収支均衡を確保する、すなわち収支乖離が埋まった状態を目指し、そして最終目標では持続可能で弾力性のある行政基盤が確立されている状態を目指すこととしております。この目標年次につきましては、現在作業を進めております収支見通しを踏まえた上で設定していくこととしており、その目標達成に向けて現在改革改善の取り組みや都市の体質転換に向けた効果的な取り組み等をあわせて検討しておりますので、そうした具体的な取り組み方策を含めまして次期計画の各論の中でお示しをしてまいりたいと考えております。

【質問】次に、次期行財政改革の方向性でもある現役世代の転入と定住につてお伺いいたします。
企画財政局にお願いして、本市と類似都市である船橋市、横須賀市、東大阪市、西宮市、姫路市、倉敷市、福山市の課税所得別の納税者数の比較表をつくっていただきました。(「見えない」と呼ぶ者あり)こちらは、すんません、これでも小さいですか。これを見やすいように、もともとは表だったんですけれどもグラフ化したものなんですけれども、それを見ると平成22年の類似7都市、皆さんから見ると一番右端になるんですが、類似7都市の平均の200万円までの納税義務者数が一番下になります。200万円の割合が12万9,989人で全体の66.7%を占めています。真ん中の200万から700万円が5万8,801人で30.1%、1番上、すごく小さくて見にくいと思うんですが、ほとんどないんですけれども700万円以上の課税所得の方が6,059人で3.1%になっています。それに対して本市の状況なんですが、一番、皆さんから見ると左側になるんですけれども、200万円までが13万3,972人で68.6%、200万円から700万円が5万6,827人で29.1%、700万円以上が4,555人で2.3%と、200万円以下の納税者数が他都市よりも多く、また200万以上700万、また700万以上の納税者の方が他都市よりも少なくなっているということをここでは見ていただければと思います。如実に納税者数が少ないということがあらわれているということを示しています。
この次期計画の中で、現役世代の転入定住を促進することにより、安定財源となり得る個人市民税を初め税収の維持、拡大を図るとともに、労働力人口をふやし人口構成をバランスのとれたものにすることにより、安定した行財政基盤を確立すると計画では述べられています。そこでお伺いいたします。
先ほどのデータをあわせて考えると、ただ単に年齢的な現役世代の転入、定住というよりも、個人市民税を多く負担できるような納税者を転入、定住を図り税収向上を図らなければ、増加する扶助費などを支えることができないと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】【答弁】吹野企画財政局長
本市の個人市民税の課税状況を見ますと、課税総所得において200万円を下回る納税義務者の割合が類似都市と比較しても高くなっておりますので、経済雇用情勢の悪化などの影響を受け生活困窮に陥りやすいといった支援を要する方が多く住まわれているという都市の体質になっているものと考えられます。将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立していくためには、良質な住宅の形成などといった現役世代の定住、転入促進へ向けた取り組みに加えまして、健康で自立した生活が送れるよう、予防的な観点からの健康増進の取り組みなどを積極的に展開することが重要であると認識をいたしております。
こうした取り組みにより住民福祉の支え手側をふやすとともに、支援を必要とする状態に陥らないようにすることによりまして、安定財源となり得る個人市民税の割合を高め、社会経済情勢の変動による影響を受けにくい都市へと体質転換を図っていく必要があるものと考えております。

【質問】次に、項目予算編成策定プロセスについてお伺いいたします。
1年間の行政運営のために欠かすことができないのが予算です。また、我々議会のチェック機能としての役割の最たるものが予算の審議であります。
現行の制度では地方自治法第149条2項の規定により、自治体の首長が予算編成の権限を持っており、現状では自治体予算編成過程の詳細はそれぞれの自治体によって異なっています。
近年、予算編成を前に住民ニーズを把握し反映させるためにアンケートを実施したり、パブリックコメントで市民の声を聞く取り組みがなされてきています。しかし、最終的にその結果が実際に予算編成過程で反映されるかどうかは、各所管の職員と財政担当者の裁量にかかっています。
自治体予算編成過程の透明化は健全な財政運営面から見ても重要ではないでしょうか。財政運営の観点から見れば、ニーズにこたえるための事業が予算に計上されるだけでは不十分で、限られた財源を有効に使うためには、自治体の財政状況を把握しサービスがコストに見合ったものになっているかどうかを判断しなければなりません。議会としてもわずか1カ月程度の短期間で予算をチェックしなければならず、さらに案として固まったものに対して議論を行っても調整がつかないということになり、大幅な修正はできないというのが現実ではないでしょうか。本来、議会としての予算審議は予算に計上されている事業の効率性及び効果、そして歳出のみならず歳入を含めた財政運営全体の健全性を判断するための情報があって初めて予算全体の是非を総合的に判断することができるはずです。
現在の本市の予算編成は毎年6から7月ごろに調整方針が各課に出され、次年度予算に必要な事業が調整されます。また、10月ごろには予算編成方針が出され一層具体的に調整がなされます。その後、2月に予算案が提示され3月議会の審議を経て決議されるような流れとなっています。
まず、ここで1つ提案させていただきたいのが、調整方針や予算編成方針は現在のところ議会に対して公式的には報告されていません。そこでお伺いいたします。
現在の調整方針や予算編成方針は正式に議会に対して説明がなされていない状況ですが、議会運営委員会や会派代表者会で正式に説明することについて御見解をお聞かせください。また、白井市長の在職中に行われた各会派ごとの市長懇談も最近は実施されていません。現状では本会議や委員会を通じてしか市民の声を届けることができません。しっかりと議会としても予算編成に対して意見を伝えることが必要であると考えます。

【答弁】【答弁】吹野企画財政局長
調整方針につきましては、今年度からその名称を政策推進方針と改めたところでございますが、これまでから政策推進会議の場で協議をいたしまして、その後公表してきたものでございます。
その内容といたしましては、基本的には行政として翌年度の政策をまとめていく工程の一つとして、その方針と事務手続などにつきまして市長から各局長に発信する文書でございます。そうした内容でございますので、まとまり次第速やかに正副議長及び各会派に対して個々に説明をしてお知らせをしておりまして、今後もそのような対応をしてまいりたいというふうに考えております。

【質問】一方で、もし水面下のやりとりで政策実現につながるようであれば、市民からは密室で税金の使い道を決めているとも受け取られかねません。そこで、大阪府や鳥取県では予算策定の途中経過について小まめにインターネット上で掲載し、見える化を図っています。
そこでお伺いいたします。
市民も予算策定が見えるように大阪府や鳥取県のような取り組みを行うことについて、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】【答弁】吹野企画財政局長
予算の編成に当たり、これまで新規・拡充事業や改革改善といった主要な取り組みにつきましては、庁内の調整を終えた後に素案として11月に公表いたしまして、パブリックコメントを実施した後、2月に市の案として議会に対しまして予算とともに提案をしてきたところでございます。
このような中、来年度の予算編成に当たりましては、こうした従来の取り組みに加えまして、市民意見聴取プロセス制度に沿って予算編成に係ります現状や課題等の基本情報、スケジュール、来年度の政策推進に係る方針を公表いたしまして、現在市民の皆様の御意見を募集しているところでございます。また、新規・拡充事業につきましては予算編成過程を明らかにできるように、その仕様について現在具体的な検討を行っているところでございます。

【意見】先ほど市職員の市営住宅の滞納についてなんですけれども、本市は奈良市と違いましてありませんという答弁を期待していたんですけれども、本市は市民の信頼を失うようなことはないと市民に伝えてほしかったんですけれども、世の中で公務員に対する風当たりが強くなっているこういうときだからこそ襟を正し職務に当たらなければ、厚遇と言われていることに対して申し開きが立たないのではないでしょうか。
きょうはこれ以上追及しませんが、詳細については今後きちんと議会に対して報告をしていただけるようにお願いいたします。職員の皆さん一人一人の行動を市民は見ています。いま一度、公務員としての自覚を持ってください。
質問を終えるに当たり、少し感じていることを述べたいと思います。
現在、人と人との人間関係が希薄化していることが社会問題となっています。地域のコミュニケーションも低下し、信頼が希薄化しているとも言われます。個々人の思考が多様化し、難しい世の中になっていることも事実です。
稲村市長は阪神大震災のときにボランティアとして活躍され、行政が机上で考えるよりも市民の日々の暮らしの中で感じている社会課題や地域課題が最も重要であり、それこそが人の命、生活を支えていることを御存じのはずです。市役所の職員が行政の感覚で組み上げた予算ではなく、現場である地域の声を酌み取り反映することの大切さを御存じである稲村市長だからこそ、限られた財源を市民の代表である議会や市民お一人一人と話し合いキャッチボールしながら、一緒に生きた予算とするために予算編成プロセスをぜひとも見直していただけると信じています。

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