2007年6月 第10回定例会 一般質問
【質問項目】
1.過去の質問の取り組み状況について
2.子どもの安心・安全について
3.地域ポータルサイトについて
1.過去の質問の取り組み状況について
【質問】議員として2年が経過しようとし、任期の折り返しを迎えるに当たり、これまで行った質問の進捗を伺いながら、新しい事項についても伺ってまいりたいと思います。
まず、学校評価制度についてお伺いしてまいります。
2006年9月議会で伺った学校評価制度についてですが、学校評価制度は、教育の質の保障、向上、学校運営の改善、信頼される開かれた学校づくりを目指して、義務教育諸学校における学校評価ガイドラインというものを国で昨年策定し、公表されたという経過があります。昨年、取り組み状況についてお伺いしたときには、平成16年度に外部評価を実施している学校は全体の50%、そして、その結果を公表しているのは全体の25%だということでした。2年以内に外部評価について完全実施をすると、教育長が力強くおっしゃっていただきました。昨年までの状況と現在の状況はどのように変化したのか、お聞かせください。
【答弁】保田教育長
本市の学校・園における外部評価の取り組み状況について、平成17年度から18年度にかけての変化を見ますと、保護者等を対象にしたアンケートの実施が、去年までは67%でしたが、18年度86%になっております。また、学校評議員等による外部評価の実施が40%であったものが、67%に上昇しております。そのうち、外部評価を外部に公表した学校は47%であったものが、62%になっております。教育委員会といたしましては、各学校において児童生徒や保護者の評価を積極的に生かして、学校評議員の活用を充実させるなど、すべての学校・園で外部評価を実施いたしまして、学校運営の改善を着実に進めていくよう、今後とも指導してまいります。
【質問】進捗状況についての御意見、御感想をお聞かせください。
【答弁】保田教育長
学校評価の項目につきましては、例として、国のガイドラインや県のハンドブックにどの学校にも当てはまるものが示されておりまして、それを参考に各学校で作成されているため、学校によって若干の違いは生じますけれども、特に本市におきましては、基礎学力の向上という重点取り組みがございますので、この目標に関する評価に重点を置いております。
【質問】昨年の質問の答弁で、文部科学省の策定している学校評価ガイドラインや県の学校評価ハンドブックを参考にしながら、各学校の実態に応じて設定をしていくと述べられていました。本市独自の内容について例示するとともに、作成の進捗状況についてお聞かせください。
【答弁】保田教育長
学校評価制度構築の進捗状況としましては、先ほども申し上げましたが、アンケートや外部評価の実施率が上がるとともに、学識経験者を含めた外部評価委員会といったものを設置した学校もございます。
【質問】電子自治体の進展について、順次お伺いしてまいります。
2005年9月議会や翌年度の9月議会で、ホームページについて質問させていただきました。ホームページは、昨年、本年4月と段階的にリニューアルされ、コンテンツマネジメントシステムが導入され、各ページともレイアウトが統一されました。視覚的に見やすくはなりましたが、項目の階層が深くなり、情報を探しにくいように感じました。その探しにくい要因として、情報の相関関係が互いに結びついていないからであると考えられます。その解消のため、レコメンデーション機能を取り入れることを提案させていただきます。
インターネット上で書籍を販売しているamazon.comという企業があります。この企業の最大の特徴は、強力なレコメンデーション機能にあります。そもそもレコメンデーション機能とは、利用者の好みを分析し、利用者ごとに興味のありそうな情報を選択して表示するサービスのことで、amazonでは、利用者一人一人の趣味や読書傾向を割り出し、それに合致すると思われる商品を、メール、ホームページ上などで重点的に顧客一人一人に推奨する機能として活用されています。例えば、トップページにお勧め商品として、利用者が過去に購入したり閲覧した商品と似た属性を持つ商品のリストが自動的に提示され、一度購入した書籍の続編が発行されれば案内したり、似たような傾向の作品を推薦したりします。
本市のホームページで、このレコメンデーション機能の活用イメージを具体的に申し上げると、例えば、ある人がごみの分類をどうすればよいかという情報をホームページ上で探しているとします。本市のホームページでは、環境市民局のごみの分類情報へたどり着いて情報を得たときに、協働参画課の環境啓発の講座やイベントがあることを表示するというぐあいです。このように、互いに関連する情報を密接に結びつけることで、新たな取り組みが行えるつながりが持てると思います。
現在、同じ部局内であれば関連情報を得ることは可能ですが、情報を取り扱う局が別になれば、情報同士の結びつきがなく、インターネットの個々同士のつながりという特性が生かされていません。
そこで、順次お伺いいたします。
そもそもホームページを構築し、活用していくためには、閲覧者がどのような情報を見ているのかということを分析する必要があります。つまり、ページごとのアクセス分析を行う必要があります。情報政策課では、アクセスログ、つまりコンピューターの利用状況やデータ通信の記録をとって、データの把握、分析は行っているのか、お聞かせください。そして、その活用はどの程度行われているのでしょうか。お聞かせください。
【答弁】【答弁】小寺企画財政局長
ホームページの利用状況の記録等につきましては、従前は所属単位の構成となっていましたことから、所属ごとのアクセス状況を把握しておりました。今年度からは、結婚、出産、転入転出など、利用する目的別のページ構成としたことから、このような目的別のアクセス状況が把握できるようになっており、そのデータは全庁に対し提供しております。今後につきましては、把握したデータの分析、活用の方策を研究してまいりたいと考えております。
【質問】レコメンデーション機能について、本市の考え方と導入の可能性についてお聞かせください。
【答弁】小寺企画財政局長
レコメンデーション機能とは、単なる情報提供だけではなく、関連する情報も付加して提供する機能でございますが、利用者にとって非常に有効な機能とも考えることから、本市ホームページにおきましても、既に同様の機能を備えておりますことから、可能なページから順次導入を進めているところでございます。今後は、この機能を有効に活用していくため、研修等を通じまして職員の意識向上を図り、より内容の充実したホームページを目指してまいります。
【質問】昨今、近隣自治体におきまして、地域ポータルサイトが次々に構築されてきています。地域ポータルサイトとは、地域、自治体の観光情報やイベント情報、お店の情報などを総合的に取り扱うサイトのことで、それぞれの地域の情報を一元化し、探すことができるインターネットサービスです。地域ポータルサイトのメリットとして、地域での情報共有、旅行者へのPRが挙げられ、両者とも地域活性化には欠かせない要素であります。お隣、西宮市では、4月20日に、西宮の産業や観光、生活情報などを幅広く扱う地域ポータルサイト、西宮流(にしのみやスタイル)がオープンしました。このサイトでは、西宮市の魅力をさまざまな面から伝える特集ページ、お店や観光スポットイベント情報などを検索できるほか、西宮の逸品を扱うショッピングモールなどが設置されています。また、市や商工会議所が主催するイベント関連情報、事業の案内なども掲載されており、公共的な情報から事業所を西宮に置く民間企業まで、幅広い情報が得られるウエブサイトとなっています。また、登録すれば、個人でもブログをつくり、情報発信もできるなど、みんなでつくるポータルサイトというのが特色となっているようです。また、伊丹市も地域ポータルサイトを設置する方針を示し、公募期間が終了し、市民と市職員がメンバーとなる選定委員会で、今月に事業者を決定、10月から施行する予定となっております。両市とも、サイトは商業上の情報も載せるため、市自体は運営主体にならず、NPOや株式会社など民間の事業者を公募し、サイトの構築を行い、事業者が独立して経営することを想定しているようです。
このような中で、地域ポータルサイトは、市民が自分たちの住む場所の情報を得やすく、利便性を向上させるために非常に有効であると考えます。地域のことを知るということは、その地域に愛着を持つことにつながり、人口減少に一定の効果があるのではないでしょうか。
また、本市の市民以外の方に尼崎を積極的に広報するという側面も重要であると考えます。これは、本市に訪れる方々のガイドブックのような観光的な視点です。本市は歴史的に古く、多くの文化資産や歴史を感じられる場所も多くあります。そのような中で、市外の方々が本市を訪問する際に情報を得られるようにすれば、本市についてより理解していただけるとともに、よいまちであるということを感じていただけると思います。
私は、2006年、昨年9月の議会で、本市のホームページは、尼崎市におけるポータルサイト化すべきであると提案をさせていただきました。その御答弁で、ポータルサイト形式の情報提供も視野に入れながら検討を進めるとの御答弁でした。その後の状況はどのようになっているか、お聞かせください。過去の質問で、本市のページをポータル化するという理由は2つあると申し上げました。1つは、どのような情報が必要とされているかといった分析ができること。これは、先ほど申し上げたアクセス分析ができるということです。もう1つは、予算的な制約から自治体みずからが多くのコンテンツを用意するということが困難であるので、外部の力を利用することで、コンテンツ、魅力の増強につながるということを申し上げました。ポータル化することで、本市に関する情報は、市のホームページからリンクすることにより、尼崎に関する情報が得やすくなるという側面以外に、以前御提案させていただきましたホームページへの広告を採用した場合、より広告効果が高くなるという副次的効果も出てきます。なぜならば、ホームページによる広告効果は、アクセス数に比例すると言われています。つまり、アクセス数がふえれば、それだけ多くの人の目にとまるチャンスがふえ、広告効果が高いということです。ここがポイントなのですが、アクセス数がふえ、広告効果が高いということは、価格を高く設定できる、また、多くの広告掲載が期待できるということになります。他都市では、地域ポータルサイトは商業上の情報も載せるため、市自体は運営主体にならず、NPOや株式会社などの民間事業者に委託しています。確かに公平性や公共性といった点、セキュリティー対策など、多くの課題はあると思います。さまざまな課題にかんがみ、どのような情報が必要とされているかというニーズ分析の重要性、また、本市ホームページの価値向上を考えると、地域ポータルサイトを外部につくるのではなく、内部につくる方がよいと考えます。すべてを内部に設置しないまでも、より密接設置することで、存在価値が向上すると考えられます。そこでお伺いいたします。より多くの魅力的なコンテンツの増強を図るためにも、本市のホームページと地域ポータルサイト的な要素を一体的に運営することはできないでしょうか。御見解をお伺いいたします。
【答弁】小寺企画財政局長
本市のホームページにつきましては、行政情報の発信のみならず、観光情報やイベント情報、商業情報などの地域情報を総合的に発信するポータルサイト形式による情報提供を視野に入れて、引き続き検討を行っているところでございます。しかしながら、地域情報の発信に当たりましては、店舗の紹介などの商業情報を含むため、公平性、公共性の観点から、行政の責任範囲をより明確にする必要がございまして、近隣他都市におきましても、行政のホームページとは区別した地域ポータルサイトを設けているところでございます。本市における地域情報の発信のあり方や運営につきましては、他都市の動向も踏まえまして、今後調査研究を行ってまいります。
【質問】昨年の9月議会で、携帯電話向けのホームページについて質問させていただきました。まず、現在のコンテンツの充実状況はどのように変化したか、お聞かせください。
次に、携帯電話各社の公式メニューへの登録については、進めていくとの御答弁をいただいておりましたが、現在どのように進捗しておりますでしょうか。お聞かせください。
【答弁】【答弁】小寺企画財政局長
携帯電話向けホームページにつきましては、現在、緊急災害情報や市バスの時刻表など、市民にとって生活に必要な情報提供を行っております。今年度は、公式ホームページと同様に、携帯電話向けホームページにつきましても最新情報を迅速に提供できる仕組みづくりを進めているところでございます。携帯電話各社への公式メニュー登録につきましては、今年度中に順次登録を進めていく予定でございますが、まずは大手1社への登録を8月下旬に完了する見込となっております。なお、登録に当たりましては、より親しみやすいページとするため、他都市では余り例はございませんが、愛称などを設定するとともに、市報あまがさきにも掲載し、利用を促進してまいります。
【質問】昨年12月議会で、広報戦略について質問をさせていただきました。身近な情報をわかりやすく提供するために、市報あまがさきの内容の充実を図るとともに、発行方法の見直しを行っている、また、ホームページのリニューアルを進めていると答弁をいただきました。それぞれがそれぞれ見直しするということも大切ですが、私の質問の趣旨は、根本的な市民への情報伝達の方法である市報とホームページの一体的な活用を進めるべきだという考えからの質問でした。それに組織編成で対応できないかという可能性を伺ったのですが、確かに組織編成を急に変えることは難しいと思われますので、もっと具体的、速攻的に行えるものを御提案させていただきたいと思います。
市民がよく目を通す記事として、地域のイベント情報などが掲載されている、お知らせいろいろのページがあると思います。昨年10月より市報リニューアルに伴い、月3回発行から1回発行へと変更になったことで、締め切り日は発行の25日前となりました。つまり、6月末のイベント情報の掲載を依頼しようとすれば、5月上旬に原稿を提出しなければなりません。約2カ月近く前に詳細が決まっているイベントが果たしてどのぐらいあるのかという実情を考えると、情報の鮮度が落ちてしまうということは避けられません。そこで提案です。ホームページに独自の歳時記などをまとめたイベントカレンダーのようなページをつくり、そこに市民活動や地域のイベント情報が掲載できるようなシステムはできないでしょうか。お聞かせください。
【答弁】小寺企画財政局長
イベントカレンダーにつきましては、最新情報を市民にわかりやすく提供するための有効な手段と考えており、今年度の導入に向けて検討を行っております。
【質問】子供の安全安心についてお伺いしてまいります。
現在、本市では、子供の安全にかかわる緊急情報や子育てに役立つ情報を携帯電話にメール配信したり、携帯電話用ホームページから取得することを目的とした、こども安全・安心・便利情報提供事業が行われています。確かに手軽に子育て情報を得ることができたり、警察からの不審者情報や事件・事故情報など、緊急の情報が得られたりすることで、活用され、一定の効果が上がっていると考えます。まず、こども安全・安心・便利情報提供事業についての現在の状況をお聞かせください。
【答弁】山本健康福祉局長
こども安全・安心・便利情報提供事業は、平成17年8月から事業を開始しております。平成19年5月1日現在、同事業の登録者数は3,147人でございまして、登録者数は増加傾向にあります。また、平成18年度中の情報発信件数は、安全安心情報が232件、便利情報が57件でございまして、これらの情報に対するアクセス件数は、約48万件でございます。
【質問】確かに情報発信をして、それを受信した方々が、それをどのように活用するかをそれぞれの方に任せるという考え方もありますが、私は、情報を発信だけすればよいとは思いません。なぜならば、昨今の本市で起こる事件、事故の発生の状況をかんがみると、市民の協力なくしては地域の安全安心は守れないと考えるからです。
そこで、こども安全・安心・便利情報提供事業を発展させ、情報を得た市民に行動や協力を求めるようなことはできないのでしょうか。例えば、子供に関する緊急情報のメールが来たときに、その近くの地域ならば家の外に出てもらうだけでも、防犯効果が高まるのではないでしょうか。断っておきますが、不審者の確保が目的なのではなく、地域が連帯して見ているぞということを不審者に気づかせて抑止するということが目的なので、当然、不審者を発見した場合は警察に通報するなどの対応をしていただくことになると思います。
そこで、こども安全・安心・便利情報提供事業の今後の展開についてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
【答弁】山本健康福祉局長
この事業は、地域の子供たちを犯罪などから守り、子供の安全安心の確保を図るため、警察からの不審者情報や事件・事故情報を発信し、保護者などに注意喚起することや、子育て関連情報も随時提供することを目的に実施しております。今後につきましては、情報の発信を迅速に行うとともに、地域における防犯の取り組みの一助となるよう、多くの方に登録していただくため、より周知を図ってまいりたいと考えております。
【質問】安全安心に関しては生活安全課の所管ですが、子供のことですので、生活安全課だけではなく、教育委員会、学校、PTAなどとの連携が大切であると考えます。県も地域安全まちづくり事業、地域における防犯活動支援事業など、地域による安全安心についての取り組みを行っています。これらの事業や生活安全課の取り組みの実施主体は、社協などの自治会組織が中心です。
そこでお伺いいたします。学校、PTAと自治会の防犯グループとの連携がどの程度進んでいるのかをお聞かせください。現在、市内の小中学校のPTAなどで防犯活動に積極的なグループも出てきていると伺っていますが、課題も多いと聞いています。地域、PTAと取り組むべき防犯活動について、教育委員会は各学校に対してどのような指導をしているのか、お聞かせください。
【答弁】保田教育長
登下校時の安全対策や不審者対策等につきましては、教育委員会が定める学校教育に関する重点取組項目でございます。具体的には、通学路の安全点検や登下校時の見守り体制の取り組み等でございまして、学校、保護者地域の方々、警察等関係機関などの地域全体の協力と連携によって進めているところでございます。しかしながら、防犯活動は地域によって濃淡があることから、スクールガードリーダーの--市内に今4名配置していただいておりますけれども--支援、指導を受け、スムーズに活動が行われるよう指導してまいりたいと考えております。
【質問】バーチャル世界での社会問題についてとして、社会が移り変わるとともに、子供たちを取り巻く環境も変遷してきています。学校は、集団生活を通じて学力や人と人とのつながりを学ぶ中で大切な施設です。しかし、言葉の行き違いやちょっとしたからかいがエスカレートし、いじめに発展することも往々にしてあります。文部科学省が発行している「データから見る日本の教育2006」を見ると、いじめの発生件数は、平成7年度の6万96件をピークに減少し、平成13年に2万5,037件と、3万件を下回り、平成16年度は2万1,671件と推移しています。データから見ると減少していることが読み取れるので、いじめが減っているように見えますが、実際のところ、いじめが減っているというよりも、把握できないから件数が減っているように見えている、つまり、いじめが表面的に見えるものから、見えない、陰で行われるものになってきているのではないかと危惧します。5月11日の毎日放送のVOICEという番組のコーナーで、「学校裏サイト」、「プロフ」…子供たちの闇社会というテーマで、親の知らない間に子供たちに広がるネットいじめの実態について特集されていました。最近の子供の携帯電話の保有率は、小学生で4人に1人、中学生は半数、高校生になると、ほとんど全員が持っており、携帯電話を利用する学校裏サイトやプロフなど、聞きなれないサイトを利用したいじめが問題になっているという問題提起が行われ、次に、学校裏サイトと呼ばれる、中学、高校に在籍する生徒や卒業生による学校の公式ホームページとは別に、交流や情報交換を目的に立ち上げたサイトの紹介をしていました。そして、その学校裏サイトのホームページには、実名を挙げた生徒同士の誹謗中傷がふえていると伝えられています。また、5月31日付の読売新聞の朝刊に、個人情報を暴露して攻撃という記事が掲載されていました。記事の内容は、先ほどのテレビ番組と同じ、学校裏サイト、裏掲示板と呼ばれるホームページに他人の悪口や中傷、いじめにつながる表現があり、個人情報について喚起する内容でした。その記事の警察庁のまとめによると、昨年、全国の警察に寄せられたネット上の誹謗や中傷の相談件数は、前年より39%ふえ、8,037件になり、過去最高を記録したとあります。ことしの4月に、大阪の中学校の掲示板で女子生徒が名指しされ、誹謗中傷などが書き込まれていたのを放置したとして、管理人の男性が書類送検されるなど、社会問題化しているとの報道もあります。
このように、子供を取り巻く環境は大きく変化しています。インターネットや携帯電話など手軽に情報が得られるツールが子供たちにも浸透してきています。すべてのインターネットサイトや掲示板に問題があるわけではなく、情報交換のためのサイトの中で突如エスカレートし、いじめや教師の悪口、さらには公序良俗に反する画像のやりとりに発展したりするのです。子供たちのネット情報に詳しい群馬大学社会情報学部大学院研究科の下田博次教授によると、学校裏サイトは、現在少なくとも1万5,000件程度存在し、大人が発信する有害情報の被害者になる子供たちが有害情報の発信者にもなっていると述べています。裏サイトに使われるのは無料のレンタル掲示板で、画面に出会い系サイトや子供用の下着販売の広告が載るのも珍しくはないと指摘し、ネットを見る子供を持つすべての親は、まさかうちの子に限ってという甘い考えを捨てるべきだと警告されています。小学生のネット利用を対象にした実態調査で、保護者の目の届かないところでネット利用をしているとの答えが8割に上ったとありました。中でも携帯電話からのアクセスが多く、子供の利用実態を反映しているという統計もあります。
そんな中で、携帯電話やインターネットをめぐる事件が多発していることから、阪神南県民局では、子供を守る情報安全教育の推進事業として、子供を携帯やインターネットの陰の部分から守るため、保護者がその現状と対処方法、正しい使い方を地域で学べるように、子どもを守るケータイインストラクター養成講座を行ったり、自主的な学習会を行っています。そこでお伺いいたします。インターネットや携帯電話など新しい情報ツールが浸透する中、本市はこのような問題にどのように対応していくのでしょうか。
【答弁】保田教育長
学校では、情報教育や技術家庭科などを通して情報収集や情報モラルについて指導に努めているとともに、校内のコンピューターには適切な防止対策によって子供が有害情報に触れない手だてが施されております。しかし、家庭において、子供たちは保護者の目の届かないところで有害情報に触れることも多く、インターネットをめぐる問題に巻き込まれる可能性が高いと考えられます。それゆえ、保護者は、携帯電話購入時に子供と使い方の決まりや約束事などについて話し合ったり、子供の利用状況に応じて利用制限をしたりするなどの安全対策を講じる必要性があると考えております。教育委員会としましては、情報社会の危険性について、機会あるごとに保護者や各種健全育成団体に対して啓発を図るとともに、教員で構成される生徒指導研究協議会においても、インターネットをめぐる問題について検討し、子供たちに具体的な対応策を指導できるよう努めてまいりたいと考えております。
【質問】子供たちを外の世界へとつなげる学校の対策は万全なのか、それを指導できる先生はどれくらいいるのだろうかと思いましたので、少し調べてみました。兵庫県のホームページに、教員のコンピューター活用などの実態という資料がありました。これは、コンピューターを操作できる教師の割合と、コンピューターを使用して指導できる教師の割合がまとめられているもので、ここから近隣7市1町のデータを読み取りました。ほとんどの自治体で9割近い教師がコンピューターを操作できるという結果になりました。しかし、実際にコンピューターを使用して指導できるという割合が、近隣の平均が7割程度の教師であるのに対し、本市の教師については6割程度になりました。また、中学校だけに限ってデータを見ると、本市は46.5%と、非常に低いものとなっています。以上のデータから、学校現場にコンピューターに精通した人材が不足しているということが浮かび上がってきます。このようなデータを踏まえ、教職員のコンピューターに対する意識をさらに啓発していく必要性があると考えますが、お考えをお聞かせください。また、このような状況にどのように取り組んでいくのか、具体的対策をお聞かせください。
【答弁】保田教育長
本市の教員のコンピューターを授業に活用する意識は、他市と比べますと、まだ少し低いというふうに感じております。そこで、教員に、ICT(情報通信技術)を利用した学習の有効性や便利さを認識させ、ICT活用の意欲を高めるため、コンピューターの操作技術にとどまらず、学習場面を想定した模擬授業形式の研修を実施しまして、教員のICTを活用した指導力の向上に努めております。そのため、コンピューターを利用して指導できる教員の割合は、年々増加してきております。また、特別研修として学校を訪問して、各校のニーズに合わせた内容の研修を実施しております。昨年度は、すべての中学校でコンピューター特別研修を実施いたしまして、本年度は小学校43校及び尼崎養護学校での実施を予定しております。
【質問】学校側の負担を軽くし、効率を上げていくためにも、各学校が同じレベルで同じ内容の運営がなされるべきであります。そんな状況に対応するためには、各学校から相談を受ける立場にある教育委員会の中に、システムやセキュリティーを担当する専任者がいることが望ましいと考えますが、御見解をお聞かせください。
【答弁】保田教育長
現在、学校のICT活用に係る内容については、情報教育担当指導主事を中心に学校を支援し、教育の情報化を推進しているところでございますが、機器及びソフトウエアなどのトラブルについての保守は、業者に委託をしております。
【質問】学校現場でコンピューターを活用した授業なども行われていますが、情報モラルについての指導はどのように行われているのでしょうか。また、教育委員会は、各学校での統一した指導指針、要綱などを作成しているのでしょうか。学校では、防犯、安全対策についても、先生、親も真剣に受けとめ、呼びかけを行っています。各学校とも不審者対策を強化し、今まであけっ放しになっていた裏門、校門はしっかりと閉められ、外部からの訪問者は、校門前にあるインターホンを使用しなければなりません。子供たちへは、知らない人にはついていかないとか、不審者を見つけたら親や先生に知らせるなどと、リアルな実社会での安全安心とあわせて、バーチャルの世界、インターネットやメールなどについてもきちんと対応していかなければ、子供たちにとって真に安全安心なまちづくりが行えないと考えます。まだ先生や親もバーチャルの世界の危険性を感じ切れていないのではないかと思い、この質問をさせていただきました。
【答弁】保田教育長
教育委員会におきましては、学校情報通信ネットワークシステム利用規程やインターネット利用に関するガイドラインを作成しまして、インターネットを利用した学習及び教育活動を行うための基本的な事項を示しております。また、小学校におきましては、尼崎市小学校情報教育研究会が作成しました情報モラルガイドブックというものを使用して、情報モラルの指導を行っております。中学校、高等学校におきましては、技術・家庭、情報の教科の中で、また道徳等で情報モラルについて指導するとともに、いろいろな教科を関連させながら指導いたしております。