2007年9月 第12回定例会 一般質問
【質問項目】
■生活保護からの自立について
■複数志願制について
■民間への事業移管について


■生活保護からの自立について
【質問】本市の財政状況は、5年にわたる経営再建プログラムに基づき、当初見込まれた約800億円の収支不足額は、平成18年度までの取り組みにより約700億円が改善されることとなっておりますが、依然として厳しい財政状況であることには変わりありません。歳入面については、市税収入が景気の回復などにより伸びが予想されるものの、その反面、地方交付税は32億円という多大な減少が見込まれています。歳出面では、義務的経費である人件費は減少しているものの、扶助費は依然として増加しており、引き続き財政構造の改善に努める必要があります。9月4日付の朝日新聞朝刊に、堺市が生活保護世帯の実態調査を行ったところ、生活保護を受けている母子家庭の世帯主のうち25%強の割合で、その世帯主が子供のころに育った家庭でも生活保護を受けていたという結果が出ました。また、母親が10代で出産した世帯においては、28世帯、26.4%に上っています。さらに、世帯主の学歴別を見ると、中学卒か高校中退が390世帯中283世帯、72.6%を占めており、学歴と経済状況について、大きく影響しているということをうかがわせたと新聞記事にありました。
堺市の生活保護世帯は約1万3,000世帯余り、全世帯の3.9%に当たります。対する本市の生活保護世帯は9,145世帯あり、これは全世帯の4.5%に当たります。堺市よりも生活保護の比率が高い状況にある本市の生活保護率を低下させることは、本市財政の改善には必須であります。一時的な生活困窮からの保護にあわせ、自立への取り組みがより重要であるということがわかります。
昨年6月の第5回定例会で、私は、生活保護について質問をさせていただきました。生活保護法の意図する最低生活の保障と自立を促すための取り組みについて質問をしたところ、平成14年度から就労促進相談員を配置し、平成15年度には窓口に専門の面接相談員を配置、平成17年度から退院促進相談員などを配置するなどの人的配置を行っていると答弁がありました。その後、過去の議事録を調べてみると、生活保護の質問については、人的配置を行い、取り組んでいますという答弁に終始しています。そこでお伺いいたします。就労促進相談員、面接相談員、退院促進相談員などの人的配置を行っていることは理解できました。それでは、それぞれの相談員の具体的な仕事はどのようなものとなっているのでしょうか。また、それぞれの仕事のフローについてどのようになっているのか、お聞かせください

【答弁】山本健康福祉局長
就労促進相談員につきましては、稼働年齢層で現に稼働能力を有しながら、その能力を十分活用できていない被保護者、または保護は受けていないが失職している生活困窮者に対し就労支援するもので、具体的な内容といたしましては、就職相談、求人情報の収集及び提供、公共職業安定所等との連絡調整及び同行訪問、また、面接指導及び履歴書等の記入指導などがございます。就労促進相談員は、対象者個々の事情や就労経験、希望等を聴取し、個々に応じたきめ細かな支援を行っております。
面接相談員につきましては、生活相談に来られた方に対しまして、専門的、総合的な視点を持って問題点を整理し、生活保護の趣旨や各種施策の説明など、必要な助言、指導を行っております。また、来所が困難な方に対しましては、相談員が直接自宅等へ出向き、対応しております。お受けした相談につきましては、すべて面接票に記録の上、決裁処理し、保護申請受理分につきましては、各地区担当ケースワーカーに口頭でも引き継ぎをしております。
退院促進支援員につきましては、ケースワーカー等が選定した帰る場所のない6カ月を超える長期入院患者が入院している医療機関を訪問いたしまして、本人及び主治医等からの聴取により病状把握、退院阻害要因を確認し、退院可能と判断されれば、受け入れ先の確保及び退院後の生活に必要なサービスのコーディネートを行うなどの支援を行っております。

【質問】中でも、就労促進相談、退院相談というのは、それを受け、現状を把握し、課題を解決するために行われていると考えられます。では、それぞれの相談員によってどれぐらいの人が自立してきたのか、成果、結果をお聞かせください。

【答弁】山本健康福祉局長
平成18年度実績で申し上げますと、就労促進相談事業につきましては、支援実人員374人に対しまして、就労開始した者は延べ191人、うち自立に至った者は19人となっております。退院促進事業では、長期入院患者数は340人で、うち退院の可能性がある110人に対しまして順次支援を行う中で、居宅生活へ移行した者12人、介護等施設へ入所した者31人、親族の引き取り等4人、計47人の実績となっております。

【質問】次に、事務事業評価の評価指標を、年間延べ保護世帯数ではなく、社会復帰できた人の割合を指標にすべきではないかという質問について、保護業務は法定事務であり、法律で実施することが義務づけられているので、業務が最少の経費で実施されているのかどうかといった効率性の視点から評価すると答弁されました。確かに保護業務は法定事務であり、その経費の4分の3は国庫支出金として国から支出されます。また、残りの4分の1についても、地方交付税の算定により一定程度国から交付されるため、実質的に保護対象者に給付される費用の市独自負担は少ないと思われます。しかし、生活保護事業にも一般財源が投入され、過去3年間の推移を見ると、平成16年度は45億9,512万円、17年度が53億603万円、18年度は55億1,237万円と、残念ながら増加傾向となっています。対象者が増加すれば、おのずと事業に係る事務量が増大し、事業コストの増加も避けることができません。そこでお伺いいたします。保護業務の事務の効率性から見ると、1件当たりの事務コストは低下しており、効率性が高くなっているといえるかもしれません。しかし、本市全体の財政からこの事業を見たときの効率性についてはどのようにお考えでしょうか。お答えください。

【答弁】山本健康福祉局長
事務事業評価における生活保護事業につきましては、事業に要したフルコストを生活保護年間延べ世帯数あるいは人員で割った数を単位コストとしております。世帯1軒当たりの単位コストが低下している要因の一つといたしましては、生活保護費の増加に比べまして職員数が横ばいであったため、人件費の変動が少なく、フルコストの伸びが抑えられたことによるものと考えております。一方、生活保護費自体は被保護世帯の伸びに伴い増加しているため、市全体の財政に影響を与えていることは事実であります。現在の事務事業評価では、最低生活保障を行う上でのコスト評価を中心としているため、自立助長の効果まで表現できていないところでございます。

【質問】法定事務であるから事務効率のみに終始するのではなく、生活保護法が目指している被保護者の自立をいかに促進させるかということに注力すべきであると考えます。そのような中で、厚生労働省から、平成17年度における自立支援プログラムの基本方針についてという指針が出され、各自治体はプログラム策定の具体化を促されています。その後、同年4月から、自立支援プログラムは各自治体において実施されることが望まれ、その具体化は管内の被保護世帯の状況などを把握した上で、早期に実施可能な事項から順に対応する個別支援プログラムを積極的に整備するとされており、平成17年度については、生活保護受給者等就労支援事業活用プログラムを先行して取り組み、その他の個別支援プログラムについては、各自治体の判断に任されているという状況です。
今申し上げたように、自立を支援するために個別支援プログラムを早期実施可能な事項から順に積極的に整備することが求められていますが、本市の取り組み状況についてお答えください。
全国的にも保護率が高い本市が抱える課題を解消し、持続可能な自治体として一層自立を促す取り組みが必要であると考えます。

【答弁】山本健康福祉局長
生活保護制度が経済的な給付に加え、組織的に被保護世帯の自立を支援する制度へ転換するため、その具体的実施手段として自立支援プログラムの導入が推進されてきました。これまでも本市では、就労支援などの独自の取り組みを進めてまいりましたが、国の指針を受け、個別支援プログラムとして、先ほど説明いたしました就労支援プログラム、退院促進プログラムにあわせまして、社会的な自立が困難な被保護者に対しまして、自立支援相談員が居宅における生活指導等を行う自立生活支援プログラムの3事業を実施しているところでございます。

■複数志願制について
【質問】来年の2月、3月の入試から、全日制公立高校普通科で、特色選抜と複数志願選抜という新しい選抜制度が実施されます。この新しい制度の改変と情報提供のあり方を基本にして質問をしてまいります。
新しい選抜制度は、これまでのように公立を志望する生徒が住む地域によって行く学校が決まってしまうという状況から、みずからの進路はみずからで決めるという自分の進路を選択できるようになったのですから、学力ではなく、幅広い視点を持ち、学校を選択すべきであると考えます。入試まであと半年という時期で、進学を希望する子供や親にとっては不安な時期です。さらに、制度が変わるということで、通常よりも大きな不安があると思われます。そのような不安を取り除き、スムーズな制度導入のため、順次質問をしてまいります。
まず、今回の新しい選抜制度について、保護者や生徒に対する説明の取り組み状況をお聞かせください。また、説明について保護者や生徒に十分理解されているのか、お聞かせください。

【答弁】保田教育長
平成20年度入試から導入される新しい選抜制度、すなわち特色選抜、複数志願選抜の実施に当たりましては、特に進路指導を行う学校関係者と保護者の方々の理解が必要不可欠との認識のもとに、平成17年度から、県教育委員会等とも協力をしながら、これまで中学校を中心に説明会を延べ53回開催いたしております。また、市で作成しましたパンフレットを全中学生に、県作成のパンフレットを中学校3年生全員に配付し、制度の理解に努めてまいりました。こうした中で、新しい選抜制度の趣旨や概要につきましては、かなり浸透していると受けとめておりますが、今後は生徒や保護者の個々の進路希望に対応した個別指導等、各中学校での取り組みが重要になるものと考えております。

【質問】本年の3月に本市中学校を卒業した生徒は3,414人おり、高校などに進学したのは3,241人で、94.9%となっております。この比率で見ると、来年3月の複数志願制度の対象となる生徒は、特色選抜を志望する生徒を除いた1,480人程度となると思われます。これまでの総合選抜制度では上位10%の生徒だけが自分で行きたい学校を選択できる制度であったことから考えると、大多数の子供たちが自分の希望する進路を選択し、受験できるようになります。自分の進路を自分で選ぶことができるようになるということは歓迎すべきことでありますが、生徒たちはどのように学校を選択するのでしょうか。そんな疑問が出てきましたので、保護者や先生などに、どのように子供たちが学校を選んでいるのかということを伺いに行きました。しかし、明確な答えは返ってきませんでした。
教育委員会は、今回の新しい入試制度によって、どのような情報をもとに生徒たちが学校選択すると想定されているのでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
これまで本市の中学生の進路は、全日制高校においては、自分の適性や進路希望に基づき、私立、公立高校を選び、公立高校においては、普通科、特色学科を含む専門学科、総合学科という選択肢がございました。新しい選抜制度は、このうち普通科を希望する中学生が、各高校が特色づくりを進める中で、適性や希望する進路に基づき志望する高校を決定することになります。こうしたことは、まず1つ、学校全体の特色、特に2月に実施される特色選抜の内容、2つ目に、希望する進路に合致するカリキュラムの存在、3つ目に、希望するクラブの存在、4つ目には、学校全体の伝統とか現状、進路等の評価、5つ目に、その他通学距離とか友人関係などが選択の要素になるものととらえております。

【質問】今回の新しい制度の導入に当たり、保護者へヒアリングしたところ、子供たちが学校選択するときにアドバイスできず、保護者間のうわさや口コミなどの情報だけで学校を選択しているという声もありました。また、誤った情報が入るということを危惧する保護者もいらっしゃいました。保護者のヒアリングを通じて、正確な情報提供を行わなければ、新しい制度を導入したとしても、適切に学校を選択されないのではないかという不安を抱きました。私は、学力だけで学校選択をすべきでないと考えますが、学力以外の選択の軸が明確でないために、このままでは、学力のみで選ばれる危険性が大きいと感じました。生徒や保護者に対しての情報やその他の情報提供の方法をもっと整理して、正確な情報を伝えることが今必要なのではないかと考えます。そこでお伺いいたします。学力以外の軸を明確にして、学校がより一層特色をつくりやすいように配慮する必要があると考えますが、御見解をお伺いいたします。

【答弁】保田教育長
新しい選抜制度は、魅力ある学校づくりを進め、学びたい学校を選べるための制度でございます。こうした中で、まず2月には、その学校の特色に応じ、受験生の個性とか能力を多面的に評価する特色選抜を実施いたします。現在市内では、公立5校が実施することをその内容とともに明らかにしているところでございまして、市立高校におきましては、東高校では音楽分野を、市立尼崎高校では国際文化の分野を準備しております。今後とも各高校が特色づくりを進められる環境づくりに努めてまいります。

【質問】今、その特色を各学校がそれぞれ出そうと取り組まれています。今回、11月の5日、6日にかけて、オープンハイスクール、高校を公開するということを企画されております。これは、平日に各高校へ受験する生徒が訪問して、実際の授業風景や学校を見て体験するために実施されるようです。まだ詳しい内容については各学校で検討中であると伺いましたが、一つ提案があります。オープンハイスクールをより効果的に行うために、開催時に高校生に話を聞くことができるような場をつくっていただきたいと思います。なぜならば、実際に通学している生徒に生の話を聞くことで、目に見えない生きた情報を得ることができると思われるからです。具体的にイメージするならば、就職活動などのときにOB、OGの訪問をするような感じとなります。通常の授業がある平日を体験することで、より具体的にわかる形で学校の雰囲気や校風を理解することが目的とされている趣旨に適合するのではないかと思われます。これには県教育委員会との調整が必要だと思いますが、ぜひ御検討していただければと思います。
自分のやりたいことや将来を見据え、学力以外で学校選択をしてほしいという考えを述べてまいりましたが、親の立場から学校選択をする上で大きなウエートを占めるのは、各学校の学力、また、高校卒業後の進路ではないでしょうか。それぞれの学校で学んだ先輩がどのような進路を選択し、卒業していっているのかというデータは、学校選択において非常に重要であります。また、先ほどのヒアリングによると、取り組みたい部活動の有無も選択の要件となるそうです。確かに勉強だけではなく、スポーツや各自が取り組みたいことができるような特色のある学校は、志望されやすくなると思われます。教育委員会が新しい制度の説明のため、各学校の特色、取り組みをまとめ、保護者へ配布した資料を見ると、紙面でできない情報提供については、各学校のホームページや学校案内などの資料でそれぞれの学校の情報が提供されるとの記載がありました。そこで、各学校のホームページを順次見てみました。一番気になる卒業後の進路についての情報を見てみると、尼崎東高校は、大学、短大、専門学校、就職など、それぞれの進路について、過去3年間、男女比とともに記載されています。また、大学、短大については、過去3年間の延べ数での進学実績もあります。県立小田高校については、過去の卒業生の人数、男女比、具体的な進路も記載されています。県立尼崎西高校は、過去3年間の大学、短大、専門学校、就職のそれぞれの人数が記載されていますが、近年の具体的な進学先、就職先についての人数は記載されていません。市立尼崎高校や県立尼崎北高校は、最近4年間の4年制大学、短大、就職先の学校、企業が抜粋で記載されており、人数や男女の構成比や年度ごとの推移の情報はありません。次に、各学校にある部活動について見てみると、学校にある部活動について記載はあるものの、部員数や詳しい情報については、市立尼崎高校や県立尼崎高校などの一部の学校にしかありません。
以上のように、志望する生徒が見るであろうと思われる情報が整理されていないことは、利用者からすれば、調べるのに手間がかかってしまいます。現在の生徒や保護者は、インターネットによって最初に情報を得ることが多くなっております。情報は、発信することが目的ではなく、受信されて初めて情報としての価値をなします。生徒や保護者に対して情報提供をもっと親切に行うことが必要であると考えます。そのためには、情報を利用する側のニーズを把握し、そのニーズを満たすようなホームページづくりをする必要があるのではないでしょうか。そこでお伺いいたします。
判断の物差しとなる情報が統一されておりませんが、各学校のホームページによる情報を統一し、提供することはできないでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
市立の各学校・園のホームページにつきましては、情報化が進展する時代において、開かれた学校づくりを目指して、すべての学校・園において開設をしております。その中で、市立高等学校につきましては、学科など各高等学校の特色があることから、学校ごとに提供する情報の内容に創意工夫を凝らしておりますけれども、進路やクラブ活動など、中学生や保護者の関心の深い情報につきましては、よりわかりやすいものになるよう、今後指導助言をしてまいります。

【質問】一言で公立高校と言っても、県立高校と市立高校が存在し、それぞれ県教育委員会、市教育委員会が所管しておりますので、一斉に変えることは難しいかもしれません。市教育委員会として県教育委員会に対してホームページの情報を統一するように提言し、連携して情報の整理に努めることはできないのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
新しい入試制度に移行するということで、生徒や保護者の方にも大きな不安があります。その不安を払拭し、スムーズに制度移行するためにも、入試までの間でとれる対策を十分にしていただくようにお願いしたいと思います。

【答弁】保田教育長
市立、県立高等学校のホームページで発信されている進路等の情報は、市内の中学生や保護者にとって重要なものであると認識をいたしております。県立高等学校のホームページにつきましては、各学校において自主的に作成されていると聞いております。今後、情報の受け手側の立場に立った情報発信について、市内の市立・県立高等学校の校長で組織する公立高等学校校長会というものがございますので、この校長会に働きかけてまいります。

■民間への事業移管について
【質問】市民まつりをまず事例として、民間への事業移管についてお伺いしてまいります。
尼崎市民まつりは、昭和47年から、市制の誕生を祝い、市民相互の親睦と連帯意識を高め、本市発展を図ることを目的に実施されてきました。これまで、市内の主要な団体の協力を得て、市民まつり協議会を設置し、関係者の協力によって運営がされ、市内全地域における唯一の祭りとして市民に定着しております。第30回までは市が主催をし、市民まつり協議会へ委託する形で実施されてきましたが、より市民の自主性、創造性を生かした祭りにするため、第31回からは市民まつり協議会が主催する形に変わり、実施されてきました。しかしながら、この間一貫して市が事務局機能を担ってきたため、新たな行事展開、また内容の改善などの課題について、事務局、すなわち行政主体の検討となっているため、市民のアイデアや活力を生かした十分な見直しが図れなかった。そこで、今回、幅広く市民や団体の意見を取り入れ、より市民主体の祭りとするために、事務局を市行政から市民まつり協議会を構成する団体へ移管して運営していくという見直しがなされています。市の関与については、事務局を市民まつり協議会へ移管したので、全く関与しないということではなく、事務局機能移管後も市民まつりへの財政的支援及び交通・警備など安全対策面での人的支援を引き続き行う、また、今年度は、事務局移管の初年度であるため、市民まつりの円滑な実施のため、全力的なサポートを行っていくと説明を受けました。特に、これまで議会から議長、各会派の幹事長が顧問という形で参画をしてまいりました。しかし、今回、市民まつり協議会の組織変更に伴い、市民主体の祭りとして、市民みずからが企画・実施するという意識を高めていくことがより重要であるということで、実行委員会形式で運営していくため、議長、各会派の幹事長は、市民まつり協議会の組織から外れました。私自身としては、市民まつりの目的である市民相互の親睦と連帯意識を高め、尼崎市の発展を願うならば、議会もともに市制の誕生を祝うものであると考えますので、協議会組織から外す必要性はなかったのではないかと考えております。特に、議会が協議会組織から離れることで、チェック機能を果たすことができにくい状況になってしまうのではないかと懸念をしておりましたが、適切に運営が可能ならばと、見守ってまいりました。
しかし、8月30、31日に尼崎市や市民まつり協議会を名乗って電話をかけ、市民まつりへの協賛金をだまし取ろうとする事案が発生したということが新聞に掲載されておりました。その後、市民まつり協議会のホームページで、尼崎市民まつりに関する緊急のお知らせとして注意が喚起されております。この件についてお伺いいたします。昨年まではこのような事案は発生していたのかどうか、まずお聞かせください。発生していなかったならば、なぜ今回発生したと考えるか、御見解をお聞かせください。

【答弁】玉井環境市民局長
これまでの市民まつりにおきましては、今回のような事案はなかったと認識しております。なぜ発生したのかということにつきましては、推測の域を出ませんが、昨今の振り込め詐欺を初め、相手の善意を逆手にとって金銭をだまし取ろうとする事件が多発している社会情勢の中で、市民まつりの協賛金が募集されていることを何らかの形で知り、今回の事案につながったのではないかと考えられます。市民まつり協議会におきましては、今後も手段を変えた同様の事案が発生することが想定されることから、再発防止に向けた検討を行う予定といたしております。

【質問】今回、さまざまな団体が企画・参画する形で市民まつり協議会実行委員会が運営されております。さまざまな団体が参画することで、一般の方からは複雑な組織体制に見えることから、このような事件が起こるのではないかと考えます。そこでお伺いいたします。さまざまな団体が企画・参画することは喜ばしいことですが、誤解を生じさせないように、行政はどのように対策を取り組んできているのか、お聞かせください。

【答弁】玉井環境市民局長
市民まつりはことしで36回を数えますが、開始当初から比べると、現在は多くの団体がまちづくりや地域活動に取り組んでおり、それらの活動グループも今年度から新たに市民まつり協議会並びに実行委員会に参画し、主体性を持って市民まつりを企画・運営してもらっております。こうした中で、市民まつり協議会におきましては、協議会に参加されていない一般の市民の方々にも市民まつりに関することを知っていただき、全市域を対象とする唯一の祭りとして盛り上げていくために、従来の市報やFM放送での周知に加え、今までにはなかった新たな取り組みとして、市民まつり専用のホームページを開設し、すべての会議録や組織体制、また行事概要などの市民まつりに関する情報を随時更新しながら、積極的な情報提供に努めております。今後さらに、議員の御指摘も踏まえ、わかりやすい内容での情報提供に努めてまいりたいと考えております。

【質問】先日から、市民まつり協議会のホームページにある文書や内容について不備があるところについては、随時指摘をし、改善を促してきております。しかし、変更されたものが改善と言えないのが実情です。市民が主体となり、市民の手によって、市民のための祭りという趣旨は理解できますが、混乱を来すような状況にならないために行政がサポートしていくのではなかったのでしょうか。文書のチェックや法令についての指導などは、行政が関与することから可能なことであると思います。一つ一つのミスから事件・事故を引き起こす可能性が高くなりますので、しっかりとサポートしていただくように指摘をしておきます。
次に、市民まつり負担金として1,500万円、また、事務局移転費用として236万5,000円が予算計上されています。これまでは市が事務局として運営がなされてきたので、議会のチェックがなされきてました。今回、事務局を協議会へ移管するということで、チェックがなされにくい状況になると想定されます。そこでお伺いいたします。
通常、指定管理者制度や委託など外部へ仕事を出す場合には、事業計画書や収支予算書が作成され、提示されると思われます。今回、これは市民には公開されないのでしょうか。

【答弁】玉井環境市民局長
市民まつりの実施に当たりましては、より市民主体の祭りとなりますよう、事務局機能を移管するとともに、実行委員会での催し物の一つ一つを企画立案していただく形に変更しております。このような中で、議員御指摘の事業計画や収支予算につきましては、先ほど申し上げました市民まつり専用ホームページで随時公開される予定となっております。

【質問】業者の選定基準なども提示するべきではないかと思われますが、御見解をお伺いいたします。ホームページがあるのですから、ホームページで事業計画書や収支予算書を公開することなどで、より市民に開かれた市民まつりとなると思われますので、検討をよろしくお願い申し上げます。

【答弁】玉井環境市民局長
市民まつり実施に当たっての会場設営などの業者選定基準につきましては、7月4日に開催されました第5回実行委員会で議論されましたが、市民まつり開催までの日程が限られておりましたことから、策定には至らなかった経過がございます。こうした業者選定基準の策定につきましては、実行委員会や市民まつりをサポートする市といたしましても課題と認識しておりますことから、来年度の開催時までには一定の結論を出したいと考えております

【質問】今回の件があって以降、民間との協働のあり方や民間委託、民間移管について不安が出てきました。民間への流れということは時代の流れで是としながらも、慎重に判断していかなければ、リスクを増大させるのではないかと感じるようになりました。昨日の畠山議員とも重複する部分もありますが、私なりの視点でもありますので、お伺いさせていただきます。
現在、公共の役割を見直し、民間にできることは民間へという潮流のもと、国でも小さな政府づくりが進められています。その具体的な取り組みとして、市場化テストや指定管理者制度など、多くの制度がそれを後押ししております。特に本市でも活用が進む指定管理者制度は、地方公共団体が指定する法人その他の団体に公の施設の管理権限を委任し、施設の管理を行わせる制度で、従前の管理委託制度と異なり、民間事業者もその対象団体となっております。指定管理者制度を導入する目的として、厳しい財政状況の中、今までのようにすべてを行政が担うのではなく、民間の力を活用し、住民サービスの質の向上とサービス提供のためのコスト節減という2つの側面があります。本市でも平成16年7月から、青少年いこいの家、また女性・勤労婦人センターなどに指定管理者制度が導入され、現在では、阪神尼崎駅前駐車場、また美方高原自然の家などを初め、有料公園施設3カ所、社会体育施設7カ所、市営住宅99カ所など、120カ所を超える施設が管理されるに至っています。
以上のように多くの施設が指定管理者制度を活用し、運営されております。選定時については昨日畠山議員から御指摘がありましたが、私は、選定時だけではなく、継続的に適切に運営されているかどうかという常時のチェックが重要であると考えます。なぜならば、指定管理者制度は、行政がサービスの提供者からサービスの監視者へ役割を変えるということであるため、しっかりとした監視が重要であると考えるからです。そこでお伺いいたします。
選定時だけではなく、安定、継続した目的を達成するために、自治体と指定管理者が合意した事業計画の取り組みや進捗状況、成果について、モニタリング、評価する必要性が高いと考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、他の自治体では、第三者評価を実施するなどのチェックを行っていますが、本市の取り組み状況についてお聞かせください。

【答弁】小寺企画財政局長
本市では、指定管理者制度を導入しているすべての施設において、適正かつ効率的な管理に期すため、指定管理者から市に対しまして、毎年度業務終了後、管理業務に関しての事業報告書を提出していただいております。この中で、実施した事業の内容や実績、施設の利用状況などとあわせまして、1年間の管理実績を踏まえての課題及び次年度に向けた対策なども報告していただき、継続的に適正かつ効率的に管理できているか、市において確認しているところでございます。
また、現在本市では第三者によるモニタリングは実施しておりませんが、今後、より施設の設置目的が達せられているかどうかなどの評価や点検手法について、庁内論議を進めていきたいと考えております。

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