2011年9月 第14回定例会 一般質問
【質問項目】
■防災対策について
■コミュニティの再構築について
■シティプロモーションについて


■防災対策について
【質問】最初に防災対策についてお伺いいたします。
3月11日に発生した東日本大震災におきまして多くの方々が被災されました。午前5時46分という早朝に起こった阪神・淡路大震災とは違い、午後2時46分という人々が日常活動している時間帯に発生したことで、父親は職場で、母親は自宅で、子供は学校で被災するなど一家ばらばらに被災したことで安否確認などにも課題を残しました。
特に、学校の下校時間に重なっていたこともあり、早く自宅まで帰らせるか、学校にとどまらせるのかという判断が課題となりました。
各自治体でも防災対策が策定されていますが、時間帯や場所などで、それぞれとるべき対応が変わってくることが教訓として残ったのではないでしょうか。
現在、本市では、災害に対する計画として尼崎市地域防災計画が策定されています。
この計画の目的は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定に基づき、尼崎市の地域にかかわる災害対策全般に関し、市域の災害予防、災害応急対策及び災害復旧等に関する事項を定め、市・指定地方行政機関、指定公共機関等の行う防災活動を総合的かつ計画的に実施することにより、市民の生命、身体、財産を災害から保護するとともに災害による被害を軽減し、もって社会秩序の維持及び公共の福祉の確保に資することを目的とするとされています。
 この計画を拝見すると、先ほど述べたような時間帯や場所、それぞれの対応について細かな想定についての記載はありません。運用規則等にそのような想定があるのかもしれませんが、もし想定がないならば、追加して記載しておくことが必要であると思われますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
地域防災計画では、地震災害についてはその発生する時間帯ごとの被害想定を記載しているものの、原則として対応策を考える上ではどの時間帯で発生しても対処する必要があるため、特に時間帯、場所ごとの対応は記載いたしておりません。
なお、議員が挙げられた学校の事例で申し上げますと、本市の学校ではそれぞれの学校ごとに災害対応マニュアルを作成し児童・生徒が在校中の場合と夜間休日の場合に区分した上で、在校中の対応として避難誘導や保護者への連絡など児童・生徒の安全の確保等について規定しているところでございます。

【質問】日中本市に働きに来ている方の対応についてはどのような想定がなされているのでしょうか。あわせてお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
今回の東日本大震災は、昼間に発生したことで勤務地から自宅に帰れない、いわゆる帰宅困難者が問題となりました。本市地域防災計画の中では、帰宅困難者の不安を取り除き混乱を防止するため、徒歩帰宅者のための支援策等について検討すると規定しており、昨年度から大阪市が主体となる帰宅困難者対策検討会へ参画し、検討を進めてまいりましたが、この度の大震災のように広域にわたった被害状況での具体的な想定はできておりません。
現在は、まず市民の生命、財産を守ることを中心に対策を進めておりますが、今後は本市においても具体的に検討しなければならないと認識しております。

【質問】地域防災計画の本編第3章災害応急対策計画第8節避難計画に、災害時に市内85カ所の避難所で71,050人の収容人数を受けられるとの表記があります。
全市と各行政区単位の収容人数は、中央地域10,810人、小田地域10,760人、大庄地域9,320人、立花地域15,090人、武庫地域11,800人、園田地域13,270人で、全市合計、先ほど申し上げた71,050人となっています。
また、一方各行政区の平成23年9月1日現在の推計人口は中央地域51,868人、小田地域72,614人、大庄地域54,797人、立花地域106,734人、武庫地域74,359人、園田地域91,614人、全市合計452,012人となっています。この2つのデータから、人口に占める避難所の確保数を計算すると、中央地域の確保数が20.8%、小田地域が14.8%、大庄地域が17%、立花地域14.1%、武庫地域15.9%、園田地域14.5%となっており、全市平均で15.7%となっています。そこで、お伺いいたします。
 現在、想定されている避難所の設置数や収容人数はどのようにして割り出しされているのでしょうか。

【答弁】俵総務局長
地域防災計画においては、本市の指定避難場所は、学校施設を中心に市民が自宅からおおむね500キロメートル圏内の距離を目安に避難できることを基準に、平成23年4月では84カ所設置をしてきているところでございます。
収容人員につきましては、地域防災計画上で想定されている地震のうち、最も多くの避難者が想定される有馬高槻構造線地震での避難者数に対応できるよう策定をいたしております。

【質問】確かに、避難対象者として規定されている者が第1の避難勧告、指示による避難者と、住居が被害を受け居住の場所を失った者との規定から全住民を受け入れ想定することの想定ではないと思われますが、そもそもこれは何を根拠に策定されているのか、お答えください。

【答弁】俵総務局長
本市においては、平成17年4月1日に行政情報資産管理指針を策定し、漏えい、改ざん、破損、盗難等がないように行政情報資産の適正管理や必要に応じた安全対策の実施を規定いたしております。
市政情報センター内のホストコンピューターで処理している住民基本台帳や固定資産税台帳などの住民情報の基幹データについては毎日バックアップとして磁気テープに保存し、同センター3階にある耐火仕様の行政重要保管庫にて保管をいたしております。
また、火災や地震に備え、月に一度バックアップ磁気テープを滋賀県にある委託業者の保管場所へ保管することでデータの損失に備えております。
なお、業者委託による保管場所は侵入防止対策を施していることや耐震耐火耐熱仕様の専用保管庫を備えていることはもとより、場所的にも本市から一定の距離があること、地形的に地盤が強固で河川のはんらんや高潮のおそれがないことを考慮して選定し、万全を期しております。

【質問】厳しい財政状況の中、公共施設の統廃合等が進んでいます。その影響で将来的に現在の収容人数がさらに低下することが予想されますが、その点を考慮しながら公共施設を統廃合する必要性があると考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】吹野企画財政局長
公共施設の見直しにつきましては、平成22年8月に取りまとめました公共施設見直しの方向性に基づき、現在取り組みを進めているところでございます。
一方、本市の公共施設の多くは耐震基準が改正されました昭和56年以前に竣工したものでありますが、厳しい財政状況が続く中で、これらのすべてを整備し、維持し続けていくことは困難であると考えております。
今後の見直しに当たりましては、御指摘の点も踏まえながら、耐震性を含む施設の機能向上を1つの目的として取り組んでまいります。
次に、耐用年数が近づいている本庁舎を建てかえる必要性があると考えるがどうかというお尋ねでございます。
さきの東日本大震災は、被災した自治体に甚大な被害をもたらす中で、本庁舎が防災の拠点として、また行政機能の維持という面でいかに重要な機能になっているか再認識させられたところでございます。
本市の本庁舎につきましては、北館は新耐震基準により設計されておりますが、中館及び南館は築後49年を経過し、老朽化が進んでいる状況にございます。その建てかえにつきましては、財源面や機能面で非常に大きな課題があるため、まずは内部でそれら課題の整理を進めてまいります。

【質問】今回の東日本大震災では、津波で自治体の庁舎そのものが破壊され、住民基本台帳など、住民情報の管理のあり方が問われています。
2011年5月20日付のMSN産経ニュースによると、住民データ保管先に悩む自治体という見出しに続き、各自治体の情報管理の対策に乗り出す自治体の苦悩がつづられています。
その中の事例として、大阪府羽曳野市は、平成7年より100キロメートル離れた和歌山県田辺市と住民基本台帳や固定資産税台帳などの住民情報を相互に保管する協定を結んでいます。そもそもは、庁舎内に備えつけた耐火金庫でデータを保管してきたが、阪神・淡路大震災を契機に金庫自体が被害を受ける可能性があるとして、データ保管をし合う協定を結んだり、平成9年には新潟県長岡市と新潟市が同様の協定を結んでいるとのことです。
他の自治体にもこうした動きは広がっており、導入の理由として複数のバックアップデータの保管施設を持つことが情報の保全のためには重要である、それが自治体同士だとコスト面、安全面からもメリットが大きいとされています。
一方で、大阪府泉佐野市では平成19年から庁舎内と大阪市内の業者の施設にバックアップデータを保管しており、検討段階で一時、同時被災の可能性が低い関東の施設への保管をするという構想もあったけれども、余りに遠い場所では管理に目が行き届かず、情報漏えいの懸念も高まるとして、結果的に関東での保管を見送った経緯があるとのことでした。泉佐野市の担当者によると、保管場所をふやせば災害時のデータの消失リスクは減るかもしれませんが、同時に情報流出のリスクについても考えなければ住民に迷惑がかかるとされ、どの自治体も災害対策と情報の安全管理をいかに両立するかで頭を悩ませているのではないかという記事になっています。
確かに、複数の施設にデータを保管できれば情報消失リスクは減るが、管理がおろそかになれば情報流出のリスクも増大するメリットとデメリットが両方とも存在するんですけれども、私は、この危機感を持ち、何か情報の保全を、対策をするということについて、その姿勢そのものが大切であると考えております。あわせて、そこでお伺いいたします。
本市の住民情報などについて、どのように情報資産管理がなされているか、お聞かせください。あわせて、先ほどの事例のような自治体間でのデータの持ち合い等の対策が必要であると考えますが、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
御提案いただきました自治体間で住民情報を相互に持ち合う対策につきましては、1つの方法と考えますが、相手自治体の選定などではセキュリティー対策の水準の確保などの課題がございます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在の業者委託は機能的にも十分確保されておりますので、当面現在の体制を続けてまいりたいと考えております。

【質問】以前より、我が会派では本庁舎の建てかえについて提案をしております。
市役所本庁舎は3つの建物に分かれ、北館は昭和59年建設、南館と中館は昭和39年に建設されています。阪神・淡路大震災後、特に被害の多かった本庁舎の中館は耐震診断を行い、補強工事を行って一定対策を行っています。
ただ、防災計画上、市役所は災害対策本部室としての位置づけがされており、万が一本庁舎が被害を受けた場合は防災センターを防災拠点とすることが想定されています。だからといって、本庁舎が必要ではないというわけではありません。現在、ファシリティマネジメントの視点を持って、公共施設のあり方について検討がなされています。一定の検討が進んだ後、速やかに耐用年数が近づいている本庁舎を建てかえる必要性があると考えますが、改めて当局の御見解をお聞かせください。

■コミュニティの再構築について
【質問】続きまして、コミュニティーの再構築について質問をさせていただきます。
一昨日の我が会派の上松議員より、また午前中には小柳議員からも社会福祉協議会の重要性について指摘がありました。私も、住民自治基盤組織でもある社会福祉協議会と市の関係性についてお伺いしてまいります。
財政再建団体へ転落するという危機的状況を脱却するために、経営再建プログラムや行財政構造改革推進プランといった財政再建計画を策定し、実行してきています。今や、何でも行政にしてもらうという時代ではなく、優先順位をつけ、選択する時代になりました。その優先順位づけについては意見が分かれるところではありますが、普遍的な原理原則は忘れてはいけないと感じます。
最たるものが、自助・共助・公助という、まず自分自身から努力を行い、次にお互い助け合う、それでも不足する部分は公の力、すなわち行政の力をかりるという順番に沿って政策立案や実行がなされているかを考え直すことが必要です。これからの時代、地域社会で支える仕組みが今まで以上に求められてくると感じています。そして、その一番身近な共助の基盤は何といっても自治会や社協ではないでしょうか。
身近な地域での出会いの場づくりを通じて地域を構成する多様な主体の連携づくりを進めていくためにも、最も身近な基盤である社協や自治会の組織活性化が今最も必要であると考えます。
稲村市長におかれましても、平成23年度施政方針の3項目に「市民自治のまちづくり」を掲げておられます。
その中で、地域が主体となってまちづくりを進めていくためには、地域住民がみずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことが重要であり、政治や行政がその責任を果たすだけではなく、地域住民による公共・公益活動を進めることが必要だと考えます。これまで、市民の力で大きな変化を生み出してきた尼崎だからこそ、地域の実情に応じて、市民みずからが自発的にまちづくりを担う、「市民が主権を発揮できる市民自治のまちづくり」を目指して、私自身も積極的に説明責任を果たし、相互理解を深めながら丁寧な対話と参加を基本姿勢として進めていきますと申されております。
そのように、だれもが住民自治を推進することは大切であると認識はできているものの、実際には社会福祉協議会の、以下社協と申しますが、加入率は10年前の平成14年に全市平均70.91%であったものが、ことし平成23年には59.41%にまで低下しており、各行政区別の推移を見ても中央地域が89.2%から69.21%に低下、大庄地域が94.0%から83.0%に低下、小田地域が79.21%から64.03%に低下、武庫地域が43.52%から36.88%に低下、立花地域が63.78%から55.25%に低下、園田地域が69.74%から58.20%に、それぞれ低下しております。このような状況を踏まえ、お伺いします。
 社協加入率を下げどめ、早急に地域コミュニティーの再構築をすべきと考えますが、御見解をお聞かせください。

【答弁】中浦協働推進局長
社会福祉協議会の加入率向上の取り組みにつきましては、これまでも支部社協と各地域振興センターが協力、連携をしながら取り組みを進めてまいりました。
しかしながら、依然として加入率は低下傾向にあり、その対応につきまして昨年10月に社会福祉協議会に加入促進検討委員会が設置され、市も参画する中で現在課題の抽出や対応策について協議、検討を行っており、この8月から9月にかけて一般市民と単協会長を対象として社協加入促進に関するアンケート調査を実施するなど具体的な取り組みを行ってきております。
今後とも、地域福祉の推進を初め、協働のまちづくりを進める上で、地域コミュニティーの強化は不可欠であると認識をいたしており、引き続き社会福祉協議会と連携を図りながら加入率向上に向けて取り組んでまいります。

【質問】本市の社協は、地域全体を圏域とする本部社会福祉協議会、地域を6つに分けた旧行政区を圏域とする支部社会福祉協議会、他都市で言う自治会、町会を圏域とする単位福祉協会、単位福祉協会の連合体である社会福祉連絡協議会の大きく4つの組織で構成されています。
社会福祉協議会の位置づけは、地域福祉を推進する中心的な団体ですが、本市の場合、他都市で言う自治会、町内会を基盤として市社会福祉協議会が設立されたという特有の経過があります。
一体的に、先ほど申し上げました社協と自治会が融合しているメリットはあるものの、デメリットも存在しています。融合していることで、どこからが社協としての業務なのか、どこまでが自治会としての業務なのか、あいまいになっています。
確かに、市の部局ではなく一社会福祉法人の業務や改善についてのことでありますので、どこまで関与することができるかは不明確でありますが、この問題については、以前から各会派から整理の必要性が指摘されています。
ダブルスタンダードとも言うべきこの状況について解決の糸口をつけておかなければ、将来的に問題となることが予想されます。
その一つの理由として、今国では公益法人改革が行われています。現在の対象は社団法人と財団法人だけでありますが、将来的には社会福祉法人をも対象になる可能性も否定できません。その際に、急に業務を分ける必要性が出てきたときに十分な時間がかけられない、整理がうまくいかないといった問題も考慮されます。
だからこそ、この早目にダブルスタンダートとなっている部分について見直しが必要であると考えます。そこで、お伺いいたします。
社会福祉協議会と自治会との組織体制や業務分担を明確にする必要性があると考えますが、当局のお考えをお聞かせ下さい。

【答弁】中浦協働推進局長
本市の社会福祉協議会は、独自の歴史的経緯により地域福祉機能と自治会機能を合わせ持つ組織となっており、こうした本市社協の特徴は今後さらに少子高齢化が進展する中で、地域コミュニティー活動や地域福祉活動に一体となって取り組める住民自治基盤として大きな強みであると認識をいたしております。
しかしながら、本来の社会福祉法に基づく組織としての活動と自治会組織としての活動の区分がわかりにくくなっていることなどの課題がありますことから、現在市といたしましては、類似した都市を対象に社会福祉協議会と自治会の組織等の実態について調査を行っております。
いずれにいたしましても、地域福祉、地域自治の担い手といった両側面を持つ本市社会福祉協議会の組織体制や業務分担について、市の関与には一定の限界はございますが、公益法人改革など今後の動向を注視しながら、協働のパートナーとしての立場から支援を行い、よりよい連携体制を目指してまいります。

【質問】自治会の加入が低下しているのは、本市に限ったことではなく全国的に問題となっております。特に、都市部での自治会加入が低下しているようです。加入率の低下が指摘される中、努力義務規定を活用して加入率アップを目指す自治体もあらわれてきています。
横浜市では、「横浜市地域の絆をはぐくみ、地域で支え合う社会の構築を促進する条例」が3月に制定され、京都市では、この9月議会に、住民に自治会への加入を努力義務とする「京都市地域コミュニティ活性化推進条例」が提案されています。京都市の資料を拝見すると、市が昨年3月加入状況を初めて調査したところ、住民の加入率は70%で、これはもう既に本市よりも高い状況なんですが、調査を行った17政令市中12番目で平均の75%より低いという結果となり、昨年8月から有識者らの委員会で条例化を検討してきたそうです。
自治会加入の努力義務を入れるという問題について住民の意思を条例で縛るべきではない、そういう意見もありましたが、住民の役割を明確にすべきとの意見が大半を占め、ことし3月に努力義務を含めた提言を市長に提出されました。それを受け、市当局は、住民の役割を、地域活動に積極的に参加、協力するよう努めるとの定義をし、住民登録をしていない学生らも含め自治会への加入を努力義務としています。
また、加入が強制とならないよう配慮し、住民の多様な価値観、自主性を尊重するとの明記をしているものの、条例によって市が自治会加入について一定的な、公式的な判断を示すことでこれまでよりも勧誘しやすくなるなどの効果も出てくるのではないかと考えます。そこで、お伺いいたします。
横浜市や京都市のように、自治会加入を促進する条例を制定すべきと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】中浦協働推進局長
横浜市や京都市の条例の目的は、行政と市民の責務を明確にするとともに、地域コミュニティーの活性化を推進することで住民同士が支え合い、きずなを強め、暮らしやすい地域社会の形成を行うものであり、こうした趣旨につきましては住民組織を中心に行政等と連携した地域活動を推進する本市の目指す姿と同様であります。
現段階におきましては、こうした条例の制定については考えておりませんが、我がまちの特性も踏まえ、コミュニティー機能の強化につながる条例や指針などを制定している他都市の先進事例も研究しながら、加入促進に向けた取り組みにつきましても社会福祉協議会と連携し、進めてまいりたいと考えております。

【質問】地域における人と人のつながりの希薄化や、地域への帰属意識の低下による組織率の低下傾向が見られます。もちろん、主体である社会福祉協議会にも今以上に加入率向上に取り組んでもらわなければなりませんが、社協の組織率向上に向けた後方支援を市としてもきちんとした形で行うべきであります。これまでのように、加入率向上を図るよう訴えていますと言っているだけでは加入率はますます低下し、住民自治がそもそも成り立たなくなり、手がつけられない状況にもなりかねません。
今、とり得るべき施策を行い、市内の全住民を対象として地域住民同士が助け合い、支え合う地域社会の醸成など、地域福祉の推進に当たっては、これからも尼崎市社会福祉協議会を中心に、地域住民や地域の団体、事業者等といった多くの主体が参画し、連携、協働する体制づくりをともに進めていくことが必要であるということを申し上げ、この質問を終わります。
防災の2つ目の項目でありますエリアメールについてお伺いをさせていただきます。
災害が起こったときに情報伝達する手段として同報系防災行政無線戸別受信機が各学校等の公共施設、私も含め皆さん方の御自宅やまた連協会長などに280台導入されています。
また、防災ラジオは、単協の会長、民生児童委員、福祉関係施設、地下施設、これは駐車場や駐輪場となっておりますが、合わせて1,488台導入されています。
しかし、現状では導入するためのコスト面などの課題も多いため、これ以上の導入はなかなか難しいのではないでしょうか。
他に、災害時の情報の周知方法として、エフエムあまがさきでの情報提供を行うことが地域防災計画に記載されています。周波数などの周知を日ごろから浸透させる必要性があります。
そこで、新しい災害情報の周知方法としてエリアメールの導入を提案したいと思います。
エリアメールとは、気象庁が発信する緊急地震速報や地方公共団体が発信する災害避難情報などを受信することができるNTTドコモの携帯電話向けサービスで、対象エリアにいる利用者に限定して配信するため、ふくそうの影響を受けない、干渉するという意味なんですが、受けないとされています。
通常の携帯メール等は、回線利用が集中する場合、通信会社側で帯域制限をかけて電話の発着信などがしにくくなるなどがありますが、このエリアメールはこの影響を受けずに受信することができることがメリットです。
さらに、本市の市民だけではなく、たまたま本市を通過しているだけの方に対しても、この携帯電話のサービス利用を申し込んでおけば情報伝達することが可能という特徴があります。
一方、デメリットは、現在対応している携帯会社がNTTドコモに限られていることであります。これについては、その他のauやソフトバンクやその他の携帯会社でも東日本大震災を契機に導入が図られる、同じようなサービスが連携して提供できるように総務省も含めて調整が今進んでいるということであります。
気になるコストに関してですが、携帯電話の利用は利用者、ユーザー側は通信料、情報料ともに無料で、自治体の配信のための初期費用及び月額料は2011年、ことしの7月1日以降無料になっています。そこで、お伺いいたします。
本市も、災害情報をスピーディーに伝達することができる、このエリアメールのサービスを開始することについて当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】俵総務局長
本市におきましては、市民の皆様に気象警報や災害時の緊急情報を携帯メール等に配信するひょうご防災ネットを運用しておりますが、10月3日からNTTドコモが提供するエリアメールをひょうご防災ネットと連携させ、運用開始することを予定いたしております。これに伴い、市内のNTTドコモの携帯電話を所有されている方に、本市からの緊急情報を一斉配信することが可能となります。

■シティプロモーションについて
【質問】シティプロモーションについてお伺いしてまいります。
シティプロモーションとは、地域を持続的に発展させるために地域の魅力を地域内外に効果的に訴求し、それにより人材、物財、資金、情報などの資源を地域内部での活用が可能としていくことでありますと、東海大学文学部広報メディア学科の河井孝仁教授が定義づけておられます。
本市の有するまちとしての資源を、どのように地域内外に訴求し、活用していくかということにほかなりません。
シティプロモーションと呼んでいる自治体による行政広報は、3つに分類でき、1つ目は行政サービスを市民に周知させる狭い意味での行政広報、2つ目は市民に地域課題解決への積極的な参画を促す政策広報、最後は地域の魅力を地域内外に訴える地域広報という3つに整理して考えるとわかりやすいかと思います。
本市のちかまつ・文化・まち情報課が所管しているあまかん事業などは地域広報であるものの、観光政策が中心となっているため、本来の最終目的である定住促進にまで考慮されているとは言えません。
少子高齢化の進展により、日本の人口は右肩下がりに減ってきます。
つまり、自治体の活力の源泉である税金、納税をする人そのものが減少するということになります。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口の動態のデータによると、老年人口の割合が2005年、現在の20.2%、これは5人に1人ですね。これが、2013年には25.2%で4人に1人を上回り、その後出生推移集計では2035年に33.7%で3人に1人を上回り、50年後の2055年には40.5%。すなわち2.5人に1人が老年人口となる一方、同じ2055年に、14歳以下の年少人口は現在の半分以下になることが推計されています。
以上のようなことが想定されるとすれば、住みかとしての本市を選択してもらうかという、自治体間でのどこに住むかということの自治体間競争が引き起こることになります。
そのためにも、本市の魅力を的確に伝えるシティプロモーションが必要となります。
とはいえ、やみくもにシティプロモーションを行えばいいというものではありません。午前中には高濱議員からシティプロモーションの評価、検証についての提言がありましたが、私は、その前の段階のシティプロモーション戦略そのものを先に構築すべきだと考えます。シティプロモーションは、単なるまちの売り込みではなく、価値を創造するものであると、先ほどの河井教授は述べており、全庁的な戦略を策定しなければ実行性がなくなってしまいます。他都市での策定状況としては、川崎市では川崎市シティセールス戦略プラン、新潟市では新潟市シティプロモーション推進戦略プラン、浜松市では浜松市シティプロモーション戦略等多くの自治体がシティプロモーション戦略を策定しています。そこで、お伺いいたします。
本市も、シティプロモーション戦略を策定する必要性があると考えますが、当局の御見解をお聞かせください。戦略の策定とあわせて検討しなければならないのが推進体制であります。
宇都宮市のうつのみや市政研究センターがまとめた都市ブランドとシティセールスに関する調査研究という研究論文があるんですが、そこの中では「シティセールスの先進自治体では、その推進に当たり専従の推進組織を設置している事例が見られる。その設置理由として、各所管課が個々の個別町資源をばらばらに売り込んでいては、重点的、効果的なPRができないことや市全体の動きが見えないこと、また一体的、横断的な取り組みを図るためには参謀的な役割機能が必要だからである。なお、先進自治体ではその専従の推進組織を企画部門に設置している自治体が多く見受けられる。これは、企画部門が組織の全体的な取り組みを包括的につかめる立場にあることや個別まち資源は多分野にまたがって存在するため、特定分野の他部所管課ではバランスのとれた全体把握は難しいと考えるためである」と分析されています。
以上のように、戦略策定についてどこかの部局がイニシアチブをとって行わなければなりません。この分析を踏まえると、個人的には全庁的な政策を統括している政策室が中心となり推進していくことが望ましいと考えますが、当局の御見解をお聞かせください。

【答弁】福嶋理事
本市は、古くから栄えていた歴史、都市としての高い利便性、世界レベルの技術を持つ産業など、さまざまな魅力にあふれたまちであると思います。これまでも、「るるぶ尼崎市」の発行やあまかん事業、学力向上や地域防犯の取り組み、ファミリー世帯の居住促進策など都市イメージの向上を目指して取り組んでまいりました。
しかしながら、先日も、私、申し上げましたけれども、本市のこうした魅力ですとか、取り組みが特に市外の人に対して、うまく十分に伝わっていないのではないかというふうに感じております。ですので、積極的に取り組んでいかなければいけない課題だというふうに認識しております。
従いまして、まちの魅力を的確に伝えつつ、またまちのイメージの向上を図り、まちの価値を高めていくというシティプロモーションの取り組みを推進していくことは、議員御指摘のとおり、大変重要であるというふうに考えております。
現在、どのように推進していくのかも含めまして、調査、検討に着手したところであり、戦略の策定につきましても、御指摘のいただきました他都市の事例なども研究しながら今後進めていきたいというふうに考えております。

【質問】先日、神戸のある企業の受け付けのわきで、おもしろいパンフレットを見つけました。このパンフレットなんですが、多分小さいので見えないと思うんですけれども、「箕面に住む?」というタイトルで始まり、それでちょっと目についたんですが、「子育てしやすさ日本一」とのキャッチフレーズで、これ実は箕面市の市役所のほうが発行しています。箕面市の地域創造部箕面営業課というセクションが発行していまして、すごくおもしろかったので、これについてちょっと調べてみたんですけれども。これは、自治体みずからが住民をふやすために営業ツールとして作成したパンフレットでありまして、そもそもは箕面市長である倉田市長の提案で箕面営業課という部署が設置されたそうで、その市長のブログにその営業課の設置の思いが記されていました。以下、少し市長のブログを引用させていただきます。箕面という文字を見たり、聞いたりしたときに、人はどう感じるのか、どういうイメージを持つのか、このことを意識しながら、イメージを積極的につくって発信していかなければならない。そんな問題意識から営業課を発案しています。箕面は、昔からの観光地として、また良好な住宅地としてバランスよく発展してきました。だからこそ、すでに一定のイメージが定着しています、が、そのことに甘んじて、これまでがつがつ営業しなきゃという発想が余りなかったのではないかと分析しています。不動産大手8社が合同調査しているアンケート調査によれば、関西圏の「住んでみたい街」ランキングで、箕面は、2005年に19位、2006年に12位にランクインしていたにもかかわらず、2007年にはランク外に転落、2008年も引き続きランク外という結果、他の都市が頑張ったのか、箕面がさぼっていたのか、そこは何とも言えませんが、少なくとも住宅都市としての箕面の強いイメージが競争力を失い始めているのは間違いなさそうです。必要なのは、もっと積極的に、わかりやすくPRし、発信していくことではないかと思っています。そんな発想からの営業課というふうに、箕面の倉田市長は語っておりました。そのような強い思いから生まれたのが営業課であり、そのまちを積極的に売り込むツールが、私の目にしたこのパンフレットだったようです。箕面市のように営業課まで設置してくださいということは求めませんが、先ほどのシティプロモーション戦略を策定する部署が設置されるならば、そのような姿勢を見習うべきであると考えます。そこで、お伺いいたします。
箕面市のような積極的にプロモーションツールを作成し、活用することはシティプロモーション戦略の上からも流れに沿った取り組みであると考えますが、御見解をお聞かせください。
本当に、厳しい財政状況でありますが、まだまだ本市は大きなポテンシャルを持っていると思います。尼崎市に愛着を持つすべての市民と行政当局の皆さんの知識、知恵を結集することができれば、都市としての魅力を再び輝かせることができると思っています。
特に、これからの尼崎を背負っていく我々若い世代が責任感を持ち、しっかりと先輩方が築いてこられた歴史を踏まえ、未来の市民に引き継ぐことが必要であります。
私も、精いっぱい頑張っていくことをお約束申し上げ、以上で私のすべての質問を終わらせていただきます。

【答弁】福嶋理事
御指摘のとおり、シティプロモーションの取り組みに当たって、それぞれのターゲットや状況に対応したさまざまなツールを活用しながらPRを行うことは、必須のことと思っております。御提案の事例につきましても早速リーフレットを、私もいただきました。
どうも、ありがとうございます。
御提案の事例につきまして、今後シティプロモーションの取り組みを進めていくに当たり、ぜひ参考とさせていただきたいと思ってますので、以上でございます。

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