2006年6月 第5回定例会 一般質問
【質問項目】
■人口動態調査について
■生活保護について
■市民活動団体の支援について
■教育について


■人口動態調査について
【質問】昨年9月の定例会の一般質問で、人口動態についてお伺いいたしました。その御答弁で、転出、転入、市内間転居についてのアンケートを実施するとの御回答をいただきました。その報告書である平成17年度人口等都市政策調査研究事業報告書の中身を拝見させていただくと、これまで漠然とイメージされていた治安及び教育に対する不安が、現実問題として浮き彫りとなった結果となっております。しかし、このアンケートの回収率が低いこともあり、この結果をうのみにすることはできませんが、傾向をつかむ上では参考になると考えます。まずはこの結果から状況を冷静に見詰め、対策をとっていかなければなりません。
ところで、民間企業においては、戦略立案、分析に際し、さまざまな改善ツールが用いられます。その一つにスウォット分析というものがあります。尼崎市の運営におきましてもこれを用いて分析し、市政の運営に役立てていく必要があると考えます。スウォット分析とは、企業の長期戦略を策定する際に用いる分析手法で、強み、弱み、市場機会、脅威などを分析し、戦略を導き出します。つまり、企業がどのような状況にあるのか、そして、今後どのように打って出るかを分析するために有用です。スウォット分析は、事業分野の選択と集中を行うため、事業分野にウエートづけを行うことにほかなりません。これを市政に当てはめてみますと、自社が尼崎市に当たり、競合企業は周辺自治体に置きかえることができると考えます。私が行ったスウォット分析からは、尼崎の強みは大阪と神戸の間という利便性の高い立地であること、及び公共交通機関の充実や買い物などにおいての利便性の高さがあり、この点をもっとアピールしていくべきであると考えます。一方、尼崎市の弱みである治安、教育に力を注ぎ、より魅力的なまちづくりを目的に市政運営を心がける必要があると考えます。
そこでお伺いいたします。スウォット分析を行い、長所、短所を踏まえて重点的に予算を投入していく必要があると考えますが、そのような方策をとるお考えがあるのか、お答えください。また、行うならば、どの分野に重点的方策をとっていくのかをお答えください。

【答弁】村山企画財政局長
厳しい財政状況のもとにおきまして、限られた経営資源を有効に活用し、その中で最大限の成果を発揮するためには、施策間の相対的な評価に基づき、重要度、優先度等を判断し、経営資源を集中させていく必要があると考えております。
御指摘のスウォット分析につきましては、これまでに個別事業の調査において活用した経緯がございます。自治体の強み、弱みという内部要因を分析しながら、外部環境の変化に対応した戦略を導き出す一つの手法でございます。施策の重点化方向を選択する際の一つの方策と考えますが、より有効なものとするためには、内部要因や外部環境要因を分析する客観的なデータをもとに取り扱っていくことが重要であることから、いま少し今後の検討課題として取り組んでまいりたいと思います。

■生活保護について
【質問】いずれにしても、魅力的なまちづくりのための市政運営のためには、まず、現在の財政的危機を脱し、財政の弾力性を上げていく必要があります。この財政弾力化を向上させるため、経営再建プログラムが実施されており、ことしで4年目となります。しかし、このプログラムは目標値を下回っており、その主な原因が民生費の増加にあると認識しております。具体的には、尼崎市における一般会計歳出のうち、民生費は構成比にして37.4%を占めている上、近年増加の一途をたどり、今年度も前年度に比して約14億円増加しております。一般会計に及ぼす影響は大きいものと思われます。この14億円の増加のうち、生活保護扶助費だけで約5億円弱増加していることがうかがえますが、被保護世帯の増加に歯どめがかからない現状からしますと、今後も緩やかに増加傾向を続けると考えられ、財政に及ぼす負担は大きいものと考えます。
以上のことからすると、生活保護扶助費について何らかの増加防止策が必要であると考えるのですが、まず、この点についてのお考えをお聞かせください。

【答弁】山本健康福祉局長
生活保護扶助費の増加につながる生活保護世帯数は、全国的に平成17年度以降増加傾向にあり、本市も同様の状況にあります。こうしたことから、平成14年度に就労促進相談員を配置し、これまで以上に就労支援を行う中で、自立促進に努めております。また、平成15年度には、窓口に専門の面接相談員を配置し、よりきめ細やかな生活相談を行っております。さらに、平成17年度から、退院促進相談員等を配置し、社会的入院の解消を進めております。また、本年度からは、生活保護受給者も含めた母子家庭の母の就業を支援するために、母子家庭自立支援金給付事業を実施するなど、適正保護の確保に努めているところでございます。

【質問】さて、生活保護扶助費は、憲法25条によって定められている生存権の具体化としての生活保護法を根拠とし、法定受託事務として尼崎市が運営することとなっております。同法の目的は、被保護者に健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、被保護者の自立への支援という目的を有しているものでもあります。しかしながら、同法の自立の支援という目的が実際に達成されているかどうかは、他の議員からの指摘もあるように、疑わしいものがあります。実際には、同法によって支出される保護費に依存して生活するか、保護費の受給システムを利用して、自立可能な状況であっても保護費を受け取り続けているという状態ではないでしょうか。この原因は、生活保護受給世帯に非正規雇用者が多く、収入内容について把握しづらいため、国が定める基準に形式的にのみ合致する者が多いこと、つまり、市として被保護世帯の収入が把握できていないのではないかということにあると考えます。そこで、被保護世帯における非正規雇用者の割合と、被保護世帯の収入の調査方法についてお答えください。

【答弁】山本健康福祉局長
生活保護制度では、働くことが可能であれば、その能力を活用して収入を生活費に充てていただくことが保護要件の一つとなっております。生活保護制度上では、従来から、正規、非正規雇用者の区分はいたしておりませんが、平成18年4月現在で、働いておられる世帯は--稼働している世帯と呼んでおりますが--845世帯で、このうち厚生労働省への報告例によるところの世帯主が働いている世帯で、期間を定めず、または1カ月を超えて雇われ、かつ月々一定の給与を支給されている常用勤労世帯は、615世帯で72.8%でございます。
本人からの定期的な収入申告とその裏づけとなる給与明細書等の提出を基本に把握しており、その内容に疑義のある場合には、税務部門等への調査を実施しております。また、全世帯に対する税務調査による収入申告額の点検を、年1回、一斉に行っております。

【質問】ただいま伺った非正規雇用者についてなのですが、尼崎市に限らず、日本全体で若年層の非正規雇用が増加しており、いわゆるニート、フリーター問題が起きているのですが、このことによる将来的な生活保護費の伸びは避けられないと考えます。こうしたニート、フリーターの増加という問題及びそれと関連して、非正規雇用者の労働問題に市としてはどのように対応していくのか、お聞かせください。

【答弁】岩田産業経済局長
ニートやフリーターが増加することによりまして、将来的に労働者不足など、経済基盤の脆弱化を招き、また、社会保障制度などにも悪影響を及ぼす大きな問題でございまして、若者に対しましては、就労意欲の喚起、また、その職業的自立を促進していくことが非常に重要であると考えております。また、パートなどの短期時間労働者や契約派遣社員などが非正規雇用者と呼ばれておりまして、近年、増加傾向にございます。こうしたことは、雇用の安定性、継続性から見ますと、特に若者につきましては、正規雇用が望ましいのではないかと考えております。こうしたことから、本市では、従前から実施しております職業観を醸成するセミナー等に加えまして、今年度から、働く意欲を持ちながら就業していない若者等に対するキャリアカウンセリングを新たに実施してまいりますとともに、教育委員会との連携によりまして、若年層の正規雇用への就業等を支援してまいりたいと考えております。

【質問】生活保護費に関しましては、支給水準や支給要件などがすべて法定されており、市のレベルでこれと異なる対応をすることは不可能なため、財政圧迫を防ぐためには、生活保護法とそれに基づく支給要件などに従った同法の厳格な運用しかないと思われます。しかし、支給はあくまでも一時的処理であり、法の精神に照らし合わせると、被保護者の自立への支援を行い、生活保護費に頼らないように支援することにあるのではないでしょうか。
さて、生活保護事業を対象としている事務事業評価を拝見すると、生活保護の評価指標は年間延べ保護世帯数となっております。法の趣旨に照らし合わせると、この場合の指標は生活保護費の支給を行ったというアウトプットではなく、生活保護支給によって社会復帰できた人の割合などを指標にすべきであると考えますが、この点についてどうお考えでしょうか。

【答弁】山本健康福祉局長
本市の事務事業評価としましては、生活保護業務のような法定事務につきましては、法律で実施することが義務づけられておりますので、業務が最少の経費で実施されているのかどうかといった効率性の視点から評価することとしております。具体的な評価手法といたしましては、まず、生活保護業務にかかった総経費、いわゆるフルコストを算出し、活動指標を設定した上で、結果として単位コストを導き出すというものでございます。生活保護業務につきましては、最低限度の生活を保障するということと、その人の自立を助長することを目的としていることから、フルコストに対応する事務事業評価の活動指標としましては、年間延べ保護世帯数として設定することが適切であると考えております。
なお、議員御提案の、社会復帰ができた人の割合を活動指標として設定することはできますが、それにかかったフルコストを算出することが非常に困難であるため、適切な評価ができないと考えております。

【質問】生活保護についての当局からのお答えに、生活保護世帯の増加により、1人当たりの活動量が増加傾向にあるとお聞きします。尼崎市にはケースワーカーが平成17年時点で89人いらっしゃり、1人当たり約100件の世帯を抱えていらっしゃいます。そこでお尋ねします。現在、業務を行うためにケースワーカーの人数は足りているのでしょうか。ケースワーカーの人数が足りないという状況では、業務に支障が出てしまいます。そのような状況ならば、本来法の意図をきめ細やかに対応して実現するのは難しいのではないでしょうか。この点についてどうお考えなのか、お聞かせください。

【答弁】山本健康福祉局長
昨今の生活保護世帯数の増加に対して、社会福祉法に定めるケースワーカーの標準数への人員配置が追いついていない状況でございます。
次に、最後でございますが、ケースワーカーの人数が足りないという状況で、本来の法の意図をきめ細やかに実現するのは難しいのではないかといった御質問でございます。
ケースワーカーの標準数を充足していない中で、平成14年度に就労促進相談員を配置し、生活保護受給世帯の自立支援の促進を図ってまいりました。また、平成15年度から、福祉六法担当から生活保護専任ケースワーカーとするとともに、面接相談員の配置も行ってきたところでございます。さらに、平成17年度には、1福祉事務所への統合に伴うスケールメリットを生かして、ケースワーカーを5名増員するとともに、退院促進相談員等の嘱託職員を増員配置して、ケースワーカーと一体となり、組織全体で取り組むことで業務の負担軽減を図るなどの工夫をし、生活保護法の意図する最低生活の保障と自立助長に努めているところでございます。

■市民活動団体の支援について
【質問】自治体としての弱みを埋めていく一方で、これから先のことについても同時に取り組んでいかなければなりません。第2次基本計画に、市民、事業者、行政がそれぞれにふさわしい役割を果たしながらまちづくりを進める協働型のまちづくりの仕組みをつくりますと記載されています。現在多くの部局が市民活動を支援しながら協働を推進すべく、尼崎市ではさまざまな事業が行われています。これまで、アンケート調査の実施、プラットホームづくり、公募委員の募集など、多くの取り組みを行ってきました。しかし、そのような中で、協働研究会の提言発表が延期されるなど、意見の集約ができず、市民との協働について行政側も模索しているのが実情ではないでしょうか。
これまで尼崎市では、地縁的な団体である社会福祉連絡協議会が、市民生活向上のために大きな力となってきました。今後も地域住民の意見の反映には欠かすことができない組織であります。その一方で、民でできることは民へという国の方針が強くなっている社会背景で、NPOや特定の事業を行ってまちづくりに参画する組織が尼崎でも多く出てきました。地縁的な組織が地域に根ざした縦糸だとすると、特定の事業などで市内を広範囲にカバーするNPOなどの組織、団体は横糸と言えます。布は、縦糸だけ、横糸だけでは織り上がりません。縦糸と横糸がうまく編み上がって、初めて布として価値があります。織り上がったとしても、縦糸が強く、横糸が弱い状況では、ちょっとした引っ張りなどで伸び切ってしまい、役に立ちません。縦と横、どちらも強い糸であること、さらに、お互いが密接に結びつくことで、より強い布ができ上がります。
これを尼崎市の状況に置きかえると、歴史的に長い地縁的な組織に頼っていた面があり、横糸が弱いのではないかと感じます。尼崎市がより発展していくためには、横糸を強めていく必要があると考えます。ボランティア団体やNPOは、行政の手の届かない部分、あるいは行政よりきめ細やかな事業、市民活動団体ならではの地域に密着した活動や展開を行っています。しかし、これらの団体は財政基盤が磐石でないこともあり、設立目的に沿って十分な活動を展開するためには、財政的なサポートをしている場合が少なくありません。これは協働参画課が行ったボランティアグループ、市民活動団体への協働などに関する調査や特定非営利活動法人の活動状況調査によっても明らかです。これまでさまざまな補助金を支出することで、団体の活動に一定の支援を行ってきました。また、支給に当たっては、審議会や協議会などを設置して、支給する団体を選定してはいますが、選定が限られた方々によってなされているため、不透明になりがちです。
そこで、新たな試みとして、昨年4月から千葉県の市川市では、市民活動団体支援制度を行っています。この市民活動団体支援制度とは、市民の手による地域づくりの主体であるボランティア団体やNPOなど、市民の自主的な活動に対して、個人市民税納税者が支援したい1団体を選び、個人市民税額の1%相当額、団体の事業費の2分の1を上限として支援できるものです。この制度の市民側のメリットとして、自分の税金の用途を限定的ながらも選択することができます。つまり、税金の使い道に対して意思決定できることにあります。また、活動資金として提供されるお金の用途に対して、アカウンタビリティー、説明責任を果たすことで、税金であるお金の流れの透明性が高まります。NPO側のメリットは、単に財政的支援を受けることができるようになるのではなく、制度の実施によって市民に活動への関心を持ってもらうことで、より活動に対する理解が高まることが挙げられます。支援を得るためには、活動をオープンにし、納税者の支援にこたえていかなければならないことから、良好な関係が生まれていきます。行政側のメリットは、まさに尼崎市が目指す協働の実現です。
この制度は、単に活動団体への財政的支援ということではなく、市民活動が多くの市民に理解され、地域に根づくこと、活性化していくことで、行政にはできないような事業を市民の力で展開されることにあります。また、税に対する理解が市民に広がることも実施の効果としてあります。
以上のように、この市川市のような市民活動団体を支援するような制度を構築することは、尼崎市が目指す協働型のまちづくりにほかならないと思われますが、このような制度を尼崎市で構築することはできないでしょうか。お答えください。

【答弁】村山企画財政局長
市川市の個人市民税納税者が選ぶ市民活動団体支援制度、通称1%支援制度と言われておりますが、昨年度から実施されておりまして、市民に市政や地域に関心を持ってもらえる制度と評価できるかと思います。一方、申請手続とか納税者に限定されているなど、課題もあると聞いております。
本市におきましては、現在、協働のまちづくりの仕組みの再構築に向けた取り組みを進めるため、市民の主体的な活動への支援の仕組みについて検討を進めようとしております。そうした中、今御紹介のあった制度も含めまして、さらに他都市の先進事例も調査検討いたしまして、本市に合った支援の仕組みづくりについて研究していきたいと考えております。

■教育について
【質問】本年度より教育委員長が交代されました。そこで、委員長の教育に対する理念及びこれからどのように尼崎の教育に対して取り組んでいかれるのかを、御自分のお言葉でお答えください。

【答弁】仲野教育委員会委員長
教育問題はいつの時代にも存在しておりますが、次代を担う人材をいかに育成していくのかが国民的課題として大きな関心を集めております。こうした時期に教育委員長を仰せつかり、その責任の重大さを痛感いたしております。
私は、この3年間、教育委員として尼崎市の教育にかかわってまいりましたが、学力向上を初め学校統合や高校の教育改革、また、これに伴う教員の意識改革など、重要な課題が山積していることを痛感してまいりました。自分自身に課せられたことは、これらの課題に的確な対応を行い、公教育に対する信頼をより確かなものにしていくことだと考えております。その中で、尼崎に育っていく子供たちが一人一人大切な存在であることをしっかりと心にとめ、子供たちが持つ大きな可能性をできる限り伸ばしていけるよう最善の努力をしていくことが、私の教育にかける思いです。
尼崎の教育はすばらしいと感じていただけるよう、教育委員会一同、常に前向きな姿勢で臨んでまいりますので、今後とも市民を代表する市議会議員の皆様のなお一層の御指導と御協力をよろしくお願いいたします。

【質問】ニート、フリーターは将来において市の財政を圧迫する可能性が高く、こうした若者をこれ以上ふやさないことが必要であると考えます。尼崎市としても、主に中学生を対象として、トライやる・ウィークなどの地域との協働による体験的学習活動によって、生徒みずからが将来におけるキャリアデザインを具体的に身につけ、その結果として、ニートやフリーターのような若者をふやさないようなカリキュラムを策定していると考えることができます。しかし、こうした活動を行っても、活動を通じて得た貴重な体験が、日常生活に戻ると十分生かされないという問題があります。
そこで、さらなるカリキュラムの充実のため、こうした活動に参加した中学生の追跡調査を行い、彼らが高校生あるいは社会人となり、実際に社会に出るときに、こうした活動によって得た経験なり知識なりをどのように評価しているのかについて調査していく必要があると考えますが、このような調査を行うことを検討してはいかがでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
トライやる・ウィークについては、県が平成15年に評価検証委員会を設置いたしまして、中学生時代にトライやる・ウィーク活動を体験した県立高校生を対象に追跡調査を行っております。それによりますと、自分の考えや行動決定に影響があったというのが57.9%、進路決定の参考になったという回答が35.3%といったようなものがございまして、トライやる・ウィークの成果を、自己の確立に寄与して自分の可能性に気づく契機になっていると評価をいたしております。
今後は、県教育委員会の調査結果や動向も踏まえながら、市立高校の個々の生徒につきましても、就業体験を踏まえた進路指導を実施して、さらに充実したものにしていきたいと考えております。

【質問】平成17年度学力・生活実態調査の報告からもわかるように、尼崎市内の学校の水準は、ほとんどの学校で全国平均を下回っています。また、人口等都市政策調査研究事業の報告書を踏まえると、尼崎市の公教育の状況は、子供を持つ親の要求にこたえられていないと言わざるを得ません。子供を持つ親の教育に対する評価指標というのは、目に見える学力が中心であります。確かに目に見えない人間力の育成というものも、現在の公教育の役割として欠かせないものだと考えます。しかし、目に見える学力と見えない人間力という両方が備わってこそ公教育ではないでしょうか。親の子供に対する評価は、目に見える学力向上にあるという現実がある以上、この部分の強化が必要不可欠であります。
平成17年度学力実態調査の報告からも、子供たちの学力向上のためには、生活習慣の改善など、家庭の協力が不可欠であると記載されております。学校の先生方は、日々の業務に追われ、子供たちのケアまでできないという声を聞いたことがあります。そこで、各家庭との関係強化のために、学校教育とは別に子供たちの家庭教育を専門に扱う部署、仮称家庭教育部を設置してみてはいかがでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
家庭教育はあらゆる教育の出発点でありまして、保護者が責任を持って子供に対する日常的生活習慣を身につけさせるものであります。そして、国及び地方公共団体の役割は、家庭での教育が十分に行われるよう支援していく立場であると考えております。昨今、家庭の教育力低下と言われておりますけれども、これが社会問題化している現況から、本市におきましては、公民館、図書館等での子育て学級や、あるいは親子ふれあい事業等々を通じまして、家庭教育に関する市民学習機会の提供に取り組んできたところでございます。また、PTAとか婦人会など、社会教育関係団体との協力及び連携をとりながら、総合的に家庭教育を支援する体制を推進しているところでございます。本市の子供たちの基礎学力の向上につきましては、家庭での学習習慣づくりが不十分であるとの調査結果を踏まえ、今後とも学校教育を初め関係部局、関係団体との連携を密にするなど、現行の組織体制をより強化するとともに、家庭教育を支援し、子供の生きる力をはぐくんでまいりたいと考えております。

【質問】学校における金銭教育についてお尋ねいたします。
ここ1年の新聞、テレビなどを見ていますと、ライブドアの事件、村上ファンドの問題だけではなく、急成長している新興企業の有名経営者がメディアで報道されることが多くなっています。そのような背景で、我々消費者も企業のM&Aや株式など、さまざまなことに対して詳しくなった1年間だったのではないでしょうか。
そんな中で、一番大きな変化は、お金に対する我々の意識の変化ではないでしょうか。昨年の生活実態調査で、尼崎市の子供たちはテレビに接する時間が長いとの結果も出ています。テレビに接する時間が長ければ、株式や投資などの話を耳にする機会も多いはずです。学校では、ニュースを見ましょう、新聞を読みましょうと指導されていると思います。しかし、新聞に出てくる株式のことや経済の仕組みがわからない状態で、新聞を読み解いていくことはできません。私自身、小学校、中学校、高校と、尼崎市の公立学校でお金に対する教育を受けたことは記憶にありません。学校教育の場でお金の役割や株の仕組みなどを教えることはタブーなのでしょうか。金融広報中央委員会が2003年に実施した調査では、小中高時代に金融に関する教育を受けたかという質問に対して、ほとんど受けていないが約7割を占めています。
日本は現在世界第2位の経済大国です。学校教育を経て社会に出ると、いやが応でも経済に触れることになります。学校でお金に対する大切さやありがたさを教えることは大切であると考えますが、教育委員会としてはどのようにお考えでしょうか。お答えください。

【答弁】保田教育長
学校におきまして経済の仕組みあるいは働くことの意義を学ぶことを通しまして健全な金銭感覚を養い、物やお金を大切にし、むだ遣いを避ける態度を身につけることは、自立し、計画的に生活する能力を育成する上で非常に重要であると考えております。

【質問】全国では、金銭教育、経済教育、金融教育と名前は違いますが、お金の役割を学校で教えているところもふえています。東京証券市場が提供する株式学習ゲームを利用しての金銭教育への参加をする中学、高校は、本格導入した1996年の145校から、2005年には1,501校へと増加しています。
尼崎市内の学校で金銭教育を行っている学校はあるのか、お答えください。行っていないならば、生活の時間などにおいて行うことはできないのでしょうか。その可能性についてもお答えください。
お金に対する意識を向上させることは、人生設計をしっかり立て、各個人が自己責任で人生を送っていくために必要であると考えます。また、先ほど質問した生活保護などの生活困窮者をこれ以上ふやさないためにも、子供のころからの金銭教育が重要であると考えますので、ぜひとも実施していってほしいと思います。

【答弁】保田教育長
本市の小、中、高等学校におきましては、金銭教育としては実施はしておりませんけれども、社会科、家庭科あるいは技術家庭科等を中心に、また高等学校では商業の授業などで、金銭教育にかかわる内容を児童生徒の成長発達段階に応じて身近な内容とかかわらせ、実施をいたしております。教育委員会といたしましては、今後とも物やお金の大切さ、あるいは金銭に対する健全な感覚を養ってまいりたいと考えております。

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